青木柚、『じゃあつく』注目株24歳が目指すのは「その役が『生きている人』になること」

――お茶の間でも『カムカム』の桃ちゃん、『じゃあつく』のミナトと、記憶に強く残る役が続いています。
青木:今でも「桃ちゃん」って言ってもらえるし、会う人みんな「ミナト」って言ってくださる。人の記憶に浸透する役柄に出会えるのはありがたいことだなって思います。
――さまざまな役を演じる中で、ご自身の変化は感じますか。
青木:自分の考え方が広がっている面はあります。ただ、「役の幅が広い」ということにあまり意味を見出していなくて。結果的に幅が広いと捉えてもらえるのはうれしいけど、いろんな自分を見せたいみたいな気持ちはほとんどないんです。一つの役をやることが一番大事で、最終的にそれがいろんな役柄をやっているということになる。そこは大事にしています。
――青木さんご自身の役者としての“欲”は、どこに向かっていますか。
青木:その役が一番魅力的に見えるようにしたい。嫌なやつなら嫌なやつを全うする。その役が「生きている人」になることが目指すところなので、自分のいろんな面を見せるために役を演じるみたいなことになってしまうのは許せないんです。結果的に、たくさんの極端な役柄をいただけるのは巡り合わせであって、そこは感謝ですね。
――今後やってみたい役はありますか。
青木:近所の兄ちゃんみたいな役をやりたいです。メインのコミュニティからちょっと外れているけど見守っている、みたいな。色々なことを経ていないと演じられない役だと思いますし、映画の中の兄ちゃんってすごく素敵だなと。もうちょっと年齢が上がったらやってみたいです。

――青木さんは子どもの頃からこの世界で仕事をされてきて、24歳にして長いキャリアをお持ちですが、「大人になる」ってどんなことだと思いますか。
青木:良くも悪くも沸点が落ち着いてしまうこと、ですかね。人の意見を客観的に聞けるけど、直感的なものが出てこなくなったりする。例えば、今回ピーター・パンは無神経なことをたくさん言うんですけど、それは子どもの残酷さでもあり、自由でもある。そういうものを俯瞰して見られるようになると大人なのかなと思います。
――ピーター・パンを演じることで、ご自身も自由になれそうですか。
青木:稽古中、子どもと大人についてすごく考えるんですけど、「そんなことも言ってられないよな」って思ってしまう。自由にやろうと思っても全然自由にできない。今はちょっと頑張らなきゃなって感じています。
――ちなみに、青木さんは非常に落ち着いた印象がありますが、ご自身のテンションが一番上がるのはどんな時ですか。
青木:仕事中は落ち着いていることが多いのですが……親友と会って「『ラヴ上等』やばくない?」みたいななんてことない話をしている時ですかね(笑)。僕らのそういうおバカでアホな面は、友達同士の時だけ出るんです。
――最後に、2026年の抱負を聞かせてください。
青木:特に何かを決めていなくて。今までは自分に期待し続けて、その期待に値する自分でいなきゃって思っていたんですけど、もう応えられなくてもいいかなって。その場を純度高く楽しんで生きられたら、それでいい。「自分がワクワクしない自分になっちゃいけない」っていう気持ちはずっとあるんですけど、それを頭の一番上に持ってくるのをやめて、フラットにいただいたお仕事を一個一個やろうと思っています。
――本作も、言葉についてまた新しい発見がありそうですね。
青木:この舞台の中でも作家の言葉の威力が感じられるところがたくさんあります。言葉が全てじゃないとは思いつつも、また新しい気持ちをもらえそうな舞台になりそうです。
(取材・文:田幸和歌子 写真:米玉利朋子[G.P. FLAG inc])
舞台『ピーターとアリス』は、東京・東京芸術劇場 プレイハウスにて2月9日~2月23日、大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて2月28日~3月2日上演。

