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『廃用身』吉田光希監督が先輩・吉田恵輔監督とトーク! 染谷将太演じる主人公を巡って議論

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映画『廃用身』スペシャルトークショーより
映画『廃用身』スペシャルトークショーより(C)2025 N.R.E.

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 映画『廃用身』のスペシャルトークショーが、22日に開催。監督を務めた吉田光希、特別ゲストとして吉田恵輔、MCに映画評論家・森直人が登壇し、映画制作の裏側から作品テーマまで、多岐にわたるトークを繰り広げた。

【写真】吉田光希監督が、塚本晋也監督作品の現場で先輩だった吉田恵輔監督と対談!

 本作は、主人公である異人坂クリニックの院長・漆原糾(染谷将太)が、患者である高齢者の廃用身(麻痺などにより、回復見込みがない手足のこと)を切断することにより、切った本人の病気の改善や、介護者の負担軽減を見込み、どんどん施術にのめり込んでいく、「映像化、絶対不可能」と言われた小説の奇跡の映像化作品。監督と脚本を務めるのは『家族X』(10)、『三つの光』(17)の吉田光希。

 主演の染谷将太は、医療の限界を超えたいと力強く訴え、理想を追い求めるあまり、合理性と狂気の危ういはざまへと踏み込んでいく主人公の医師・漆原糾を演じる。

 吉田恵輔監督と今作の監督・吉田光希は、塚本晋也監督作品の現場を経験した“塚本組”の先輩後輩という関係性でもある。

 吉田恵輔監督は、吉田光希監督との最初の出会いを「僕、面接してるんですよ」と回想。『六月の蛇』のスタッフ追加募集に応募してきたのが、当時まだ浪人生の吉田光希監督だったという。小学校の校庭で行われたという“実験”的な面接を振り返りながら「良い動きをしてたんで、“お願いします”って(スタッフに加わってもらった)」と当時を懐かしそうに語った。

 一方の吉田光希監督も、「大ファンだった塚本監督の現場に行けるチャンスだと思って応募した」と振り返り、映画制作の原点となった経験を明かす。

 そんな“塚本組”の現場を経て、現在ではそれぞれ監督として活躍する2人。森から、両監督作品を撮影監督・志田貴之が支えていることや、スタッフ陣に共通点が多いことに触れられると、吉田恵輔監督は「エンドクレジットを見ると、スタッフほぼ一緒なんだよね」とコメント。映画作りの現場でつながり続けてきた関係性が垣間見える一幕となった。

 トークは次第に『廃用身』の演出論へ。吉田恵輔監督は本作について「テーマ的には“よっしー(※吉田光希監督のあだ名)っぽい”と思った」と語りつつ、「今回は撮り方が今までと全然違う」と指摘。特に印象に残ったものとして、ズームやトラックインを多用したカメラワークを挙げ「ずっと何か起きそうな予感がする」と、その“不穏さ”について分析する。

 これに対し、吉田光希監督は「欠損描写を“インパクト”として見せたくなかった」と説明。身体の損傷をカット割でショッキングに切り取るのではなく、観客が少し距離を取りながら考え続けられるような映像を目指したという。

 また、染谷演じる主人公・漆原についての話題では、“善意”をどう描くかというテーマへ。吉田光希監督は、原作の久坂部羊や主演の染谷とも「漆原をサイコパスとしては描かない」という認識を共有していたと明かす。「究極の善意の行き着く先」として人物像を構築していたと語り、「本当に患者のことを思っている人として演じてもらった」と振り返った。

 一方で吉田恵輔監督は「思い込みの強い人間」として漆原を捉えていたとコメント。「本人は正しいと思ってやっている。でも、その強さが危うさにも繋がる」と語り、“善意と狂気は紙一重”という本作のテーマ性にも触れた。

 さらに話題は、介護や医療、高齢化社会の問題へと発展。吉田恵輔監督は「これは本当に他人事じゃない映画」と切り出し、「親世代を含め、いつか必ず向き合う問題」と語る。そして「答えを提示する映画ではなく、“自分はどう考えるのか”と向き合うきっかけになる作品」と、本作の存在意義について言及した。

 吉田光希監督もまた、原作者で現役医師でもある久坂部とのやり取りを紹介。自身の親に置き換えて考え「(切断は)躊躇する」と言った吉田光希監督に対し、久坂部先生は「麻痺の苦しさを知らないから、そう言えるんですよ」と言ったというエピソードを明かし、“当事者性”によって見え方が大きく変わる題材であることを語った。

 その後、吉田恵輔監督から印象的なラストシーンについて質問が寄せられる場面も。吉田光希監督は、原作ではフェイクドキュメント的な構成になっていることを説明しつつ、映画版ラストについて「“回復した姿”を直接見せるのではなく、“回復の予感”を描きたかった」と演出意図を語る。

 ラストシーンで風に揺れる洗濯物や、かすかに聞こえるとある声について「場所によって聞こえ方が変わるように音を配置した」とこだわりを明かし、「ぜひ映画館の音響とスクリーンで観てほしい」と呼びかけた。

 最後に吉田恵輔監督は「これからもっと身近になっていく問題だと思う」と改めて作品テーマに触れ、「ぜひ周りの人にも薦めてほしい」とコメント。そして吉田光希監督は「いろんな感想が届いている」とSNSやレビューサイトでの反響に感謝を述べつつ、「長文の感想が多いのが本当にうれしい」と語る。賛否両論の渦を巻き起こしている感想に対して、「ポジティブでもネガティブでも、熱量を持って感想を書いてもらえること自体がありがたい」と観客へ感謝を伝え、トークショーを締めくくった。

 映画『廃用身』は公開中。

※両・吉田監督の「吉」は「つちよし」が正式表記

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