『北の国から』『男はつらいよ』『クイズダービー』――竹下景子が語る、かけがえのない出会いと時間
めまぐるしく変化する時代と共に、ドラマ作りの現場も様変わりしてきた。50年以上にわたり俳優として歩んできた竹下は、そのスピード感を肌で感じている。
「私が本当に20代っていうと50年ぐらい前になりますけど、その頃は自分のなかでの役作りがあって、それをテレビでいえば何台かのカメラで切り取るんですけれど、テンポが全然違うんです。今はたくさんのカメラがあって、それを編集でさらにブラッシュアップしていく。出来上がったもののテイストが随分違います。昔の作品の良さはもちろんありますけど、『今』を切り取るという意味では、スピーディーな世の中と非常にリンクしているなと感じます」。
求められる表現の方法は変わっても、役と向き合う真摯な姿勢は変わらない。その礎には、キャリアの大きな転機となった脚本家・倉本聰さんの言葉がある。
「『北の国から』では『芝居をするな』って倉本先生に言われたんです。そこにいることが大事なんだって。だから『悲しいふりをしちゃいけない』とか、そういうことを教えてもらった。それが一つの大きな転機でしたね。頭で考えて演じるのではなく、その人物として、その場で感じた気持ちを口に出す。その教えは、今も私の根幹を成しています」。