小栗旬、「楽なとこに行き過ぎるな」――“けんかして遠ざけられた”恩師・蜷川幸雄からの教え

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小栗旬が、シェイクスピアの世界に帰ってくる。蜷川幸雄さんの跡を継ぎ、吉田鋼太郎がシリーズ2代目芸術監督・演出を務める彩の国シェイクスピア・シリーズに主演として、約14年ぶりの帰還。この間、さまざまな映像作品で圧倒的演技と存在感を見せ、2020年は初の海外作品も公開される小栗にとって、今回の舞台は大きな意味のある作品のようだ。
【写真】3年ぶりとなる舞台への不安と期待を赤裸々に語る小栗旬
シリーズ完結まで残り2作となる今回の作品『ジョン王』は、英国史上最も悪評の高い王であろうジョンの治世の時代を描いた歴史劇。小栗は、イギリス王・ジョン(横田栄司)とフランス王・フィリップ2世(吉田鋼太郎)の間で立ち回り、生命力とユーモアにあふれ世の中をシニカルに見つめる若者“私生児”を演じる。本シリーズ4作品目の登場にして初の歴史劇への挑戦となる。
◆“演劇という筋肉”を盟友・吉田鋼太郎のもとで再生したい
本作は小栗にとって3年ぶりの舞台出演。「“さい芸(彩の国さいたま芸術劇場)”の舞台に立つのも『ムサシ』(2009年)が最後で、11年が経ちました。しばらくこのムードからずっと離れてしまっていて、あの当時の筋肉を呼び戻すことができるのかどうか、不安はあります。ただ自分の中では渇望している環境ではあるんです」と語る。「鋼太郎さんは、僕が一番受けてみたい演出家。演劇って筋肉みたいなところがあって、その筋肉が最近徐々に衰えてきているんじゃないかという思いがあった。そこを吉田再生工場で再生したいですね」と“盟友”吉田に全幅の信頼を寄せる。
◆「自分だけが置いてきぼりにされている不安があった」
さまざまな作品で着実にキャリアを築き上げてきている印象のある小栗だが、心中にはいろいろな思いがあったという。「10年以上、いわゆる古典作品から離れてきていて、鋼太郎さんや藤原竜也がやっている芝居を見に行き、自分だけあの時から立ち止まっているんじゃないか、みんなはどんどんいろんな筋肉を鍛えていってる中、自分だけが置いてきぼりにされて、もしかしたら退化しているのではないかという不安がありました」と吐露。本作は「みんなとの埋まっていない溝や距離を改めて測る、いいチャンス」だという。