広末涼子、女優として「驚くほど感情移入ができた」“母親”として出会った役柄
作品のあったかな雰囲気は、千恵を献身的に支える夫・信吾役の滝藤賢一の存在によるところも大きい。決して完璧な夫ではないが、ちょっとトボけたキャラがリアル感を出している。「現場での滝藤さんは気持ちが溢れていらっしゃって、いつも目がうるうるしていて、愛情深い方なんだなと感じました。とにかく千恵さんである私と対峙するとぐっと感情が入ってしまって、私が『(涙のお芝居は)まだ早いですよ』と何度か止めたくらい(笑)」。だからこそ「どんなにコミカルにお芝居をしても軽々しくはならない。気持ちが入っているから、シリアスに演じなくても伝わりますし、薄っぺらくならないという安心感がありましたね」と信頼を寄せていた。
そして感情が溢れる滝藤の姿を見て「千恵さんの気持ちがわかった気がしました」と広末。「自分のことだと、私が泣いている場合ではないとか気持ちを切り替えようと考えられますが、変わってあげられないからこそつらくなってしまうんだなと感じたので、つとめて明るく振る舞っていた千恵さんの気持ちに改めて気づきました」と語る。
物語のクライマックスでは、声楽を習っていた千恵が、自身の夢だったコンサートのステージで歌うことを実現させる。「声楽のレッスンも受けましたが、監督と何度も話し合って、技術よりも感情を優先して歌うほうがいいということになりました」。ステージで歌う『満点星』は一青窈による書き下ろし。千恵の感情とマッチした詞曲が涙を誘う。「客席のみなさんが涙してくださって、また(出演した)一青さんも撮影が終わってから『感動して自分の歌で泣いちゃった』とおっしゃって、みんなで感動を分け合う撮影になりました」と感慨深げに語った。
映画『はなちゃんのみそ汁』は12月19日、テアトル新宿と福岡県内で先行公開。2016年1月9日より全国拡大公開。