世紀の決戦『ゴジラvsコング』激闘勝負を完全レビュー!<ネタバレあり>
■<まさかの第3ラウンド突入!>最後の敵は人類が生み出したメカゴジラ!
ついに怪獣王が決定したと思いきや、まさかのエキシビジョンマッチに突入。香港に秘密基地を構えるテクノロジー企業・エイペックス社から飛び出してきたのは、キングギドラに次ぐゴジラの宿敵メカゴジラ(しかも暴走状態)!
コングとの死闘で消耗しきったゴジラは、メカゴジラの圧倒的な戦闘力の前に防戦一方。必殺の熱線すらも押し負けてしまうほどのパワーを前に、ゴジラもついに万事休す、かと思った矢先、そんなゴジラの元にコングが駆け付ける。ゴジラのストンピングによって、心肺機能低下で死にかけのコングだったが、エイペックス社の地下空洞探査機“ヒーヴ”に搭載された「ラスベガス1週間分の電力」を爆発させ、大規模な電気ショックで見事復活を遂げる。ちなみにこの電気で復活する設定は『キングコング対ゴジラ』(1962)の雷でパワーアップするキングコングのオマージュだと思われる。
『ゴジラvsコング』より (C) 2021WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. & LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.
電気パワーを得たコングと怪獣王ゴジラの共闘。さすがのメカゴジラも怪獣ランキング1位と2位を同時に相手するのは厳しく、ゴジラの熱線アシストでさらに切れ味を増した斧によって、コングがメカゴジラの四肢をバラバラに切り裂く。さらにメカゴジラの首をねじ切って、まるでプレデターの脊髄トロフィーのごとく掲げるコング。実質本作の主人公と言ってもいいコングにも、最後にちゃんと見せ場を作る監督の心意気に感じずにはいられない。
■最大の見せ場は別れ際、怪獣だけの芝居
そして本作の最大の見どころが、クライマックスのゴジラとコングの別れ際のシーン。激闘を終えて、海へ帰るゴジラを見送るコングの表情と、何も語らないゴジラの背中が実に良い。完全に人間の芝居が入る余地のない、怪獣だけの芝居。監督も次回作があるのなら人間パートは30%くらいにしたいと語っており、最終的には怪獣しか出てこない純度100%の怪獣映画が、近い将来観られるのかもしれない。
本作をもってモンスターヴァースは一旦の区切りを迎えたわけだが、次回以降も東宝とのパートナーシップが継続されるかはまだ不明なようだ。現状、次回作は『Son of Kong(原題)』が準備中だが、とりあえず今は日本でも大きな結果を残して、引き続き“怪獣王ゴジラ”がハリウッドのスクリーンで暴れてくれることを祈るばかりだ。(文・梅崎慎也)
『ゴジラvsコング』ポスター (C) 2021WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. & LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.
映画『ゴジラvsコング』は公開中。