杉咲花『52ヘルツのクジラたち』コメント到着「この世界の何かに結びついてほしいという淡い期待を」ティザービジュアルも公開
杉咲花が主演し、成島出が監督を務める映画『52ヘルツのクジラたち』より、杉咲のクランクアップ・コメントとティザービジュアルが公開された。
【写真】町田そのこ著「52ヘルツのくじらたち」書影
町田そのこによる原作小説(中央公論新社)は、2021年の本屋大賞を受賞し、すでに80万部を売り上げるベストセラー小説。タイトルにある「52ヘルツのクジラ」とは、他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で1頭だけのクジラのこと。たくさんの仲間がいるはずなのに、何も届かない、何も届けられない。そのため、世界で1番孤独だと言われている。
ある痛みを抱えて海辺の街に越してきた貴瑚は、そこで母親から「ムシ」と呼ばれる、声を発することのできない少年と出会う。彼との出会いが呼び覚ますのは、貴瑚の声なきSOSを聴き、救い出してくれた、今はもう会えない安吾との日々だった――。
杉咲花が演じるのは、自分の人生を家族に搾取されてきた女性・三島貴瑚(みしま・きこ)。メガホンを取るのは、『八日目の蝉』『銀河鉄道の父』の名匠・成島出。
今回、本作のティザービジュアルが解禁された。東京から海辺の街に移り住んだ杉咲演じる貴瑚が、広い海を望むテラスで目を閉じて空を仰ぎ、耳を澄ます姿が映し出されている。海中を思わせるような幻想的な青が印象的な美しいビジュアルだ。
本ビジュアルの写真を撮影したのは、気鋭の若手写真家・八木咲。撮影場所は、劇中、杉咲演じる貴瑚が住む一軒家の、海に向かってせり出した象徴的な六角形のテラス。監督をはじめ制作チームが運命的に出会ったという、大分の海辺の高台にある日本家屋が舞台に選ばれた。
海中を思わせる幻想的なブルーがかった風景の中で、海と空の境で聴こえない声を聴こうとする貴瑚。そこにおかれたコピー「ここに、あなたを感じる」の“あなた”とは? 貴瑚は何を想い、誰を感じ、どんな声を聴こうとしているのだろうか――。
さらに、主演の杉咲より、今年8月~9月に東京、大分を中心に撮影された本作のクランクアップ・コメントが到着した。「2ヵ月間の暗闇を走り続け、最後のシーンを撮り終えた時、私たちはあまりにも美しい夕陽に遭遇しました。演じ手である私がやり切ったと感じることに意味はあるのだろうかと自問しますが、やっぱり完成する映画には、この世界の何かに結びついてほしいという淡い期待を覚えます。そしてこの物語に気づかされた感覚を、時代とともに更新し続けていくことが、私たちに託された大きな課題なのだと思います。陽が沈んでしまっても、その夜を越えようとするたったひとりの誰かへ、朝の光とともに届く作品となることを願って」と言葉を寄せる。
映画『52ヘルツのクジラたち』は、2024年3月劇場公開。
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