岸井ゆきの、朝ドラ“ロス”真っ最中 改めて感じた映画への愛
大きな“家族愛”を感じながら、1つの役をこれだけ長くやれたのは「財産」だと語る岸井。1つの役と向き合った時間は、「いずれ何年後かに役立つと思う。それくらい根深く、自分が気づかない間に伸びている部分も、きっとあるはず」と笑顔を見せる。
さらに岸井は、「朝ドラは朝ドラの技術や撮影方法があって素晴らしいんですけど、映画の撮影は別の面白さがあって。今泉組は、撮影日程が決して長いわけではないのにワンシーンのためだけに、しかもそれがわずか3秒のシーンだとしても、照明を組み直し、1からやり直しして下さって。なんだか、今すぐ現場に戻って、スタッフの皆さんに“ありがとう!”って伝えたい気分。本当に贅沢な現場でした」と感謝の言葉が尽きない。
無類の芝居好き。醍醐味(だいごみ)は完成作品よりもその過程。所属事務所(ユマニテ)の先輩・安藤サクラは、「誰も真似できない規格外の人」だと目を丸くする。「役者って正解がないもの。だから、自分に合った、自分なりのやり方を模索していきたいです」。朝ドラで育んだ家族愛と、離れて見えた映画愛を胸に、小さな体で大きな存在感を残す、女優・岸井ゆきののこれからに期待したい。(取材・文:坂田正樹 写真:松林満美)
映画『愛がなんだ』は4月19日より全国公開。