田中圭、まさかのハプニングも「お風呂に入れば」気持ちはガラリ チャレンジングな撮影を振り返る
――カメラマンさんとの呼吸合わせも、普通の作品以上に大切ですね。
田中:撮影の山本(英夫)さんとの信頼関係というか、阿吽(あうん)の呼吸みたいなものは絶対に生まれてましたね。それはこの作品じゃないとできなかった経験ですし、もう山本さんの作品といっても過言ではないくらい負担が大きかったと思います。本当にお疲れ様ですと言いたいです。
――撮影中、記憶に残っているハプニングはありますか?
田中:意外とハプニングってなかったんです。あ、ただ、ひとつ。毎回、全部撮り終わってホテルに帰ってみんなでプレビューをするんですよ。そこで見るまで、どうなっているか誰も分からない。ワンシーンワンカットなので1日1回撮れるんですけど、5回目の本番が終わった日に、「今日いい感じだったね。OK出るんじゃない?」とか話し合いながらプレビューを見たら、僕のマイクがずっと調子が悪かったんです。
――え!?
田中:そのときはショックでした。録音部は途中で気づいていたかもしれないけれど、ワンカットなので止めきれなかったんだと思います。もうしょうがないですよ。だけど、100分間、僕はずっとマイクの調子が悪い状態で芝居してたんです。
――そ、それはどうやって気持ちを立て直したんですか。
田中:お風呂に入れば。それで次の日、6回目でOKが出ました。
■松山ケンイチは「本当に不思議な人だなぁ」
――太宰治を松山ケンイチさんが演じました。年齢的に同学年でもありますが、意外にも本格的には初共演だとか。
田中:年齢も一緒で、キャリア的にも同じ感じ。過去にお会いしたことはあるけれど、がっつり一緒にお芝居するのは初めてだったので、すごく楽しみでした。稽古期間から本番期間とずっと一緒にいました。お芝居へのアプローチの仕方も僕とは全然違うし、こうした同世代の俳優さんと密な時間を過ごせたのはとても楽しかったですね。
『ドラマW 三谷幸喜「おい、太宰」』場面写真(C)WOWOW
――アプローチの仕方が全く違うとのことですが、何か影響を受けることはありましたか?
田中:いやぁ、松山さんの真似はできないです。刺激はもちろん受けましたし、とにかく面白かったです。全員魅力的でしたけど、松山さんは本当に不思議な人だなぁと思いました。
――改めて、田中さんが思う本作の注目ポイントを教えてください。
田中:(梶原)善さんの1人三変化ですね。善さんの移動手段、着替えの段どりと、役のチェンジがすごい。あと(宮澤)エマさんが最初は気が乗らない雰囲気の奥さんだったのに、太宰に会ったらガンガンいくところ。僕も「歴史は変えちゃいけないんだ!」とか言いながら、ガンガン変えてるし(笑)。太宰は最初はクールなんだけど、どんどん壊れていくし、(小池)栄子さんも終始面白い。とにかく三谷さんが描く登場人物は、みんな愛すべきキャラクターで、ちょっとヘンテコ。三谷さんらしい感じがすごくあるので、そこは楽しんでいただけると思います。