『劇場版 呪術廻戦 0』緒方恵美×花澤香菜「一緒に逝こう」涙を誘った誓いの真実

関連 :
純粋すぎる「愛」は、ときに形を変えて「呪い」となる――。『劇場版 呪術廻戦 0』が描き出す乙骨憂太と祈本里香の物語は、幼い心のままに放たれた想いが、甘美であると同時に残酷な鎖へと変わっていく過程を鮮烈に刻んでいる。その“痛ましいほど真っ直ぐな愛”を声で息づかせたのが、乙骨役・緒方恵美と里香役・花澤香菜。二人が語る言葉には、愛と呪いが紙一重で交錯する、儚くも深い絆の温度がたしかに宿っていた。
【動画】『劇場版 呪術廻戦 0』緒方恵美×花澤香菜、涙を誘った誓いの真実を語る
■無垢な声に宿る、切なさの予兆
――当時のアフレコから少し時間が経ちましたが、お二人の掛け合いの中で、特に思い出に残っている瞬間は?
緒方:アフレコは、里香ちゃんとの幼少期のシーンから始めさせていただけたんです。それがとてもありがたくて。物語の根っこをしっかり感じながら入れた気がします。
花澤:緒方さんが演じる小さな頃の乙骨くんが、本当に可愛くて。特に「こんにゃく(婚約)」って言っちゃうシーンは、胸がキュンとしちゃいました。あれはもう……そりゃ里香ちゃん、メロメロになっちゃいますよね。
緒方:いやもう、アホなんですよ(笑)。なんだ「こんにゃく」って。
花澤:でも、その“アホ”さがすごく良かったんです。子どもらしい不器用さが、里香ちゃんのおませな一面と対比になっていて。だからこそ、後に呪霊になった彼女の存在が、より切なく響くんだと思います。
『劇場版 呪術廻戦 0』場面写真(C)2021 「劇場版 呪術廻戦 0」製作委員会 (C)芥見下々/集英社
――“特級過呪怨霊”としての里香は、感情の振れ幅がとりわけ大きく、その一瞬一瞬を体現する花澤さんの表現力には圧倒されました。
花澤:加工の技術に本当に助けられました(笑)。
緒方:たしかに加工は入っていましたけど……現場では「これ、無加工でもいけるんじゃないか」って、みんなで言ってたくらいなんですよ。
花澤:嬉しいです。原作漫画を読んだときには、里香のセリフに全部濁点がついていて、「これを声にするとどうなるんだろう?」と想像もつかなくて。
実際にアフレコ現場で音響監督さんから「里香は呪霊になってしまって、歯もギザギザで、もう元の声では到底喋れない。違う存在になってしまった“気持ち悪さ”も出したい」とディレクションをいただいたんです。
そこから、“喋りにくさ”や“本能的に動く幼さ”を意識して演じました。怖がらせるためではなく、ただ「憂太に喜んでもらいたい」という一心で声を震わせていたんです。
『劇場版 呪術廻戦 0』場面写真(C)2021 「劇場版 呪術廻戦 0」製作委員会 (C)芥見下々/集英社