淵上泰史、挫折と下積みを経て“怒りと感謝”がバネに 遅咲きの役者道を力強く邁進
スポーツで培った粘り強さとともに、彼を突き動かすのが「見返してやりたい」との反骨精神だ。「サッカーでプロになれなかった挫折もあるし、役者を目指してデビューできるまでにも7年かかっています」とデビューまでには裏方やバイトをしてきた苦労人。「地元に帰った方がよいとか、実家の家業を継がないのかなど、自分の人生を決めつけるような言葉をかけられることもあって。ものすごく怒りがありました」と辛いことだらけだった。
「そういう人たちを見返すためには、いい役者になるしかない。役者を目指しても何も出ていないわけですから、陰で親も色々と言われていたと思います。それでもじっと堪えて応援してくれた。そういう7年間の思いが積み重なると、絶対に諦めるわけにはいかないと思った」と悔しさをバネに走り続けた。
そんな彼にとって大きな出会いとなったのが、デビュー作となった映画『軽蔑』の廣木隆一監督だ。「『軽蔑』には方言指導として入って、“舎弟B”という役をいただいて。廣木監督は僕をゼロから見てくれている方。2年前、“ヤス、焦るな。大丈夫だ”と声をかけていただいたんです。どこか前のめりになっているのが見えたんでしょうね。そういう人がいるのは本当にうれしいこと。『ダブルミンツ』の撮影中に実は、母が亡くなったんです。母にも僕の主演映画を見せたかったし、見てくれている人のためにもひとつひとつ、まだまだ結果を残していかなければいけないと思っています」。
優しい微笑みの一方、役者への思いを語る目はギラギラと熱い。辛い経験を乗り越えてきた男は色っぽい。「生き様が顔を作る」と実感させてくれる彼のこれからが、ますます楽しみだ。(取材・文・写真:成田おり枝)
『ダブルミンツ』は全国公開中。
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