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是枝裕和、新作『ベイビー・ブローカー』と過去作とのつながりを明かす ソン・ガンホらとカンヌで会見

映画

映画『ベイビー・ブローカー』第75回カンヌ国際映画祭 フォトコールにて
映画『ベイビー・ブローカー』第75回カンヌ国際映画祭 フォトコールにて(C)2022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED

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 6月24日公開の是枝裕和監督最新作『ベイビー・ブローカー』が、第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品されたことを受け、是枝監督、ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、イ・ジウン(IU)、イ・ジュヨンがフォトコール&記者会見に出席した。

【写真】『ベイビー・ブローカー』是枝裕和監督、ソン・ガンホら、第75回カンヌ国際映画祭フォトコールの様子

 本作は“赤ちゃんポスト”に預けられた赤ん坊をめぐり出会っていく人々が描かれるヒューマンドラマ。『万引き家族』の是枝監督と『パラサイト 半地下の家族』のソン・ガンホがタッグを組んだ注目作だ。

 フォトコールでは是枝監督をはじめ、ソン・ガンホらキャスト陣が撮影に応じ、和気あいあいとした雰囲気に。その後、会見場へ向かった5人。場内には多くのメディアが詰めかけ、作品への注目度が伺える熱気に包まれた会見となった。

 本作で描く“家族の物語”について、是枝監督は「今回、車に乗り込む者たちの疑似家族の旅を描こうと思い、あらかじめ色々な形で、一般的に考えられる普通の家族、親子という者から排除されている、切り離されて生きてきたという人たちが、ほんの短い間同じ車に乗るという話にしたいなと思って書きました」と説明。

 「そのことによって、私たちが捉えている“家族”というものを捉えなおしたいという気持ちもありました。彼らが一瞬だけ手にすることで何かひとつだけいいことをする、すごく小さな悪人だったり、悪意をもって旅に同行した人たちが、ひとついいことをする、そんな物語を紡いでみたいと思って作った映画です」と明かした。

 キャラクターについては、「描かれるモチーフが深刻であればあるほど、ディティールの描写にはある種の軽やかさやおかしみのようなもの、人間が本来持っている存在のおかしみみたいなものを表現したかった。それを表現するにはソン・ガンホさんという役者さんは一番ピッタリだなと思いました」と話す。

 そんなソン・ガンホは、是枝監督について「監督は常に挑戦を受ける方で、そこに感銘をうけます。感服しています。日本と韓国では文化的な違いがある。そういうことがあっても私たちはそれを乗り越えて幸せに一緒に仕事をすることができましたし、そのことが逆にこの仕事を面白いものにしてくれました」と語った。

 また、是枝監督と他の韓国監督たちとの違いについて、ソン・ガンホは「是枝監督は食が大好きなところです。美食を好み、食べることが好きで韓国料理が好きです。他の韓国の監督との大きな違いでした」と話す。カン・ドンウォンは他の監督との違いは「わからない」としつつ、「役者と共にいてくださる。そして感情をディティールにわたって捉えてくださる」と是枝監督の印象を語った。

 イ・ジウンは言語の壁に触れ、「原語のバリアがあるから、より集中しました。他の参加した映画に比べて面白い体験でした」と明かす。イ・ジュヨンは「監督との仕事はすばらしいもので、もちろん通訳は入れましたけども、それ以外はそんなに大きな差は感じませんでした。現場の雰囲気もリラックスしたものを作ってくださったので撮影も快適でした」と振り返った。

 また是枝監督は、本作と過去作『そして父になる』『万引き家族』とのつながりについて聞かれ、「あるといえばそうかもしれない」と同意。「『そして父になる』を撮って、男性はなかなか実感が持てなくて、父親になるには何か階段をのぼっていかないとなれないんです、というような実感を話したときに、友人から批判をされまして。女性でも産んだ人たちがすぐに母になるわけではない。母性というものが生まれつき備わっているのだということ自体が偏見であるということを指摘されて反省しました」と明かす。

「そのことから、『万引き家族』の安藤サクラさんが演じた産まないんだけど母親になろうとする女性と、今回イ・ジウンさんが演じた産んだんだけれども、色んな事情で母になることを諦める女性という、その2人の女性像というのが、自分なりにそこの反省から生まれた2人の女性像という形でした。これは本当に姉妹として描いているんですね。だから僕の中でも直線的に『そして父になる』からこの『万引き家族』と『ベイビー・ブローカー』はつながっております」と語った。

 さらに、「この作品に限らず僕自身は現実味を厳しさというものをどこかにきちんと描きこみながらもやはり最後に人間の可能性とか、ある種の善性みたいなものは、今回特に赤ちゃんを巡る話でもあるので、描きたいなという風に思いました」とも明かしている。

 「日本でも韓国でも、この『ベイビー・ボックス』というものへの評価というのは定まっておらず、賛否色々とあると思います」という是枝監督。「ぺ・ドゥナさんが演じた(刑事の)スジンの目線を通して、車の外から見ていたら単なる犯罪者の集まりである彼ら、そして売られていく赤ん坊を見る目線を、映画を通して色々なところから揺さぶっていきながら、スジンの中で彼女の言葉や、考え方、目線、母親に対する意見がどういう風に変わっていくのか、それが、映画の縦軸になるのだろうなと思いながらつくっていました」とコメント。

 そして、「映画をご覧になった皆さんがスジンと同じように、それぞれの今までの価値観をちょっとだけ見終わった後にもう一度見つめ直していただけるような、そんな映画であれば良いなと思っています」と言葉を寄せた。

 映画『ベイビー・ブローカー』は、6月24日より全国公開。

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