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<ホラー映画ナビ>まさかの和製ミッドサマー!? “深化系”ジャパニーズホラー『N号棟』

映画

幽霊団地で主人公が目撃したものとは!? 映画『N号棟』
幽霊団地で主人公が目撃したものとは!? 映画『N号棟』(C)「N号棟」製作委員会

 次々と公開される最新ホラー映画から、要注目の話題作をピックアップ。独創的でスリリング、おもしろコワイ、観て損なしの「この1本」を独断と偏見でご紹介!今回はおよそ20年前、岐阜県で実際に起きた有名な心霊騒動「平成のホーンテッドマンション」事件をモチーフにした『N号棟』をチョイス。“考察型”と銘打たれた新感覚の作風は、ジャパニーズホラーの“深化系”。これはまさかの和製『ミッドサマー』!? 心をかきみだす、不穏な恐怖の正体とは?

【写真】廃団地に住人がいた! 怪奇現象に戦慄! 謎の儀式も 『N号棟』場面写真

 大学生の史織(萩原みのり)は死に対して底知れぬ不安を感じ、過敏に恐れるタナトフォビア=死恐怖症。その反動か、死後の世界や幽霊を全力で否定する一方で、強く心惹かれ、つい奇行めいた言動をとってしまう。元カレの啓太(倉悠貴)らが卒業制作にホラー映画を撮ると知った彼女は、実際に幽霊騒動が起きたと噂される廃団地へのロケハンに同行する。

 だが、廃墟のように荒れ果てたその建物には複数の住人がいた。入居希望の内覧と偽り、まんまと泊まり込むことに成功する史織たち。しかし、この団地は、何かがおかしい。突如、部屋に響く激しい怪音、天井付近の壁にぼんやりと浮かぶ霊の顔。まるで取り憑かれたように飛び降り自殺を図る住人。しかし、そんな異常事態にも他の住人はなぜか全く動じない。

 頻発する怪現象に身を浸すうち、洗脳されたかのように神秘体験に魅せられていく史織と仲間たち。日常と隣り合わせの奇怪な異世界。そこに隠された秘密とは何か。そして、史織が死を恐れる原因とは―?

(C)「N号棟」製作委員会
 本作の見どころのひとつが、2000年頃に岐阜県のとある町営住宅で発生した幽霊騒動を下敷きにしている点。壁の中から怪音が聞こえ、茶碗が宙を飛んで不自然な形に割れ、テレビのチャンネルが勝手に切り替わる。老若男女の幽霊の目撃談も続出し、怯える住人の訴えから新聞・テレビでの報道が過熱。現場からの生中継に、霊能者・専門家の検証、祈祷師によるお祓いが行われた。やがて、怪現象は自然に鎮静化。それゆえ、今に至るまでさまざまな憶測や噂を呼んでいる。

 21世紀の日本を震撼させた「平成のホーンテッドマンション」の真相は闇の中だが、本作では心霊事件の裏にある人間ドラマを思い切って自由に創作。自ら“考察型”と銘打ち、謎が謎を呼ぶ世界観を背景に幽霊と人間心理の関係を掘り下げて、文字通り“深化”したジャパニーズホラーに仕上げた。

 死に取り憑かれ、予想もつかない行動を繰り返す「難アリ」な主人公、怪しいキャラが行き交う団地内で行われる儀式めいた不気味な集い。立体構造の団地の廊下を大勢の人間が上下左右に行き交う、シンボリックなイメージショット。不穏の連続に心をかきみだされるこの感覚は、例えるなら和製『ミッドサマー』。心に傷を負った女性が、異郷スウェーデンの美しい秘境村で行われる夏至祭で遭遇する、あのブッ飛び衝撃体験と似ている。

 幽霊よりも怖いのは人間。だが、人間は決して強くない。「心と想像力」を持つがゆえに「脆くて優しい」。だからこそ「怖い」。そんなことを考えさせられる一本だ。(文・山崎圭司)

 映画『N号棟』は、4月29日より全国公開。

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