蒔田彩珠、女優は“天職”「どんなことにも代えられない楽しさがある」
■「この仕事しかない」と思う瞬間が増えてきた
――河瀬直美監督の『朝が来る』(2020)では、長い時間を掛けて役と向き合う“役積み”を経験し、数々の映画賞を受賞しましたが、そのスピーチで女優業への熱い思いを語っていました。
蒔田:小さい頃は「お芝居が大好き」という感じではなかったのですが、作品を重ねるにつれて「この仕事しかない」と思う瞬間が増えてきました。特に河瀬組を経験して、その気持ちが強くなってきていると思います。
――女優業にまい進するという気持ちがブレることはないですか?
蒔田:ほかにやりたいことがあるわけではないので…。あとは「天職だな」と感じる瞬間は、どんなことにも代えられない楽しさがあるので、それを求めてずっと続けていきたいです。
――所属する事務所ユマニテには、実力派俳優がズラリといますが、交流はあるのですか?
蒔田:コロナ禍以前は、事務所の俳優さんの舞台を観に行くことも多く、お会いする機会もあったのですが、今はなかなかないですね。でも「ユマニテなんだよね。だったら大丈夫だね」みたいなプレッシャーを感じることがあるので(笑)、それに負けないぐらい頑張りたいです。
――共演して印象に残った先輩はいますか?
蒔田:ご一緒したシーンはなかったのですが、『万引き家族』(2018)で、最後に警察の事情聴取を受ける安藤サクラさんの演技に震えました。ものすごかったです。
――才能溢れる映画監督や共演者とご一緒する機会が多いですが、今後の目標は?
蒔田:演じることは、自分が好きで始めて、楽しいから続けていること。これからも大変なことはあると思いますが、仕事という意識ではなく、自分の好きなことをやっているという思いで、これからも向き合っていきたいです。(取材・文:磯部正和 写真:松林満美)
映画『神在月のこども』は10月8日より全国公開。