加賀まりこ、『しあわせは食べて寝て待て』で好演 チャーミングな“90歳の鈴さん”から学んだこととは?

桜井ユキが主演を務め、宮沢氷魚が共演するドラマ『しあわせは食べて寝て待て』(NHK総合/毎週火曜22時)が好評を集めている。「一生付き合わなくてはならない」病気にかかった主人公がやむを得ず始めた団地暮らしで、隣に住む大家一家との交流を通して食事で体調を整える薬膳料理と出会い、身近にあった自分次第のしあわせに気づいていく姿を描く本作。主人公・さとこに軽やかにおせっかいをやく大家を加賀まりこが演じる。キュートなキャラクターをさすがの存在感で体現する加賀に、本作を通して感じた思いを聞いた。
【写真】キュートな魅力は変わらず!加賀まりこ、インタビュー撮りおろしショット
◆鈴さんは「フットワークの軽さや距離感の取り方のうまさが魅力」
水凪トリによる同名漫画を実写化する本作は、38歳のさとこ(桜井)が、膠原病を患い、築45年の団地に引っ越すところからスタート。過去のつらい経験から人と距離を取りがちな彼女だが、年齢も事情もさまざまで個性豊かな団地の住人や、週4勤務のパート先の人々と触れ合うことで少しずつ変化が訪れ、地味だけど身体に美味しそうな薬膳ご飯とたおやかな人間関係を通して心身を取り戻していく。
加賀が演じるのは、90歳(!)の大家・美山鈴。ちょっぴりおせっかいで、天真らんまんなところがあり、知らず知らずのうちにさとこを自分のペースに巻き込み、硬くなりがちだった心を包み込み解きほどいてゆく。
ドラマ『しあわせは食べて寝て待て』場面写真 (C)NHK
――本作のオファーをお聞きになられた時のお気持ちはいかがでしたか?
加賀:プロデューサーから原作のマンガをいただいて読んだのですが、マンガのことをあまりにも知らないから、「マンガのジャンルって広いんだな」「こんなにヒューマンなものがあるんだ!」と驚きました。本当に心が温まる優しい物語で、これをちゃんと表現してお伝えしたいと思いました。
――“近所に住む高齢のおせっかいな大家さん”というと、頑固で付き合いにくいキャラクターとして登場することが多いですが、本作の鈴さんは、天真らんまんでとても軽やかでキュートな人物です。
加賀:そこが本当に素敵よね。鈴さんが持つフットワークの軽さや、距離感の取り方のうまさは演じていて私自身も勉強になるし、彼女の魅力のひとつというか、人間性ですよね。ああいうふうにかわいらしく年を取りたいと思いつつ、なかなか憎たらしいことばっかり言っちゃうのよ(笑)。
株主になるとか、お手伝いさんが欲しかったとか、ああいう夢が口にできる人は素敵だなって。夢なんて大きければいいってわけじゃないから、本当に具体的になる夢があったほうが楽しいものね。
彼女は普通の旦那さんと暮らしていた専業主婦で、旦那さんがいなくなっちゃって、司くんと偶然出会うことで、株を買うことや、家の中をきれいにしてもらえること(笑)、そんな幸せな時間が持てるようになった。それは常にオープンマインドでいる鈴さんだから掴めたことなのよね。クローズしていたら絶対に出会わないもの。
司君との出会いも、どうなっているかわからないのに、キャンプしている人のテントを覗いて、助けてあげようと家に小走りで帰ってスープを持って戻ってくる…ああいうことができるのって素敵よね。なかなかできるようで垣根を作っちゃう人も多いでしょう。
家の近くの公園に20年近く暮らしている人がいるのね。この方にある日、カイロをいっぱいいただいたから「よかったら使ってください」って持って行ったことがあるんだけど、「施しは受けねぇ」って断られちゃった。難しいですよね。でも人に対してノックしていくことは大事だと思うんですよね。