大野拓朗『西郷どん』人斬り半次郎の役作りのテーマは“ピューマ”
大河ドラマ『西郷どん』で、西郷吉之助(のちの隆盛)の懐刀として西南の役まで行動を共にする薩摩藩の侍・中村半次郎を演じる大野拓朗。「これまでとぼけた役を演じることが多かったので、“人斬り半次郎”という猛々しい役でのオファーに驚いた」と目を丸くする一方で、「ここまで来たんだ」と熱い思いがこみ上げてきたという。そんな大野が、半次郎という役や、吉之助役の鈴木亮平への思いについて熱く語った。
【写真】大野拓朗演じる中村半次郎、刀を構える<4枚>
大野が演じる中村半次郎は、混とんとした幕末において、非常に多岐にわたる役目を果たし、その逸話も多い。なかでも“人斬り”という側面は、彼の名を世に広めた一つのキーワードだろう。大野も「人斬りと言われるぐらいだから、強いのは当たり前なんですよね」とつぶやく。「僕はこれまで、朝ドラの『わろてんか』や『とと姉ちゃん』など、ちょっととぼけた役が多かったので、自分でいいのかなと思いました」。
しかし「いろいろ調べてみると、漢字に弱かったり、西郷先生に純粋な忠誠心を抱いていたり、かわいらしいエピソードもたくさんあるんですよね」と、違う側面に注目していることを明かした大野。「『とと姉ちゃん』で演じた清は“おとぼけウザかわいい”、『わろてんか』のキースは“こざかしかわいい”と言っていたので、半次郎は“勇ましかわいい”キャラにしたい」と、大野ならではの半次郎像にチャレンジしているという。
幼少時代の半次郎は第3話(1月21日放送「子どもは国の宝」)に登場し、子役の中村瑠輝人が見事な殺陣を披露した。半次郎には「軒下の雨粒が地面に落ちる間に3度刀を抜き差しした」という逸話があるように、薩摩伝承の自顕流を駆使した殺陣シーンも見どころの一つだ。
大野は「瑠輝人くんの殺陣が非常に格好よく、プレッシャーだったんです」と苦笑いを浮かべながらも「僕も小学校3~5年に剣道を習っていて、時代劇のアクションも経験があるので、しっかりと練習して臨みました」とアピールする。実際、監督やプロデューサーは、受け身がない自顕流の動きをしっかり組み込みながらの大野の殺陣を絶賛したという。
また、もう一つの半次郎の特徴である、吉之助への忠誠心について「神ですよね。人柄に惚れているというレベルではない。頭のてっぺんから足の先まで、すべてが半次郎にとっては偉大。彼の敵は佐幕派ということではなく、西郷先生にとって反目するものは、たとえ薩摩の人間でも敵というぐらいの思いなんです」と筆舌に尽くしがたいほどの感情を表現できるかが鍵になると考えている。