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鹿賀丈史、俳優業は“生きがい” キャリア53年の今も若い世代から刺激受け自身をアップデート

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■「年を重ねたからといって芝居が上手くなるわけじゃない」


映画『生きがい IKIGAI』場面写真 (C)「生きがい/能登の声」フィルムパートナーズ
 こうした芝居への飽くなき追求は、若い俳優と接するときにも強く意識しているという。本作では、生きることに希望を失った山本が、小林虎之介演じるボランティアで働く青年との交流によって、閉ざしていた心を開く。

 「小林くんは、出番が遅かったのですが、初日からずっと現場にいて撮影を見ている。とても熱心な方だなと思っていました。でも芝居に入るととても肩の力が抜けてナチュラルなんです。リアリティのある芝居をするので、非常にやりやすかった。作り物ではない芝居になったのは彼のおかげ。とても感謝しています」。

 若い人と芝居をすることが「とても嬉しい」と語っていた鹿賀。そこにはキャリア関係なく、どんな相手からでも学んだり、影響を受けたりすることがあるというスタンスからきている。どの現場に行っても一番年上になった今、鹿賀の視線は常に未来を担う若い世代に向けられている。彼らの持つ瑞々しい感性から刺激を受けることで、自らをアップデートし続けられるというのだ。

 「年を重ねて芝居が良くなるかって言ったら、別にそうでもないっていう気がするんです、僕は。年を重ねた味は出るかもしれないですけれど、決して芝居が上手くなるわけじゃない。どっちかっていうと衰えていくことの方が多いかもしれない」。

 だからこそどんな相手に対しても自分に正直に接し、謙虚な姿勢で向き合うことを大切にしているという。


 74歳になった今も、朝晩の発声練習は欠かさない。そのストイックさは、俳優という仕事への深い敬意の表れだ。「いい台本、いい監督、いい芝居仲間に巡り合う。それが一番面白い。そこには年齢も性別も関係ない。若い人との出会いも、そういうキャッチボールができて面白いですよね。やっぱり芝居をしている時が、一番生きがいを感じますから」。

 俳優業を“生きがい”とためらいなく語った鹿賀の横顔は、一人の表現者としての喜びに満ち溢れているように感じられた。挑戦を恐れず、変化を楽しみ、出会いに感謝する。鹿賀丈史の俳優道は、これからも続いていく。(取材・文:磯部正和 写真:松林満美)

 ショートフィルム『生きがい IKIGAI』は、7月11日全国順次公開。石川県で先行公開中。

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