麻実れい、初舞台から55年一度も休演なし 「幸せとしか言いようがない」舞台人生に感謝

――今年、麻実さんは初舞台から55年を迎えられました。振り返ってみると、どんな55年でしたか?
麻実:幸せとしか言いようがないですよね。とにかく作品に恵まれ、演出家に恵まれ、スタッフに恵まれ、お客様に恵まれ、それに尽きますね。こんな幸せな人はいないんじゃないかしらって思います。
私らしく、いただいた役をとにかく楽しんで苦しんで頑張ってきたっていう感じかな。人それぞれかもしれないですけど、苦しみが苦しくないんですよ、私。いやらしいでしょう(笑)。苦しいと「ちくしょう!」と思って頑張っちゃうほうなんです。
――55年の中でターニングポイントを挙げるとすると、どんなことになりますか?
麻実:全ての出会いがターニングポイントですね。宝塚を卒業して、英国の演出家と組んだ『マクベス』から始まり、その時のお相手が江守(徹)さん。その後に(中村)吉右衛門さんとも『マクベス』をご一緒させていただきました。とにかくすべてがすごい作品ばかりで、大きな方たちと組ませていただいて勉強もさせていただいて。55年間、ただひたすら自分が選んだ好きなお役に没頭してきたというか…。
――この55年間、一度も休演がないというのは、驚きました。
麻実:すごいでしょう? 私すごいんです(笑)。でも、なんにも気をつけたりしていないの。きっと、神様が守ってくれているんじゃないかな。家族、お客様、そして神田明神さんも守ってくれているんでしょうね。

――今年は、関西万博の会場で開催された『未来へのOne Step! ~世界を結ぶ愛の歌声~』にもご出演されました。宝塚OGが集った公演へ久しぶりの参加となりましたが、いかがでしたか?
麻実:私は1970年に大阪万博での公演で初舞台を踏んで、2005年には愛・地球博でも世界的なバレリーナの方とご一緒させていただいたんです。それで今回の関西万博。全部に参加できているって幸せなことですよね。
まだ開幕してすぐの時期だったので、きれいなできたてのホールで宝塚のOGたちと宝塚の歌や踊りを披露させていただいて。私は司会をさせていただいたのですが、下級生たちが本当に頑張ってくれました。宝塚の生徒は強いし、根性があるし、宝塚って本当にすごいなって改めて思いましたね。お客様が大喜びしてくださったのもうれしかったですし、とてもいい思い出になりました。
(取材・文:田中ハルマ 写真:高野広美)
舞台『ピーターとアリス』は、東京・東京芸術劇場 プレイハウスにて2026年2月9日~2月23日、大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて同年2月28日~3月2日上演。

