『虎に翼』“寅子”伊藤沙莉が撮影を振り返る! よねや轟との再会、母・はるの死、「モン・パパ」歌唱、穂高の退任祝賀会も
連続テレビ小説『虎に翼』(NHK総合ほか)で主人公・佐田寅子を演じる伊藤沙莉がオフィシャルインタビューに答え、寅子にとって充実した日々でありながら、母・はるの死などつらい出来事も重なった第12~14週の放送を振り返った。
【写真】いろいろありました、、『虎に翼』寅子とらえた場面写真
寅子は東京家庭裁判所判事補・最高裁判所家庭局事務官としての歩みがスタートして早々に、よね(土居志央梨)や轟(戸塚純貴)と再会する。
これについて伊藤は「寅子としては、2人と再会できてすごくうれしかったです。それと同時に、失った信頼をどう取り戻していくかという試練もあって。やっぱり彼女は、何においても女子部の存在が軸にありますし、特によねさんは一番の戦友でしたので。だから、来るなと言われても何度も会いに行くんですよね。演じている私ですら、もうやめたら!? と思うくらい。よねさんは彼女のなかで大きな存在ですし、どこかでつながっていると信じているから、寅子は諦めきれないんですよね」と話した。
この週で印象深かったシーンについては「戦争孤児たちがたたずんでいる道を歩くシーンはよく覚えています。道男を探している場面だったので止まらずに歩かなければいけなかったのですが、子どもたちがどんな思いでそこにいるんだろうと考えたら、立ち止まらずにはいられなくて。トラちゃんではなく私個人として、通り過ぎることが冷たいと感じてしまったんですよね。でもそれは表面上の優しさで、私自身の甘さだなって。もしこれが現実の世界だったら、立ち止まって何かするよりも、もっと広い視野でこの子たちを助ける解決方法を探らなきゃいけないと思うので。撮影中はそんなことを考えながら、もがいていました」と振り返った。
この週の終わりには、母・はる(石田ゆり子)が突然の死を迎える。「ここは特に、花江(森田望智)のありがたみを感じましたね。一緒に泣いて、母を弔ってくれる親友が家族としていてくれる。それがこんなにありがたいことだったんだと、寅子は母の死をもって実感したんだと思います」と伊藤。
第65回(6月28日放送)では、寅子が歌うモン・パパに合わせて登場人物たちの思いが交錯するシーンも。
伊藤は「『きっと家裁で働く私を、夫も褒めてくれると思います』と、改めて優三さん(仲野太賀)に思いをはせるんですよね。寅子の心には常に優三さんがいるということを表現できたことも含めて、このシーンには思い入れがあります。10週の第48回(6月5日放送)で、優三さんの幻影が寅子に“何かに無我夢中になっているときのトラちゃんの顔が大好き”と語りかけるシーンがありましたが、そこからここにつながっている流れがすごく好きなんですよ。優三さん亡き今、彼に対してできることが“何かに一生懸命になること”だとしたら、このとき日々の充実を感じているからこそ、再び優三さんを思い出したというか。そして寅子が歌っているときは、周りにいるみんなが泣きそうになっているんですよね。激動の時代、それぞれに人生があり、いろんな葛藤と戦ってきて今がある。全員がそんな顔をしていて、ぐっときました」と回想した。
第69回(7月4日放送)では、穂高(小林薫)の最高裁判事退任祝賀会で、寅子が穂高に対し激高する場面があった。
伊藤は「演じるにあたっては、なぜ寅子は穂高にここまで怒るんだろう? と悩みました。その気持ちを監督に話したら『表現としては怒りかもしれないけれど、ここは寅子から穂高に愛情を伝えるシーン。ここで2人は、ただの仕事相手や師弟関係じゃできないけんかをしている。もはや、ある種の親子げんかであって、これは大いなる愛なんです!』と。そうした視点で脚本を読み返したら、ふに落ちたんです」と明かした。
このときの寅子の心情について、「きっと寅子は、穂高先生の挨拶を聞いて『今までやってきたことすべてが雨垂れの一滴(ひとしずく)だと言うの? すごいことを成し遂げた先生を尊敬していたのに、そんな後ろ向きなことを言わないでよ!』と感じたんですよね。怒っているときって、根底にあるくやしい気持ちや悲しみ、恥ずかしさなどが怒りとして表れているんだと思うんです。ここでも寅子の声色や温度感は怒りに見えますが、根底にある先生への愛と敬意が怒りとして表れたと捉(とら)えていただけたらうれしいです」と解釈。
さらに、「もう最後だからいいや! と見逃がさないのが寅子ですし、それが彼女の愛なんです(笑)。まぁいっか! で、その人との関係性を終わらせたり諦めたりしない。寅子は絶対に、相手に気持ちを届けることを諦めず、関わり続けていく人なんですよ。かつて懐かしき兄が、『思ってることは口にだしていかないとね。うん、その方がいい!』(第15話、4月19日放送)と言っていましたが、寅子もそのマインドを持っているんだなと思いましたね」と話した。
本作の第1週から第13週までのストーリーを振り返る総集編 前編が、NHK総合・BSプレミアム4Kにて7月6日16時35分から1時間25分にわたり放送される。
連続テレビ小説『虎に翼』は、NHK総合にて毎週月~土曜8時ほか放送)。