宮近海斗「焦らずオフを過ごせるようになりたい」 俳優業で開いた新たな扉、Travis Japanとしての夢を語る
亜子の相談相手となる雄介。聞き上手で、亜子も安心して彼に心を開いている様子が伝わってくるが、宮近は“聞き手”としての演技について難しさも感じたと語る。
「映画の中で誰かが自分の気持ちを話していて、それを聞く人の姿を映すことになると、観客の皆さんも相談相手のような気持ちになって、話し手に耳を傾けることになると思います。だからこそ聞き手の立場にある場合、話している人のどの言葉で心が動いたのかなど繊細に考えないといけないから難しいなと思いました」と振り返る。
続けて、「ダイニングバーの店長である雄介は、きっと話し相手によって接し方やキャラが変わるのかなと。お酒を飲んでにぎやかにしているお客さんが相手ならば、一緒になって楽しむタイプだと思うんです。亜子さんが優しく、繊細な人だからこそ、雄介も優しく耳を傾けることができた。亜子さんが、雄介が話を聞けるような雰囲気を作ってくれたおかげです」と、重要な役割も亜子役の福原と気持ちのキャッチボールをすることで演じ切ることができたと感謝を込める。
料理を提供するシーンもあるため、所作を学ぶために「SNSで料理を作る動画を観たりした」そうで、「でもそういう動画って、料理を作っている姿ではなく、作られていく過程を映しているので、おいしそうな料理を見て、お腹が空いただけで終わりました」と苦笑い。フードコーディネーターから料理の盛り付け方を教わった宮近が、劇中ではおいしそうなポモドーロを振る舞う場面もあるので注目だ。
映画『楓』バーの店長を演じる宮近海斗 (C)2025 映画『楓』製作委員会
撮影現場では行定監督をはじめ、スタッフともコミュニケーションを重ねた。「周りのスタッフさんが僕の表現を褒めてくださって、うれしかった」と賛辞をもらうこともあったそうだが、特に印象的な言葉は?と聞くと、宮近は「『髪型が似合うね』と言っていただきました」とにっこり。
ふわりとしたカールスタイルの髪型が、特徴的な雄介。宮近は「僕自身、これまでにああいったスタイルはしたことがなくて。スタッフさんからは、『アメリカの少年みたいだね』と声をかけていただきました。自分でもすごく新鮮で、トイレに行って鏡を見るたびに『あ!今この髪型だった!』とびっくりしていました」と笑いながら、髪型で変身できることも俳優業の醍醐味だと話す。
「今回は“アメリカの少年”という新しい引き出しができました」と楽しそうに目尻を下げながら、「いろいろな人間になって、いろいろなことを経験できる。それはお芝居の面白い部分だし、なんだか得をしているなと思う部分です。映像作品では監督さんやチームによって撮り方が違ってくるものだと思いますが、僕はまだそこまでの違いを感じられたことがなくて。いろいろな監督さんやスタッフさん、俳優さんと一緒に、これからも様々な経験ができたらうれしいです」とさらなる意欲をのぞかせていた。

