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原爆直後に救護にあたった女学生ら描く『長崎―閃光の影で―』 被爆3世監督がこだわり抜いた世界観

映画

作品内で時計が何度も描かれる理由とは

■ 爆心地のパノラマ写真がスクリーンに現れる

 物語の終わりにスミが一面焼け野原になった高台を訪れるシーンでは、実際に撮影をした場所の背景に写真家・林重男が長崎の爆心地を捉えたパノラマ写真をVFX合成した。

■ 目に映るものへのこだわり

(C)2025「長崎―閃光の影で―」製作委員会
 原爆投下の瞬間にスミが乗っていたバスは、当時のものに近いバスが個人所有により現存することを探し出して使用したものだ。監督がこだわったのはこのバスに限らない。「視覚的に時代を表現するものについては、制作部などにはできるかぎり粘って当時のものを見つけてほしいとお願いしました」と振り返る。

■ 刻まれ、過ぎゆく「時間」

(C)2025「長崎―閃光の影で―」製作委員会
 本作では、時を刻む壁時計や、スミが常に身に着けている父親の腕時計をはじめ、観る者に“時間”を意識させる描写やモチーフが数多く登場する。「“時を刻む”ということは、この映画でも強く意識した部分です」と語る監督は、原子爆弾がさく裂した11時2分をはじめ、スミたちが時間を忘れ救護活動に没頭していくことを例示。また、「当時から時間が経過し続け、今年が原爆投下から80年と時は離れ続けていく一方で、世界に目をやると新しい戦争が変わらずに各地で起きていることを観ている方に意識してほしいとも思いました」と語る。

■ 1945年8月の長崎市の気温

(C)2025「長崎―閃光の影で―」製作委員会
 監督は、物語の舞台と同じく真夏に撮影をした方がいいと当初は考えていたが、リサーチであたった長崎原爆戦災誌(長崎市編)などにより1945年8月当時の長崎市の最高気温が27度ほどであったことを確認。本作の撮影は2023年10月に約1ヵ月にわたり行われたが、この時期の気温は1945年8月の長崎の気温とほぼ一緒なのだ。

■ 一番大切にしたのは“寄り添う”こと

(C)2025「長崎―閃光の影で―」製作委員会
 長崎の原爆被害の実像や1945年という時代を描く上で一番大事にしたことについて、監督は「映画として表現できることに限りはありますが、だからこそ当時の方々の思いに寄り添いたいと思いました」と強調する。「被爆者の方たちはもちろん、当時のことに対して極限まで想像力を働かせて、できる限り近づくということは僕にとってのテーマでした。役者さん達にとっては大変だったと思いますが、それをやっていただきました。それを通して出てくる生々しい感情を撮りたかったんです」と振り返る。

 映画『長崎―閃光の影で―』は、7月25日長崎先行公開、8月1日全国公開。

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