クランクイン!

CLAN QUEEN「WARNING!!」は『PSYREN』から届く“着信”だ――失われた未来へ手を伸ばす歌

音楽

■CLAN QUEENの世界と、待ち続けたファンの時間が交わる

 CLAN QUEENは、yowa(Vo)、AOi(Gt)、マイ(Ba)からなる3人組。2022年の結成以来、音楽とビジュアルのすべてをコンセプチュアルに構築する“アートロック”を掲げてきた。音源、アートワーク、ミュージックビデオを別々の成果物にせず、一つの世界として差し出す。その姿勢は「WARNING!!」でも揺らいでいない。

 「WARNING!!」で印象的なのは、『PSYREN』の物語に深く寄り添いながら、CLAN QUEEN自身の輪郭も失っていないことだ。痛みや孤独を抱えたまま、それでも誰かへ手を伸ばす歌の主人公は、アゲハに重なる一方、濃密な音像と切迫した歌声の中にも無理なく立っている。作品に合わせて彼らが姿を変えたのではない。もともと持っていた衝動が『PSYREN』と出会い、ひとつの形を得たように聴こえる。

 2026年4月、CLAN QUEENは配信限定トリプルA面Sg「Secret Empire」でSony Music Labelsへ移籍。その約半年後に送り出したのが、初のアニメタイアップ「WARNING!!」だった。より広い聴き手と出会う局面でも、音の密度も、言葉の痛みも、映像まで含めた美学も薄めない。作品への敬意と自分たちらしさを、どちらも譲らず成立させている。

 メンバーのマイが監督したミュージックビデオも、その交点を見逃していない。着想として語られたのは、未来だったものが過去へ変わること、終わったはずの時間にも別の続きがあるかもしれないということ。現代と崩壊した未来を往復する『PSYREN』はもちろん、作品を待ち続けたファンの時間にも響く発想だ。

 原作は2008年から2010年まで『週刊少年ジャンプ』で連載され、完結後もAnimeJapanの「アニメ化してほしいマンガランキング」に3度ノミネートされた。長いあいだアニメ化を願ってきたファンにとって、このフレーズは作中だけの言葉ではない。一度は遠ざかったように見えた未来が、2026年、テレビアニメという形で現実になった。その瞬間まで含めて聴くと、「WARNING!!」はアゲハのためだけでなく、待ち続けた人たちのための歌にもなる。

 期間生産限定盤で、岩代俊明描き下ろしのアゲハが「暴王の月(メルゼズ・ドア)」を構えているのも、原作ファンにはうれしい応答だ。楽曲、映像、パッケージのすべてが、それぞれの入口から同じサイレン世界へつながっている。

 赤いカードを握ったアゲハが電話に出たように、視聴者も警告音を合図に『PSYREN』へ戻っていく。「WARNING!!」が鳴らしているのは、危険だけではない。長く閉ざされていた物語の扉が、いま開いたという知らせだ。

 警告音が鳴る。受話器の向こうで、待ち続けた未来が始まっている。

(文:吉野庫之介)

 テレビアニメ『PSYREN -サイレン-』は、TOKYO MX、BS11ほかにて、毎週月曜23時より放送。各配信サービスでも配信中。

2ページ(全2ページ中)
CLAN QUEEN「WARNING!!」ミュージックビデオ

この記事の写真を見る

Googleで優先するメディアとして追加 クランクイン!にチェックを入れて、おすすめ記事を読む!

関連情報

あわせて読みたい


最新ニュース

クランクイン!トレンド 最新ニュース ›

おすすめチケット

powered by ローチケ

おすすめフォト

おすすめ動画 ›

最新&おすすめ 配信作品 ›

注目の人物 ›

  • [ADVERTISEMENT]

    Hulu | Disney+ セットプラン
  • [ADVERTISEMENT]

トップへ戻る