クランクイン!

  • クラインイン!トレンド

劇場アニメ『卓球少女 -閃光のかなたへ-』夏川椎菜×雨宮天×麻倉もも 青春を駆ける少女たちと3人の挑戦

アニメ

関連 :

夏川椎菜

雨宮天

麻倉もも

■全力だった過去が、今につながっている。彼女たちの原点と進化

――卓球と青春を描いた本作ですが、みなさんが学生時代「熱くなった瞬間」は?

夏川:私は中学時代、演劇部に入っていたんですけど、かなり本気の部活で、大会で優勝を目指すような熱い空気の中で活動していました。練習量も多くて、先輩後輩関係なく意見をぶつけ合うような、すごく真剣な環境だったのを覚えています。

中でも特に熱くなったのは、配役を決めるオーディションのとき。自分がどうしてその役をやりたいのかを語ったり、審査を受ける時の緊張感だったり……みんなの“この役にかける想い”がすごく伝わってくるんですよね。

その空気の中にいるだけで、自分も自然と感情が高ぶって。人のお芝居を見ていても、本気度がダイレクトに伝わってきて、毎回心が震えてました。あの頃の情熱は、今でも忘れられません。

雨宮:私も中学時代、演劇部に入っていたんですけど……実は2年生まで、演劇部自体がなかったんです(笑)。でも3年生のときに、演劇が大好きな先生が他校からいらっしゃって、そこで初めて演劇部が発足したんです。

部員はたったの4人。しかも全員が3年生。でも、その短い期間の中で、本当に濃密な時間を過ごしました。1人は裏方で、あとの3人が舞台に立って……。指導してくれた先生がすごく熱い方だったので、最後の発表のあとには、先生とみんなで抱き合って号泣するくらいの青春でした。

たった数ヵ月の活動だったんですけど、今振り返っても「エモかったなあ」と思える、かけがえのない時間でした。

麻倉:私は中高ずっとミュージカル部に所属していて、文化部ではあるんですけど、結構運動部っぽいノリのある部活でした。筋トレやランニングもあって、夏休みなんかは毎日朝から晩まで練習していて……本当に「部活のために学校に行ってた」っていうくらい夢中でした。

その中でも一番心に残っているのは、高2のときの最後の公演。5年間ずっと続けてきたものを、いよいよ締めくくるというタイミングで、やはり胸に込み上げてくるものがあって。練習中も、本番の舞台でも、いろんな思い出がよみがえってきて……。あの瞬間が、私にとっての“青春の頂点”だったと思います。

――素敵な学生時代だったのですね。また、声優としてのキャリアの中で「この経験が自分を成長させた」と感じた瞬間は?

夏川:今でもすごく印象に残っているのが、ある作品で初めて主人公を演じたときのことです。第1話のアフレコはセリフ量が多くて、しかも専門用語もたくさん出てくる作品だったので、事前にしっかりチェックして準備して臨んだんです。

ところが現場で、何度も出てくる「艦長」という単語のイントネーションが、私が思っていたものと違っていて。「艦長↓」じゃなくて「艦長↑」だったんです(笑)。しかもその単語がめちゃくちゃ頻出する!

声優って、現場でディレクションされたことをすぐに反映して返すのがプロだと思っていたので、もう必死に集中して、「艦長↑、艦長↑……」って何度も自分に言い聞かせながら演じました。冷や汗ものでしたけど、あのときの集中力と吸収力は、すごく自分の中で成長につながった経験でしたね。

雨宮:私は、しばらくの間、声優として自分にまったく自信が持てなかったんです。もともと人と関わるのがすごく苦手だったこともあって、一人で悩んでしまうことも多くて……。

でも、少しずつ同業の仲間と関われるようになって、飲みに行ったり、仕事の話をできるような友達ができて。そんな中で、自分よりもずっと経験のある声優さんからお芝居を褒めてもらったんです。

その一言が、私にとってすごく大きくて。「あ、自分はちゃんとやれてるんだ」って思えた瞬間でした。そこから、リラックスしてお芝居に臨めるようになったし、「じゃあ、こんな役も挑戦してみようかな」って自然に思えるようになって。怖がらずに挑戦できるようになったのは、あのときの経験があったからだと思います。

麻倉:私の中で「怖かったけど、成長できた」と感じているのは、アフレコ当日に映像を見て、すぐに演じるという現場を経験したときですね。事前に資料が来ないパターンだったんです。

心配性な性格なので、「えっ、このまま演じるの!?」って最初はすごく焦りました。でも、そういう“瞬発力”って、きっと声優という仕事に求められている部分なんですよね。

その場で映像を見て、空気を感じて、自分の中で噛み砕いて表現する。それを実感できたのは、私にとって大きな学びでした。

――ちなみに、TrySail 3人での成長を感じた瞬間はありますか?

雨宮:結成してから最初の数年は、ライブって言っても、渡されたセットリストをそのままやるだけで、完全に“受け身”だったんですよ。でもあるとき、その渡されたセトリがどうしても納得できなくて……「これ、本当に私たちらしいライブなの?」って疑問が湧いてきたんです。

それをきっかけに、3人で飲みに行って、その場でセトリを一から見直したんです。スマホで曲を流したりしながら、「この流れの方がよくない?」って真剣に話し合って。それからは、自分たちでライブの構成を考えるようになり、ちゃんと「これがやりたい」という意見を出すようになって。初めて“自主性”が芽生えた瞬間だったと思います。あのときの夜は、今振り返ってもすごく大事なターニングポイントでした。

夏川:数年前、アニサマに出演させていただいたときがあって、そのとき私たちTrySailが“大トリ”を務めさせてもらったんです。もう……本当に「私たちがトリでいいの!?」って、3人とも不安でいっぱいで。でも、いざステージに立ってみたら、すごくいいライブができた実感があって。

あのステージをやりきったことで、グループとして大きく自信がついたと思いますし、「私たち、ここまで来たんだな」って心から思えた瞬間でした。

麻倉:何年か前に、全国を回る20公演のライブツアーがあったんです。半年くらいかけて、毎週のようにライブをしていて……体力的にも、精神的にも本当にハードでした。その中で、誰かが体調を崩したり、喉を痛めたりして、「今日は声が出ない……」みたいなこともあって。そんなとき、他の2人が自然にフォローに回ってくれて。「いつもはこの子が歌ってるけど、今日は私がカバーしよう」って、言葉にしなくても支え合えていて。

あのツアーは本当に大変だったけど、だからこそ、TrySailとしての“チーム感”がグッと深まった実感がありました。あの経験は、3人にとって確実に成長につながったと思います。

――そんな経験や挑戦の積み重ねが、今のTrySailの活躍に繋がっているのですね。最後に、ファンのみなさんへメッセージをお願いします。

夏川:卓球というスポーツを通して出会い、少しずつ心を通わせていく少女たちの姿が、とても丁寧に、まっすぐに描かれている作品です。過去に何かを挫折した経験のある方も、今まさに頑張っている方も、少し立ち止まっている方も……きっとそれぞれの立場から、何かしらの共感を見つけてもらえる作品だと思います。

観終わったあと、少し背中を押してもらえたような、あたたかい気持ちになってもらえたら嬉しいです。ぜひ劇場でご覧ください!

夏川椎菜(C)Hua Mei. All Rights Reserved.
雨宮:この作品のテーマのひとつに「挫折を経て、今がある」ということがあると思います。私が演じたワン・ルーは、プライドが高くて、人との関わりの中でうまくいかないことに悩んだり、ちょっとしたことでイライラしてしまったり……そんな不器用な一面を持つ子です。でもそれって、誰しもが日常の中で経験する感情でもあると思うんです。そんなふうに、キャラクターたちの葛藤や成長に、自然と共感してもらえるんじゃないかなと思います。

この作品は、「挫折からの立ち直り」が無理やり描かれているわけではなく、あくまで自然体で、彼女たちの日常の中の心の変化が描かれています。卓球経験のある方にはまた違った視点で楽しんでいただけると思いますし、そうでない方にもぜひリラックスして観ていただきたいです!

雨宮天(C)Hua Mei. All Rights Reserved.
麻倉:卓球の試合シーンがとにかく素晴らしく、スピード感、迫力、そして映像の美しさに本当に驚かされます。卓球をやったことがある方はもちろん、触れたことがない方でも「こんなに奥深いスポーツなんだ」と感じていただけるんじゃないかなと思います。

そして、白熱する試合シーンと、ゆるやかで温かい日常のシーンとのギャップも、この作品の魅力のひとつです。中国の文化や街並み、食事、日常の風景の中にある卓球台……そんな異文化の空気もぜひ楽しんでもらえたら嬉しいです。たくさんの方に、この作品の魅力が届きますように。劇場でお待ちしています!

麻倉もも(C)Hua Mei. All Rights Reserved.
(取材・文:吉野庫之介)

 劇場アニメ『卓球少女 -閃光のかなたへ-』は、5月16日より全国公開。

3ページ(全3ページ中)
『卓球少女 -閃光のかなたへ-』本PV

この記事の写真を見る

関連記事

あわせて読みたい


最新ニュース

  • [ADVERTISEMENT]

    Hulu | Disney+ セットプラン
  • [ADVERTISEMENT]

トップへ戻る