無冠の俳優レオナルド・ディカプリオ、今度こそオスカー獲得なるか

レオナルド・ディカプリオの“初受賞”に期待がかかる今月29日(日本時間)開催の第88回アカデミー賞授賞式。ファンにとって、今度こそ朗報が届くかもしれない。レオがノミネートされているのは、アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督の『レヴェナント:蘇えりし者』。19世紀初頭のアメリカで、レオ演じるハンターのヒュー・グラスは、熊に襲われ、瀕死の重傷を負い、仲間に置き去りにされる。真冬の大自然の中、怪我を負った体を引きずりつつ、必死で歩み続ける苦悩を、少ないせりふで表現してみせたレオの演技は、十分、賞に値する。
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そんな彼が今作でいよいよオスカーかというささやきは、試写が回り始めるよりも前、ディカプリオが「これは僕の人生で一番大変な撮影だった」とコメントしたあたりから聞かれていた。
その後、レオはありとあらゆる批評家協会賞の主演男優賞を総なめし、ゴールデン・グローブ、全米映画俳優組合賞(SAG)賞、に続き、最近では英国アカデミー賞も受賞している。作品部門が『レヴェナント:蘇えりし者』『スポットライト 世紀のスクープ』『マネー・ショート 華麗なる大逆転』の大接戦であるのに対し、主演男優部門は、もはやディカプリオで決まりというのが、業界内での一致した意見だ。
レオが初めてオスカーにノミネートされたのは、日本でも1994年に公開された『ギルバート・グレイプ』で、19歳の時。その後、『アビエイター』『ブラッド・ダイヤモンド』『ウルフ・オブ・ウォールストリート』でもノミネートされた。
まだ一度も受賞に至っていないことから、とくに日本のファンの間では「レオナルド・ディカプリオはアカデミーに嫌われている」という声も長年聞かれてきたが、それだけ何回もノミネートされるだけでもすごいこと。たとえば『タイタニック』でレオと共演したケイト・ウィンスレットも、6回目のノミネートでついに受賞(『愛を読むひと』)しているし、5回のノミネート歴を誇るエイミー・アダムスも、まだ受賞はしたことがない。5回目で受賞、というのは、決して珍しくないのである。
そうは言ってもやきもきしてきたファンは、ついに胸を撫で下ろせそうだ。この映画が北米公開された時には、この映画の撮影があまりに過酷だったため、「今は疲れ切っていて、しばらくは映画に出たくない」というようなことを言っていたレオだが、最近、『Conquest(原題)』という作品に主演することが発表されている。撮影に入るのはまだまだ先のようなので、本人が望むとおり、ゆっくり休んでもらい、リフレッシュした状態で、また大胆な演技に挑んでほしいところだ。(文:猿渡由紀)