小泉今日子&小林聡美、出会いから40年 「嘘がない」「天才」“ふたり”を結ぶ心地よい信頼関係
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小泉今日子
――小泉さんと小林さんは、1985年放送のドラマ『女の一生』から、さまざまな作品で共演されてきました。
小林:今回は幼なじみということで、大人ならではの気配りみたいなものを取っ払った、楽な関係性でいられる同士という役でやりやすいですね。
小泉:同じ学年なので、何か話題が出た時に、なんにも打ち合わせしなくてもパッと合わせられるみたいな幼なじみ感はもともと持っているかもしれないですね。役を作っていく上で、台本をどう面白く表現するかという点でもストレスなくできたかもしれないです。
出会ったのが10代で、そこから30代、40代と一緒に作品を作ってきたので、もう幼なじみみたいなものかもしれないです。でも、しょっちゅう会ったり、メールや電話をするということはなくて。
小林:お互い知らないことも多いよね。
――初共演の時のことは覚えてらっしゃいますか?
小泉:長崎まで来て鬘(かつら)かぶってるねって(笑)。
小林:着物着てるねって。
小泉:あの頃は一緒にご飯を食べよう!とも言えなくて。「金八先生見てたよ…」って心の中で思ってました(笑)。
小林:小泉さんは大人気で忙しそうでしたね。でも、本当に自分をしっかり持ってるっていう感じはその時からあって。そういう人なんだなって遠くから眺めていました。
(左から)小泉今日子、小林聡美
――もう40年近いお付き合いとなりますが、お互いのここが信頼できる!と思われるところはどこでしょう?
小林:とにかく、嘘がないところがすごく信頼できるし、正しいと思うことはそこに行きたいと思って頑張るし。そこが信頼できるっていうか、すごいなといつも思っています。
小泉:天才だと思うんです。何を観ても。本人はそう思わないかもしれないけど、表現者としての引き出しにものすごく綺麗にきちんと整頓された何かが入っていて。私は引き出しは大きいのを持っているんですけど、開けるとガッチャガチャで、どこにあったっけ?っていう感じ(笑)。でも、聡美さんはきちんと入ってる感じなんですよね。
なので、何かこういうものをやってもらおうという時や、こういうものを一緒に演じようという時に、「何を出してくるんだろう?」といつも楽しみで。「そっちか! センスいいなぁ、やっぱり」みたいな。見てるのがいつも楽しいんです。
小林:嫌なことやこれは恥ずかしいなってことの趣味が合ってるんですよね。これバカっぽくて面白いとか。
小泉:そうそう(笑)。
小林:そういうところのセンスが近いから、きっとやっていて面白いな、と思えるのかなと。
――これまでは、仲良しな関係の役どころが続いてきましたが、今後こんな関係性を演じたいというものはありますか?
小林:えぇ~。敵対する役とか怖そう~(笑)。
小泉:(笑)。私は敵対する役はやりたくないけど、今回『すいか』(編集部注:2003年放送のドラマ。小林が真面目に働いてきた信用金庫職員・基子を、小泉が基子の同僚で信金の金を横領し逃亡を続ける馬場ちゃんを演じた)を思い出すというご意見も来てるんです。でも、『すいか』で語るなら、基子側に馬場ちゃんがストンと落ちた世界がここ(『団地のふたり』)だとしたら、ちょっと馬場ちゃん側に落ちた世界も見てみたい。ダークな感じの。
小林:面白そうだね。ほのぼの系じゃない感じの。
小泉:結局協力し合うけど、もうちょっとハードな関係性で。『テルマ&ルイーズ』じゃないけど、そういうちょっとアクティブな作品とかで共演したいですね。
小林。でも、吹きそう。(小泉は)すぐ吹くんですよ。
小泉:疲れてきちゃうと、感情がコントロールしにくくなって、怒るとかじゃなくて笑っちゃう(笑)。きっとそういうふうに死んでいくんだろうなというのが見えています。
小林:(笑)。
(取材・文:田中ハルマ 写真:松林満美)
プレミアムドラマ『団地のふたり』は、NHK BSプレミアム4K・NHK BSにて毎週日曜22時放送。