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【レビュー】映画『エゴイスト』鈴木亮平×宮沢氷魚の“恋愛”だけではない、“救いの物語”に注目

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(左から)鈴木亮平、宮沢氷魚
(左から)鈴木亮平、宮沢氷魚 クランクイン! 写真:池村隆司

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宮沢氷魚

 『俺物語!!』『孤狼の血 LEVEL2』、大河ドラマ『西郷どん』(NHK総合)など、体形や見た目から変ぼうしてみせ、和製ロバート・デ・ニーロと呼ばれることも多かった鈴木亮平だが、外見をガラリ変えずとも、その人として作品に息づいてみせるのは、人気作『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(TBS系)や、話題になったばかりの『エルピス-希望、あるいは災い-』(カンテレ・フジテレビ系)などでも証明済み。公開になった『エゴイスト』でも、画面に現れた瞬間に、鈴木という俳優は消え、ゲイの浩輔が、ただそこにいることにハッとする。男性カップルのラブストーリーとして観に行く人が多いと思うが、ある出来事を境に映画は急変。一気に浩輔の内面へと入っていく。本作は、実は救いの物語でもある。

【写真】鈴木亮平×宮沢氷魚『エゴイスト』、阿川佐和子演じる母との3ショットなど場面写真公開

■14歳で母を亡くした主人公の救いを見つめた物語

 『エゴイスト』は、2020年に他界したエッセイストの高山真による自伝的小説を、『トイレのピエタ』『ハナレイ・ベイ』の松永大司監督が映画化した人間ドラマだ。そこで鈴木は、「愛が何なのかよく分からない」と言って誰よりも愛を求め、愛にさまよう浩輔として生きる。

映画『エゴイスト』場面写真(C)2023 高山真・小学館/「エゴイスト」製作委員会
 田舎で育った浩輔は、14歳のときに病気で母親を失った。学校では同級生たちにいじめられ、母が亡くなった際には父が配った香典返しを前に「ババアが1人死んだくらいで」とバカにされた。そんな“バカな奴ら”と同等にならないために、浩輔は上京して出版社に就職。ファッション誌の編集者になった。

 前半パート。仲間たちと飲み屋で『Wの悲劇』について語らい、こだわりの伝わる自宅でちあきなおみの「夜へ急ぐ人」を1人熱唱する浩輔は、まさに東京での自由な生活を謳歌(おうか)して見える。しかしあるとき、浩輔は、柄本明演じる父の言う「出会っちゃったからしょうがない」ではないが、知り合ったパーソナルトレーナーの龍太(宮沢氷魚)に惹(ひ)かれ、自分自身と向き合わざるを得なくなっていく。

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■観客を誘う、“吸い付くよう”なカメラワーク

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