松岡昌宏、『家政夫のミタゾノ』が10年愛され続ける理由は「拒否反応」 “変えない”ことにこだわり

女装した大柄な家政夫・三田園薫が、派遣された家庭・家族の内情を覗き見し、そこに巣食う“根深い汚れ”までもスッキリと落としていく痛快“覗き見”ヒューマンドラマシリーズ『家政夫のミタゾノ』。2016年10月のドラマ放送スタートから10年にわたって、主人公の三田園薫(ミタゾノ)を演じるのは松岡昌宏。2025年3月まで放送されていた第7ドラマシーズンに続き、5月16日からは、ドラマ10年目を記念して舞台化第2弾となる『家政夫のミタゾノ THE STAGE レ・ミゼラ風呂』が上演される。松岡に“ミタゾノ”シリーズや舞台公演への想いを語ってもらった。
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◆長いキャリアを誇る松岡が舞台版『ミタゾノ』で経験した初体験とは?
ドラマの世界観をそのままに、ミタゾノが繰り広げる激しいアクションや、知って得する家事ワザを観客の前で“生披露”する『家政夫のミタゾノ THE STAGE』。第2弾の「レ・ミゼラ風呂」は、ミタゾノら「むすび家政婦紹介所」の一行が社員旅行で老舗の温泉旅館を訪れたことから物語が始まる。レトロというよりも、かなり古いその旅館は、見た目に反し、オモテナシは群を抜くすさまじさ。その様子に何かが怪しいと次第に気づき始めた一行。ミタゾノは、旅館の経営が窮地に立たされ、過剰なオモテナシ戦略に生き残りをかけていたことを見抜く…。
――今回の舞台が決まったときのお気持ちを教えてください。
松岡:舞台が決まったのは、先日まで放送していたシーズン7をどうしようかという話をしていたときでした。「せっかくならその流れで一緒に舞台の方も」とお話をいただいて。丸9年シリーズをやらせていただいたということと、今回、いろいろなところに行けるかもしれないとお聞きして、それに食いつきました(笑)。第1弾の舞台では大阪のみで、ほかの地方を回ることができなかったんです。でも、いろいろなところでミタゾノを観てもらえるのならば、テレビで見るのとはまたちょっと違うものをお届けできるのではないかなと思っていました。僕たちの世代なら「この街にドリフが来るぞ!」というような、そんな目線で楽しんでいただけるならいいなという思いで、ドラマの後に舞台もやらせていただくことにしました。
――前回の『家政夫のミタゾノ THE STAGE ~お寺座の怪人~』を終えて手応えは感じましたか?
松岡:手応えとはまた違うかもしれませんが…僕は、普通の舞台では絶対にアドリブを入れないのですが、この舞台に関しては「ここで一言」という場面が多々あって、その日のネタがあるので、普段やらせてもらっている演劇と呼ばれる舞台とはまた違うものがあると思います。ある種、ライブ的な、コント的な即興も多く、それは初めて経験しました。そういう意味では、こういうものもあるという経験をできたのは大きかったと思います。普段、僕が立たせてもらう舞台はきっちり作って、できればアドリブはしない。失敗してしまったときやトラブルが起きたときにフォローするためにアドリブが必要なだけであって、僕自身はあまりアドリブを入れるのは好きではないんです。アドリブのように見えて実は全てが決まっているというのが一番面白い。この舞台もある部分では裏でキャストに振っておいて、今日はこのパターンでいこうとすり合わせをして、アドリブっぽく見せているところもあったので、そうした経験はさせていただけたなと思います。
――松岡さんとしては、またミタゾノの舞台をやるのではないかという予感はありましたか?
松岡:前回の千穐楽のときに、「またやりたいね」というお話はしましたが、それはどの現場でもある社交辞令的なものだと思っていました(笑)。ただ、プロデューサーが「もっと観てもらいたい」と言っていたので、それには同感でした。せっかくだったら、いろいろなところで観てもらいたい。それだったらやるかなと。それで実現したのが今回です。
――(取材当時)稽古が始まって1週間ほど経ったと伺っています。今はどんなところに力を入れているのですか?
松岡:今はまだ探り合いです。見ての通り、闇鍋のようなてんでバラバラのキャラクターの役者が揃っているので、これを1つの鍋で調理してはたして料理がうまくいくのかというところがあります。その駆け引きを今、やっている状態なので、それが終わってから、塩コショウをしていきたいと思っています。まだ味付けはしていないです。