『青天を衝け』では上白石萌音が好演 “篤姫”を演じた人気女優たち
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現在放送中の大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合/毎週日曜20時ほか)で天璋院(篤姫)を演じている上白石萌音。これまでも大河ドラマをはじめとするさまざまな作品の中で、そうそうたる顔ぶれの女優陣が篤姫役を演じてきた。そこで今回は、近年で強く印象に残っている篤姫役を振り返ってみたい。
【写真】篤姫を演じた豪華女優陣フォトギャラリー
史実上の篤姫/天璋院は、薩摩藩島津家の一門に生まれ、江戸幕府第13代将軍徳川家定の正室となった人物。動乱の幕末において、家定急死後も徳川家の存続に向けて尽力し、江戸城無血開城の実現に大きな役割を果たしたとされる。そんな激動の時代を生きた篤姫を、これまでそうそうたる顔ぶれの女優陣が演じてきた。
■ “かわいいけど高圧的な篤姫”を熱演 深津絵里/1998年大河ドラマ『徳川慶喜』
まずは1998年放送の大河ドラマ『徳川慶喜』で演じた深津絵里。出番そのものはあまり多くなかったが、キリリとつりあがったりりしい眉と強い目ヂカラ、白く透き通った肌で顔色も変えずにキツイ言葉を浴びせかける様は、かなり貫禄があった。なぜそこまで上からモノを言うのかと思わせるくらいの高慢さである。
その「かわいいけど高圧的で憎たらしい篤姫」像は、今思えば「あれって篤姫だったんだっけ?」というくらいの印象の人もいるかもしれない。非常に興味深いのは、この時期、深津絵里がドラマ『踊る大捜査線』シリーズ(フジテレビ系)において、恩田すみれ役で大人気だったこと。また、同じ1998年1月からはいまだに高い評価を得ている名作ドラマ『きらきらひかる』(同系)で主演も務めている。2000年代半ばからは主な活動の場を映画に移していくが、その手前のお茶の間的な人気絶頂期に、わずかな出番で憎たらしい人物を演じていたのは、貴重だったといえるかもしれない。
■ 時代劇初挑戦で新境地 菅野美穂/2003年ドラマ『大奥』
浅野妙子脚本による『大奥』(フジテレビ系/2003年)で篤姫を演じたのは、菅野美穂。この作品において大奥は「女の牢獄」として、ドロドロの女の闘いが描かれた。何より強い印象を放っていたのは、浅野ゆう子演じる大奥取締役の瀧山のすさまじい迫力である。菅野美穂演じる、薩摩の田舎から出てきた御台所(篤姫)に対し、多くの厳しいしきたりをみっちり叩きこみ、将軍家の血筋を絶やさないために寝屋での作法も指南する。
しかし、大奥で生きていく覚悟を決めた篤姫が、自分の立場の方が上だと宣言したところから、壮絶な戦いがぼっ発。物語はどんどん面白くなっていく。さらに、池脇千鶴演じる語り部兼篤姫付小姓・まるのやわらかさは高く評価され、菅野、浅野、池脇という三つ巴の見応えある物語となっていた。
ちなみに本作は、フジテレビが、それまで時代劇に出演したことがなかった若手アイドル、若手女優を主演格に招き、若年層にも楽しんでもらえる時代劇番組を作ろうとした企画「スーパー時代劇」シリーズの一角。トレンディドラマの象徴的存在だった浅野ゆう子が怖い大奥取締役だったことが大いに注目されていたし、菅野美穂にとっては時代劇への初挑戦で、新境地を開いた作品でもあった。