山田孝之「俳優はやっていますけど、目指したことはない」 阿部進之介と考える“俳優って何だ?”
関連 :
(左から)山田孝之、阿部進之介
――番組のビジュアルには「俳優って何だ?」という言葉があります。ここまでプロジェクトを進めてきて、その問いに対する答えにはたどり着きましたか?
阿部:まだオーディションの途中ですからね。それに、あれはむしろ僕たちが答えを出すというより、問いかけたいという意味が強いんです。
山田:そうなんです。視聴者に対する問いかけなんですよ。ただ、僕自身には「俳優とは何か」という答えは明確にあります。その答えはその都度変わっていくものでもあるんです。20代の頃と今とでは、自分を取り巻く状況も違います。結婚して子どもができたこともそうですし、年齢を重ねれば、生まれた瞬間より確実に死に近づいていく。そうやって人としての状況や考え方が変われば、答えも変わっていきます。だから、今は今の自分なりの答えがあります。でも、それを僕が言ってしまうと、「これがひとつの答えです」と提示することになってしまう。そうではなくて、この作品を見た人に「俳優ってなんだろう?」と考えてもらいたくて、あの言葉を投げかけているんです。
――ちなみに、若い頃に「こんな俳優になりたい」と思い描いていたものはあったのでしょうか?
山田:いや、一度もないです。というか、僕は俳優を目指したことがないんです。俳優はやっていますけど、目指したことはない。僕がやっていることを見た人がカテゴライズして、「俳優」と呼んでくれているだけで、自分自身では「自分は俳優だ」と決めつけていないんです。
――では「俳優・山田孝之」という肩書きも、ご自身ではそれほど意識していない?
山田:僕は何でもいいんです。カテゴライズしたほうが、見る側にとっては分かりやすいですよね。人って、よく分からないものに対して怖さを感じるところがあると思うんです。だから安心するためにジャンルを作ったり、カテゴライズしたりする。それによって「ああ、そういう人なんだ」と理解しやすくなる。だから僕自身は、俳優と呼ばれれば俳優でもいいし、釣り人でも何でもいいんです。
――呼ぶ側が自由に捉えていい、と。
山田:そもそも決める必要もないと思います。どう捉えても、どう思ってもらっても構わないです。
阿部:本来、肩書きって自分で決めるものではないのかもしれないですよね。周りからそう呼ばれて、「自分はそうなんだ」と思うくらいが自然なのかもしれない。例えば、演技をしている人を「俳優」と呼ぶのであれば、演技をしているときは俳優なのかもしれない。でも、そこにも本来は明確な境界線なんてないと思うんです。「ここからが俳優で、これは俳優ではない」と区切ること自体、すごく難しいことなんじゃないかなと。
山田:そう。例えば1年間365日の中で、俳優と作家という2つの仕事にまったく同じ時間を使っていたら、その人は何になるのか。じゃあ51%を俳優に使ったら、その人は俳優になるのかって。僕は、そこはどうでもいいかなと思います。
阿部:ただ、こういう場では「俳優が話しています」と提示したほうが、見る人にとっては分かりやすいですよね。
山田:「俳優が“俳優って何?”と問いかけている」としたほうが分かりやすいじゃないですか。
阿部:そうですね。孝之のことを知らない人が見たら、「この人は何をしている人なんだろう。なぜ演技について話しているんだろう」と思うかもしれない。だから、「俳優として話しています」と示すことで伝わりやすくなるんだと思います。
――阿部さん自身は、「俳優とは何か」という答えを持っていますか?
阿部:僕は、あまり定義づけをしないかもしれません。「俳優とは何か」ということより、結局は「自分が何をするのか」しか考えていないんです。役をいただいたら、その役として何をするのかを考える。普段は「俳優とは何か」をわざわざ定義する必要も、そういう機会もあまりないので、考えてはこなかったです。今回あえて「俳優って何だ?」と投げかけているのは、それを見た人にも考えてもらいたいから。でも、もちろん僕自身の中にも、自分なりの答えはあります。
『THE OPEN CALL ‐MAIN PARTNER 山田孝之‐』は、Leminoにて毎週木曜0時更新で配信中。
