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消えゆくメディア「VHS」の申し子が語る、ビデオテープが果たした歴史的意義とは?

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映画愛溢れるドキュメンタリー『VHSテープを巻き戻せ!』場面写真
映画愛溢れるドキュメンタリー『VHSテープを巻き戻せ!』場面写真(C) Imperial Poly Farm Productions 

 DVDより以前、80年代から長きに渡り映像ソフトの主役として君臨したVHS。そのVHSがいかに映画、そして我々のライフスタイルを変えたかに迫るドキュメンタリー『VHSテープを巻き戻せ!』が7月26日(土)から公開となる。監督は自らも大量のビデオを見て育ち、まさに“VHSの申し子”というべきジョシュ・ジョンソン。自身のVHSに関する思い出、そして映画製作へ突き動かした“愛”とを語ってもらった。

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 パッケージが並ぶ棚を延々と見て何度も通路を往復したり、次は何を借りようかとワクワクしたり――ビデオ時代を生きた者なら、そんな経験が必ずあるに違いない。1982年生まれのジョシュ監督もそんな1人で、ビデオの出現を「映画をどう消費するかが劇的に変わった、映画史上のすごい転換」と評価し、そんなVHSに焦点を当てた作品がこれまでなかったこと、自身を育てたVHSへの感謝の思いから本作の製作を決意したのだという。

 「『グレムリン2』であるグレムリンが歯医者の道具を持って“これって安全なの?”って言うところがあるんですけど、それって実は『マラソンマン』という作品のオマージュなんです。それを知り、1つの映画には他の映画が引用されたり、たくさんの要素が入っていることが分かって、スゴいな、映画って繋がっているんだって感じたんです」。

 自身を映画に目覚めさせ、のめり込んでいくきっかけとなったエピソードを監督はこのように語る。本作には監督と同じように、VHSに魅入られ、多大な情熱を傾けて生きるコレクターや映画ファンが多数登場する。彼らが語る話は、どれも身に覚えがあったり共感させられたり、あの時代を過ごした者にとってビデオが国や性別、世代を問わない共通体験であったことを認識させる。

 「ずっと忘れてしまっていた、記憶の片隅にある思い出を掘り起こすような、そういう鑑賞体験になればいいなと思います。あと自分が好きなものや情熱を持っているものに対して正直でいいんだよ、そのまま自分らしくいていいんだよということを伝えたいです」。

 役目を終え、徐々に姿を消しつつあるVHSだが、“ビデオの魂百まで!”とばかり、ビデオを体験し、観て育った者の心からその影響が消えることは決してない。VHSが果たした歴史的意義を確認させるだけでなく、我々自身が体験したビデオの思い出へ、思いを誘うドキュメンタリーだ。(取材・文・写真:しべ超二)

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