新星・大沢一菜が“あみ子”を体現 今村夏子原作『こちらあみ子』ビジュアル&特報解禁
<森井勇佑(監督)コメント>
今村夏子さんの原作小説をはじめて読んだときから、あみ子という存在が、僕の中に住み着いて離れなくなりました。それはたぶんあみ子に、僕の根っこの部分が共鳴したからなのだと思います。世界の輪郭はもっと、ぐにゃっとしていて、きらきらしていて、不気味で、粒だって生きいきしているのだということ。社会とは別に、そんな世界のありようがあるのだということ。この感覚を映画にしたいと思いました。
オーディション会場の待合室で、大沢一菜が椅子にただ座っている姿を見たとき、この子があみ子だとすぐに思いました。一菜の目はどこか遠くを見ていて、まるで僕には見えていないなにかを見ているかのようでした。
一菜はとても自由で、なににも縛られない、台風のような子です。彼女が撮影現場に現れると、ものすごい勢いで現場が沸き立ち動き出すのでした。僕たちは必死にそれを撮影しました。一菜やみんなと過ごした時間は、僕にとってかけがえのないものです。
あみ子はいまなにを思っていて、どんな景色が見えていて、どんな音が聞こえているのか。あみ子取り巻く世界はどんなものなのか。みんなで目一杯想像しながら、たくさん遊んで作った宝物のような映画です。そんな時間も、公開とともにもうすぐ終わっていってしまうのかなと思うと、とても寂しいものがあります。でもそれと同時に、これからこの映画を観てくれる人たちとあみ子が、いったいどんな新しい出会いをするのか、とても楽しみでもあります。どうか良い出会いとなりますように。