小栗旬、「彼らのモチベーションと志をちゃんと間違えずに伝えたい」 コロナ集団感染下の奮闘描く主演作に真摯な思い
――コロナ禍が始まった時期は、1月に大河ドラマ「鎌倉殿の13人」への主演が発表になったすぐ後のことでした。
小栗:コロナ禍が始まった時は、僕はアメリカにいたんです。ロックダウンが起きて、世界が止まったんですよね。異国の地だったし、すごく怖い経験でした。実際「鎌倉殿の13人」は撮影がコロナ禍の最中から終わりかけくらいだったので、常にマスクはしていなきゃいけなかったですし…。不思議な体験でしたね。
――その「鎌倉殿の13人」の放送が終わり、40歳を迎えられました。何か変化は感じられますか?
小栗:大きな変化はあまりないですね。昔よりもやりたいことも減っていて、今は逆に言うと、需要のあるところに自分が参加していくという感じというか。20代のころはすごく不安を抱えていましたし、毎回毎回作品に入るのがすごくしんどかったんですけど、今は180度変わったような感じで作品に臨めています。落ち着いて作品作りをできているという感じですね。
――芸能生活も30年。この30年のターニングポイントを挙げるとすると、どんな出会いでしょうか。
小栗:1つ目は「花より男子」に出たことだと思うし、続いて『クローズZERO』という作品に出会ったこともターニングポイント。40歳を前にしての「鎌倉殿の13人」のオファーはある種の集大成みたいなもので、意外と満足しちゃったみたいな感じもあるんです。だから新しい欲求を見つけないといけないなと思っています。
――映画、ドラマ、舞台とさまざまなジャンルで主演を張り、小栗さんが次はどんな作品に出演するのだろうと毎回楽しみなのですが、俳優界のフロントラインに立つ存在として、今後どのような活動を続けていきたいですか?
小栗:ありがたいなとは思いますけど、フロントラインに立っているつもりは全然ないですし、自分は自分のできることを続けていくしかないなと思っています。昔はもっと野望や野心があって、この世界を変えたいと思ったこともありますけど、本当に変えるつもりならひとつひとつ細かく変えなきゃいけないなと思っているので、今はそれをやっている感じですね。その積み重ねが30年後くらいに何か変化につながればいいかなくらいの感じでいます。
(取材・文:田中ハルマ 写真:高野広美)
映画『フロントライン』は6月13日公開。