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『DUNE/デューン』ドゥニ・ヴィルヌーヴが語る、巨匠ハンス・ジマーが作った“異星の音”

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映画『DUNE/デューン 砂の惑星』ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督
映画『DUNE/デューン 砂の惑星』ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督(C)2020 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

 世界中で「圧巻の映像体験!」と称賛されているSF映画『DUNE/デューン 砂の惑星』が、ついに日本でも公開された。『スター・ウォーズ』や『アバター』シリーズなど、数多くの作品群に影響を与えてきたフランク・ハーバートによるSF小説の映画化作品としても、熱いまなざしを浴びている本作。メガホンをとったドゥニ・ヴィルヌーヴ監督をリモートで直撃し、巨匠ハンス・ジマーとの“新しい音作り”や、念願の映像化に込めた監督ならではのこだわりポイントなど、興味深い撮影秘話を聞いた。

【写真】数々のSFに影響を与えた原作を、圧巻の映像美で映画化『DUNE/デューン 砂の惑星』フォトギャラリー


映画『DUNE/デューン 砂の惑星』 (C)2020 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved
 ヴィルヌーヴ監督といえば、SF映画の金字塔『ブレードランナー』(1982)の続編『ブレードランナー 2049』(2017)や、『メッセージ』(2016)など、スタイリッシュかつ静謐(せいひつ)な映像美とリアルな人間ドラマを紡(つむ)いできた名手だが、本作はまさに彼の集大成的な作品となった。

 主演は、『君の名前で僕を呼んで』(2017)で第90回アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされた見目麗しい若手俳優ティモシー・シャラメ。彼が演じるのは未来が視える能力を持つ青年ポール・アトレイデス役で、移住してきた砂の惑星「デューン」で、アトレイデス家と、宇宙支配をもくろむ宿敵ハルコンネン家との壮絶な戦いに巻き込まれていく。

●コンセプトは「地球とは異なる文明を持つ星の音楽」

 未知の映像美にもうなるが、ディズニーアニメーション『ライオン・キング』(1994)をはじめ、さまざまな映画音楽を手掛けてきた名匠ハンス・ジマーの音楽もまた、未体験のものだった。改めて、映画とは総合芸術の極みだと実感させられたのは言うまでもない。

 『ブレードランナー 2049』でもジマーと組んだヴィルヌーヴ監督は、直接会ってオファーしたそうだが、ジマーも原作の熱狂的なファンだったことが作品への情熱に拍車をかけた。

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』 (C)2020 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved
 「ハンスとはモントリオールでディナーをご一緒しました。彼にスコアをやってほしいとお願いしたら、彼から『DUNE』のスコアを作るのは昔からの夢だったと聞かされたんです。僕は思わず『その夢を実現してしまうことは怖くないですか?』と聞いたくらいです」と、ヴィルヌーヴ監督が当時のやりとりを明かした。

 そしてジマーは「地球とは異なる文明を持つ星の音楽」というコンセプトで、“異次元”の音を作り出した。

 「地球上に存在している楽器からは聞こえてこないような音を作り出したいということでしたが、それは新しい楽器をデザインするも同然の作業でした。例えば管の楽器を作り、友人に演奏させたりして、今回のスコアを作ってくれました。僕はその楽器を見た時、すごいなあと感動しました」。

●原作小説で一番強いのは女性キャラクター

 原作小説を読み込んでいる2人は「小説の一番の強さは“女性的なもの”で、すなわち女性のキャラクターたちから来ている」と共に感じとったそうだ。

 「だから音楽も可能な限り、女性的なものを目指しました。そうすることにより、映画自体にも女性らしさが押し出されると考えたわけです。そこで、すごくパワフルな女性アーティストを何人か呼んで録音しました。僕もその収録現場に立ちあえましたが、素晴らしい体験だったと思います」。

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』 (C)2020 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved
 ジマーといえば、『レインマン』(1988)の音楽がアカデミー賞にノミネートされて以降、オスカーの常連となった名作曲家だ。近年は『バットマン ビギンズ』(2005)以降、クリストファー・ノーラン監督作の6作品を手掛けており、現在大ヒット中の『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021)でも話題を呼んでいる。

 ヴィルヌーヴ監督は「まさに映画音楽のマスターと言える作曲家が、今回新しい形の表現を模索してくださったんです。自分が慣れ親しんでいる場所から1歩飛び出して、リスクを背負ってでも新しいことをしようとする姿には、大いに感銘を受けました」と巨匠を心からリスペクトした。

●ティモシー・シャラメとの固い信頼関係

 重責の主演を務めたティモシー・シャラメについては「本当にすてきな俳優です」と称える。

 「年齢が自分の子どもたちと近い(25歳の)ティモシーからすると、僕は父親のような存在だったのかもしれませんが、僕たちはすぐ仲のいい友人になれて、作品を作る上で共犯関係を結ぶことができたんです。彼は完全に僕のことを信頼してくれたので、僕自身もその期待に応えるべく毎日やっていきました」とティモシーの頼もしさを口にした。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督&ティモシー・シャラメ (C)2020 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved
 「ティモシーがこれほどの大作で主演を務めるのは初めてでした。彼がすぐに自分を囲むバブルを作り、役に集中する姿を見て、素晴らしいと思いましたし、そんな彼を守ることが僕の役目でもあった。また、現場でフランス語をしゃべれる人が、プロデューサーと僕、ティモシーぐらいしかいなかったのですが、やはり母国語のほうが語彙(ごい)は多いので、フランス語で話せたこともうれしかったです」。

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