2本立て同時上映なぜ見かけなくなった?巷から消えたワケ
確かに、10万円程度でフィルムを借りられるなら赤字は出にくそうだが、映画を上映するには、色々なところで経費がかかってくる。
「デジタル機器の導入問題や設備の老朽化、観客現と収入減など、様々な要因が相まって、銀座シネパトス、三軒茶屋シネマ、新橋ロマン等、名画座の閉館は相次いでいます」と、関係者は憂う。
「しかし、原因はこれだけはありません。大きいのは、2000年あたりから急速に普及し出したシネコンの存在でしょう。シネコンでは基本的に新作を各回入れ替え制・指定席で上映することが一般的で、さらに効率を重視するため、プログラムも画一的なものが組まれます。新作の同時上映は、一部アニメ作品などで行われていますが、1本の上映時間が長いと飽きてしまうという子どもに配慮したところも多く、純粋に2本立てを楽しめる機会は減少中。シネコンの1スクリーンを名画座仕様の2本立てにするなどという大枠での取り組みが叶わない限り、複数本立ての上映は難しいものになると思います」。
同時上映を取り巻く現実は厳しい。だからこそ、消えてしまう前に、1度は同時上映を味わってみてほしい。シネコンでは不可能な非日常が体験できるはずだ。