荒川良々、丸山隆平、上白石萌歌が赤堀雅秋の最新作に集う!『震度3』上演決定
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■水澤紳吾
今作で5回目の参加となる赤堀さんの舞台。回を重ねるたびに身の引き締まる思いも増して、今はよじれて切れてしまいそうな心境です。
自分にとっての赤堀作品の魅力は、劇中で描かれる、登場人物たちの心身に溜まっているよどみが暴発するところ。傍からみたら「なんで?」と引いてしまうけど、切実さの発露する瞬間に心をえぐられます。中でも『ケダモノ』での、あめくさんと荒川さんのやりとりはすごかったです。
今回共演には、私と同じく“乞食担当”の西本さん、松浦さんがいます。このところ本当に素晴らしい芝居をしているお2人で、追いついていけるか心配です。私には、気合で食らいついていくしかできないので、必死にやります。
赤堀さんの戯曲と演出で一緒に稽古し、近くで芝居を観られるのが嬉しい出演者の方々が揃う今回。ビビッていますがぜひ、劇場にお越しください。
■山下リオ
赤堀雅秋作品に出演できて、ようやく一端(いっぱし)の役者になれると思っていたので、お声がけいただいた時は率直に嬉しい気持ちと、そこに踏み込む恐怖の半分半分でした。
赤堀さんの作品には、たばこみたいな人たちが出てきます。燃え尽きていく、その周りに立ち上る黒い煙が、たまに美しく見える時もあるなぁなんて。物語としてハッピーエンドでなかったとしても、私は観終えた時、どこか救われた気持ちになるんです。同時に観劇中は、あまりのリアリティに何度も圧倒されるのですが、その空気が稽古場でどうつくられるのか、自分にできるのかを、試されるような気持ちにもなっています。
座組の方々は、私にとってはレジェンドの集まりにしか見えません。尊敬する先輩方の背中をしっかり見ながら、置いてけぼりにならないよう食らいついていきたいと思います。
■西本竜樹
2021年の舞台『白昼夢』で、赤堀さんの稽古場代役としてお手伝いをさせて頂き、荒川さんともご一緒させて頂きました。その後、赤堀さん演出の『蜘蛛巣城』(2023 )に呼んでいただき、水やん(水澤紳吾)とはそこで初めて共演。その後も仲良くしてもらっています。松ちゃん(松浦祐也)は共演は初めてですが、水やんと一緒に東京乾電池の舞台をよく観に来てくれて、仲良くしてもらっています。
この方たちと創作するということは、よくある仲良しこよしのプロデュース公演には絶対になりません。それがとても楽しみであり、緊張感も持っています。
赤堀作品の魅力は、人間のダークな部分が笑いに繋がっているところだと、個人的には思っています。加えて『震度3』という、不穏で胸騒ぎのイメージがするタイトルがつく今回。面白くなる予感しかありません! ぜひ、観にきて下さい!
■松浦祐也
先日、内装仕事をしていた時のこと。
施主さんから菓子の差し入れをいただきました。年配の職人さんがマーブルチョコを全部出し、難しい顔をしながら黄色だけ選んで食べていました。「黄色が好きなんですか?」と訊くと、その職人さんは「黄色はバナナ味で美味いんだよ」と真面目な顔で教えてくれました。もちろんマーブルチョコは全部同じ味です。
「ああいうセリフ、なかなか書けないよなあ」と思ったのですが、帰りの電車の中で「赤堀さんなら書ける!」と思い至りました。赤堀さんは僕にとって、そんな稀有な劇作家です。
今回、赤堀さんに呼んでいただいてとても嬉しいし、荒川良々さんや水澤紳吾さんと再びやれることも楽しみです。でも、それ以上に怖い。久しぶりの演劇ですし、やっぱり赤堀さんの芝居は緊張します。とにかく懸命にやりますので、ぜひご観劇下さい!
■あめくみちこ
前回出演させていただいた舞台『ケダモノ』では、真面目に働き、親の介護をしてきた普通のおばさんが、若い人(良々さん)に恋した挙げ句、煮詰まり、思いあまって殺してしまうという役を演じさせていただきました。戯曲のラストシーン、その原稿を初めて読んだ時の衝撃は今でも忘れられません。
一生懸命生きようとすればするほど、世の中から外れ、はみ出してしまう。そんな人たちを遠慮なく描き切ってしまうところが、何度でも赤堀雅秋さんの芝居を観たいと思わせる、また俳優には参加したいと思わせる魅力なのだと思います。だから今回お声がけをいただいた時も、血沸き肉躍る感覚に全身が包まれました。
まだどんなお話で、どんな役かは白紙状態。だから今の私は全身不安の固まりであり、同時に全身期待と楽しみの固まりでもあります!