『雨を告げる漂流団地』監督&声優が明かす配役・収録の裏側 異例の取り直しにも「自信を持って」
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9月16日に公開予定の長編アニメーション映画『雨を告げる漂流団地』。『ペンギン・ハイウェイ』『泣きたい私は猫をかぶる』を手掛けたスタジオコロリドの最新作ということでファンの期待も高い作品だが、そのキャスティングには並々ならぬ思いが込められているという。今回は、石田監督と声優キャストのコメントから本作のキャスティングの裏側に迫る。
【動画】田村睦心、瀬戸麻沙美ら熱演 『雨を告げる漂流団地』本予告
本作は、漂流する団地を舞台に描かれる、小学6年生の少年少女たちのひと夏の別れの旅の物語。小学6年生の航祐は、同級生たちと取り壊しの進む「おばけ団地」に忍び込む。航祐はそこで、幼なじみの夏芽と思いがけず遭遇し、謎の少年・のっぽの存在について聞かされる。すると突然、団地ごと一面の大海原に漂流していて…。
監督を務めるのは、34歳の若さで長編映画第2作目となる石田祐康。スタジオオリジナル作品である本作を、瑞々しい映像と親しみやすい作品を作り出す。
■「この子はきっと…」キャラクターに寄り添ったキャスティング
映画『雨を告げる漂流団地』場面写真 (C)コロリド・ツインエンジンパートナーズ
主人公・航祐を演じる田村睦心は、さまざまな“少年”を演じてきた実力派。航祐は、誰よりも幼なじみの夏芽のことを気にしていながらも、素直に優しくできない思春期真っ只中の少年だ。田村とのダブル主演で夏芽を演じるのは、『呪術廻戦』釘崎野薔薇など数々ののヒロインを演じている瀬戸麻沙美。このほか、村瀬歩、山下大輝、小林由美子、水瀬いのり、花澤香菜ら実力派が名を連ねる。
本作のキャスティングはどのように決まったのか。石田監督は「あくまで自分なりにですが…キャラクターを人となりから好きになって、脚本から作画に至るまでの一挙手一投足を見守っていると、何か思い込みに近い“この子はきっとこう”というのが自動的に出てくる気はしています。それに従うだけでして…」とその裏側を明かす。
また、「航祐と夏芽、譲と太志、令衣菜と珠理…というように、誰かが誰かを気にし見守っているところがカップリングとしてはありました。それが素敵な形になればなと考えてはいました」と、それぞれのキャラクターが引き立つバランスを考えながらのキャスティングであることも語っている。
■同じシーンの録り直しも キャストが納得する異例の収録
映画『雨を告げる漂流団地』場面写真 (C)コロリド・ツインエンジンパートナーズ
アフレコでは「みんな本当にピッタリだから自信を持ってやってください」と言われたうえで、同じシーンの録り直しが多かったという。しかし、キャラクターに寄り添って作品を作り続ける石田監督の姿勢はキャストたちにも伝わっていたようだ。
航祐を演じる田村は「少し強く言っていたセリフをちょっと抑えてもう一度やるとか、いろんなパターンを録っていただいたんですね。なので、こちらとしては『もしかして今のは不正解だったかな』と不安になりがちなのですが、毎回、『今のもピッタリなんで気にしないでください。絵との兼ね合いでどれがふさわしいか選ばせてもらいたいんです』と言ってくださるので、そこで落ち込むことなく、最後まで終えることができました」とアフレコ当時の様子を振り返る。
夏芽役の瀬戸は、石田監督への印象について「最初にご挨拶をしたときに謙虚で控えめな印象を受けたのですが、ひとたび物語やキャラクターについておうかがいすると、とめどなく思いが溢れ出してくる方でした」という。アフレコでは、「何週にも及んだ収録の中で、その言葉(みんな本当にピッタリだから自信を持ってやってください)がすごく励みになりました。監督がピッタリと言ってくれたのならと自信を持って夏芽を演じきることができました」と明かしている。
昨今、ジャンルが増え、歌手や舞台など活躍の場が広がる声優業界。「声優名鑑」(主婦の友インフォス)に掲載される声優の人数は1600人を超える。その中からキャラクターに合わせて選び抜かれた実力派声優が集結したスタジオコロリド最新作、キャストの演技と物語の調和に期待が高まる。
長編アニメーション映画『雨を告げる漂流団地』は、9月16日よりNetflixにて全世界独占配信、日本全国公開。