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かたせ梨乃、五社英雄監督との出会いが転機「『極道の妻たち』が私を女優にしてくれた」

映画

■五社監督が求めていた“本物”は、“映画として見せるための本物”



 リアリティを求め、熱く映画づくりに臨むのが五社スタイルだというが、かたせは「五社さんが求めていた“本物”は、“映画として見せるための本物”」だと語る。

 「例えば『極道の妻たち』で志麻さんと私が喧嘩をするシーンでも、本当の喧嘩をしてしまったら、そのシーンを美しく撮ることはできない。芝居として“見せる喧嘩”をすることが必要です。それにあの場面は、姉妹の別れとなるとても悲しい、切ないシーン。やっぱり芝居が大事になるんですね」と名シーンを振り返り、「志麻さんとは今でもとっても仲良し。“何日にこの番組に出るから”と連絡すると、“このお洋服はよかった”とお返事を頂いたり、私の作品もいつも観てくださって、“梨乃ちゃんも老け役をやるようになったのね”なんて言われたり(笑)」と今でも姉妹のような関係が続いているのだという。

 あらゆる出会いを回顧しながら「本当に、いい時代に、いい映画に出させていただいた」と喜んだかたせ。「今は、コンプライアンスが重視される時代。『極妻』シリーズも後半にかけて、徐々にいろいろな制約が出てきたなと感じることがありました。できないことがあると残念だなと思うこともありますし、ドンパチしているのにシートベルトをしなきゃいけないとなると、不思議!って思いますよね。でも時代の流れとしては仕方ない」と率直な思いを話す。

 「五社さんの映画が今また注目されていて、若い方々の中にも五社ワールドのファンがたくさんいらっしゃるみたいなんです。こうして時を経ても観ていただけると思うと、やっぱり映画ってすごいものだなと。本当にいいものですよね」と映画への愛情をあふれさせる。五社作品や、小沢がコンプライアンスに真っ向勝負に挑んだ『BAD CITY』で、かたせ梨乃の積み重ねた軌跡をぜひ目撃してほしい。(取材・文:成田おり枝 写真:高野広美)

 映画『BAD CITY』は、全国順次公開中。

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