広瀬すず×杉咲花×清原果耶 3人で中華を食べに行くも「緊張して手が震えていました」
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杉咲:すずちゃんと果耶ちゃんは、横浜流星さんと一緒のバスのシーンが初日だったよね。私は1日遅れで現場に入ったため、少し出遅れた感覚があって心細かったのですが、3人のグループメッセージですずちゃんと果耶ちゃんが「インしたよ」と写真を送ってきてくれて、ほっとしたのを覚えてる。
――またまた優しいエピソードが…(笑)。広瀬さんは『anone』(日本テレビ系/2018)、清原さんは『花束みたいな恋をした』(2021)で坂元裕二さんの書かれるセリフを経験されてきましたが、今回その経験が生きた部分はございましたか?
広瀬:『anone』に関しては細かい記憶があんまりないくらい楽しすぎたため、今回明確に経験として生きていたのかどうか、自分でもよく分かっていません。『anone』では「お芝居だからこういう風にやろう」ということも本当になく、するすると自分の中に入ってくる言葉たちで、気づいたら終わってしまっていた感覚があります。もちろんセリフは面白いし、言いたくなるし、しゃべっていても楽しいし――というものはあるのですが、やはり「スッとなじんだ」というのが大きいように思います。『anone』では大先輩たちと一緒の現場でしたが、今回は同世代の人たちとやる坂元さんの会話劇だったため、また違う楽しみと面白さがありました。
清原:『花束みたいな恋をした』では大事なワンシーンに出てくるカップル役で参加させていただきました。本番前に本読み(出演者やスタッフが集まって行われる台本の読み合わせ)の時間を設けていただき、いかに自分のセリフ回しが絹ちゃん(有村架純)と麦くん(菅田将暉)に影響していくかをよく考えたことを覚えています。その時に得たバランス感覚が、3人でずっと一緒に住んでいて日常的なシーンが多い今回でも生きてくるんじゃないかと信じていました。また、『花束みたいな恋をした』のクランクアップ時に土井裕泰監督に「また絶対一緒にやりましょうね」と声をかけていただいたのですが、その際の思いがかなってまたご一緒できたため、その時自分が持っているすべてで挑もうと思っていました。
杉咲:私は坂元さんの作品を拝見してきて「自分も音にしてこんなセリフを話してみたい」という憧れがあったので、ついにこの時が来たとわくわくしました。実際に潜り込んでみると、坂元さんの紡がれる独特な言葉選びを体の中に落とし込んでいく時間は、今までと違う脳を使うような初めての経験でした。自分の辞書になかったような言葉や文法を発することや、優花という人物のユニークな視点を腹落ちさせていく時間、そして3人一緒のシーンでの軽快なテンポ感を掴んでいくことに緊張しました。
清原果耶
――本日は貴重なお話の数々、ありがとうございました。最後に、今現在皆さんが作品に入る前に行うようにしているルーティンや、お芝居をされるうえで必要なプロセスについて教えてください。
広瀬:私はこれといって決まっているものはないかなぁ…。
清原:お肉を食べるとか?
広瀬:いつも食べてるから…(笑)。でも、花ちゃんはよくお勉強をしているよね。撮休の前日にご飯を食べに行って「明日は何をするの?」と聞いたら「次の役の勉強」と話していたことを覚えています。現場でも、何かをまとめていたよね?
杉咲:取材でお答えする言葉を整理していました(笑)。
清原:花ちゃんが真面目にまとめている横で、すずちゃんがじーっとその様子を見ていて、私はそんな2人を見つめていました(笑)。ルーティンではないですが、私はいつもクランクインの前は緊張してあまり眠れず、「今回も緊張してるんだな、そりゃあそうだよな」と毎度思っています。どれだけ準備したとしてもやっぱり現場に行ってみないと分からないことが多いですし、想像通りにはいかないことばかりですから。
杉咲:そうだねぇ。
広瀬:でも緊張しないよりはいいよね、きっと。
清原:うんうん。緊張している時間も大事だなと思います。
広瀬:それに引き換え私は、びっくりするくらい大爆睡です(笑)。それでいうと、「本番前はなるべく早く寝る」くらいしか決めごとはないかもしれません。
杉咲:こうやって改めて話すと三者三様ですが、現場でもたたずまいや視点、リズム、大事なシーンに挑む際のアプローチなども、みんなそれぞれに異なるスタイルを持っていて面白かったです。すずちゃんはあまりにもニュートラルに本番に移っていくため、その動じなさや凛とした姿にすごいなぁと思いながらいつも見つめていました。果耶ちゃんは緊張していることをぽろっと共有してくれる場面もあったのですが、周りにはそれを絶対に感じさせないような力強さがあってかっこいいんです。私は露骨にあがってしまうタイプなので。
清原:いや、でも私も何回やっても慣れないし緊張がなくならない。
広瀬:そのままでいいと思うけどね。
清原:「かむ、かむ」と思ったら本当にかんじゃって…。
広瀬:素直か(笑)。
(取材・文:SYO 写真:上野留加)
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