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高橋一生×井浦新の濃密『ジョジョ』対談 「荒木先生は変わることを恐れない」

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(左から)高橋一生、井浦新
(左から)高橋一生、井浦新 クランクイン! 写真:上野留加

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 荒木飛呂彦による漫画『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズの人気キャラクターである漫画家・岸辺露伴の単独作『岸辺露伴は動かない』。その実写化プロジェクトが、5年目を迎えた。今度の舞台はイタリア・ヴェネツィア。シリーズの原点である『懺悔室』の映画化となる。かの地を訪れた露伴に襲い掛かるは、幸福という名の奇異だった――。クランクイン!では、シリーズをけん引してきた高橋一生(岸辺露伴役)と新たに加わった井浦新(田宮役)の対談を実施。今回が初共演となる二人だったが、まるでスタンド使いのようにひかれ合い、濃密なジョジョ対談が始まった。

【写真】高橋一生&井浦新 大人の色香感じさせる撮り下ろしショット(12枚)

■なぜジョジョは時代を超えて愛される?

――井浦さんは小学生の頃から荒木飛呂彦先生の作品を読まれていたそうですね。

井浦:僕は『キャプテン翼』や『聖闘士星矢』『北斗の拳』などを「週刊少年ジャンプ」で読んでいた世代ですが、その中でも『ジョジョの奇妙な冒険 第1部 ファントムブラッド』が出てきた時は、異彩を放っていました。100人が100人とも読みやすくて共感するものではないでしょうが圧倒的なオリジナリティーがあり、好きな人は尋常じゃないほどハマってしまう。荒木先生の描く物語も絵も「◯◯っぽい」要素が一切なく、昭和・平成・令和と時代が変わってもまるで色あせない。その理由はきっと、常に前衛的だからだと思います。

高橋:時代に合わせているというよりも、その時の自分が描きたいものを漫画に投影させている感覚があります。僕が『ジョジョの奇妙な冒険』に入ったのは『第3部 スターダストクルセイダース』からですが、第1部との絵柄も違いますし、現代になっていくにしたがってまた変わってきた印象です。いま(井浦)新さんがおっしゃった「時代によって損なわれない」の源泉にあるのは、荒木先生の「描きたい」というエネルギーなのではないでしょうか。つまり、一人の人間であり作家としての衝動が根底に流れているため、時代を超えて愛されているのではないかと思います。

高橋一生
――『岸辺露伴は動かない』自体も、初めて世に出た『懺悔室』から最新作『ブルスケッタ』に至るまで絵柄がかなり変化していますね。

高橋:そこが自由だからこそ、実写でやらせていただく際にもうまく作用してくれたように感じます。絵柄が違ったとしても、露伴が違う人には見えません。ということはある種、(『第6部 ストーンオーシャン』で起こったように)何巡もした世界で岸辺露伴というものが何人もおり、精神性が損なわれないままユニバース=多元宇宙的に存在しているという解釈もできるわけです。僕個人は、その一人が実写版の岸辺露伴なのではないかというつもりでいます。

井浦:確かに。僕自身もいち観客としてそのように見ていました。もし(高橋)一生くんと他のお仕事でお会いしたとしても「あっ露伴だ」となっていたと思います。今回も目の前に一生くんが現れた時に「ついに自分は『岸辺露伴は動かない』の世界に入ってしまったんだ」という何とも言えない幸福な気持ちになりました。

いまの一生くんの話で思い出したのですが、本作に参加するにあたり、原作をもう一回読み返そうと『第4部 ダイヤモンドは砕けない』での杜王町に露伴が初登場したシーンを開いたら、『岸辺露伴は動かない』で初登場した時(『懺悔室』)と表情が全く違っていました。荒木先生は、どんどん変わっていくことを恐れていないんですよね。何十年も続いている作品は他にもありますが、ファンの方たちを裏切らないために変わらない強さを保持するのが一般的な考え方だと思います。それに対して荒木先生は、古参のファンがどれだけついてこられるのか“ふるい”にかけるくらいに変えていますよね。『第9部 The JOJOLands』はもうデザインの世界のようですし。だからこそ残っているファンは、とにかく愛情が深いように思います。

井浦新
高橋:象徴的なものを一つのキャラクターに落とし込むのが、抜群だなと感じます。承太郎のキャップもそうですが、それ1つあれば肉体が変わっても共通していくといいますか。荒木先生の中にアイコンとしている変わらない部分と変えてもいい部分のルールがあるはずなんです。ご本人も『第7部 スティール・ボール・ラン』のヴァレンタイン大統領の造形を途中からムキムキにしていいんじゃないかと思い、変えたとおっしゃっていましたから。

――『荒木飛呂彦の新・漫画術 悪役の作り方』で書かれていたエピソードですね。原作だけでなく、新書まで抑えられているのは流石です。

高橋:荒木先生の頭の中を知りたい思いもあって、チェックするようにしています。ありがたいことにお話しする機会もあるのですが、質問攻めにしたい気持ちを抑えて、他愛もない話の中で出た言葉を「こういうことかな」と後から頭の中で考えを巡らせています。

――絵柄の違いもそうですが、高橋さんも露伴の演じ方をドラマの各期と『ルーヴルへ行く』で変えていらっしゃいますよね。

高橋:そうですね。ドラマの1期はできる限り静謐(せいひつ)にしてミステリーやサスペンス、あるいはホラー味といったものを原作に準じてお芝居したつもりではありました。2期では動きが増えたぶんデフォルメをしてみたりと、荒木先生がエピソードごとに「こういうモードで行こう」とチャレンジされていることに感応しながら行っていきました。

――本シリーズは、毎回露伴と新たに登場したキャラクターがガチンコで対決する構造になっているかと思います。その上で変わらない部分でいうと、動かない=動揺しすぎない、になるのでしょうか。

高橋:『岸辺露伴は動かない』とは物理的に動かないことではなく、露伴が彼なりの矜持(きょうじ)を貫き通す物語だと捉えています。実写版でも、それぞれの怪異や人間に相対した時に揺るぎない露伴の信念を出していけるように、というのはひとつテーマに掲げているかもしれません。

――田宮は露伴と対決する強者でありながら、出来上がった世界観に加わるという意味では新参者でもあるかと思います。井浦さんは「熱量を120%出していこう」といった形で臨まれたのでしょうか。

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■「新たに加わって感じたのは、受け入れてくださる温かさ」

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