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ただの“心霊スポットもの”にはしない――清水崇節さく裂の『犬鳴村』 中国の映画祭ではビックリな出来事に遭遇

映画

■泣く泣くカットしたシーンも


トンネルの中で“あるもの”に襲われる主人公たち(C)2020「犬鳴村」製作委員会

 撮影が終了してから、完成版へと仕上がるまではかなりの期間を要したそうで、最初に仕上がったラッシュ版はゆうに2時間を超えたのだとか。「混み入った人間模様ですが、心情でテンポ良く展開したかったのでいろいろカットしました。最近だと、アリ・アスター監督の『ミッドサマー』(2019年)みたいに、長尺で見応えある作品もありますけどね。なので、やっぱり短くする必要がありました」と説明。その中でも、特に泣く泣く削ったというシーンがあったようで、「トンネルの中で、“あるもの”に主人公たちが襲われるシーンがあるんですが、本当はもっと長かったし、もっと奇怪な動きをしていたんですよ。シーン自体の完成度も高く、僕個人としてもお気に入りで、現場で一番ホラー映画を熟知している助監督も、『このままがいいですよ』と意見してくれていたんですけどね(笑)。ホラーのラストってクリーチャーバトルっぽくなると、せっかく積み重ねた心霊ホラーとしての怖さが途端に薄れてしまう。なのでカットすることにしました。同じホラーでも、心霊テイストか? モンスターテイストか? 世界観をどこに置くかは重要です。個人的にはどちらも好きなんですけどね(笑)」。

■中国での熱狂と、そこで感じた危機感

 本作は海外での注目度も非常に高く、2019年10月には、中国・山西省で開催された第3回平遥国際映画祭の招待作品として上映された。その際、中国の観客からの異常なまでの歓迎、そして盛り上がりに清水監督自身驚いたそうだが、別の意味でも驚かされたという。

 「中国で『呪怨』シリーズは劇場公開されていないんですが、違法アップロードや海賊版DVDなどがかなり流通していたので、僕のファンが多いっていうことは聞いてはいたんですよね。ただ今回驚かされたのは、『犬鳴村』の上映中のスクリーンをスマートフォンで勝手に動画撮影して、観終わったあとに僕に“このシーンが良かった”とか“ここが好きです”と話しかけてくるんです。いや、あなたそれ違法だよ、いくら何でも監督に失礼だろ、と(笑)。さすがにあんな状況は初めてだったので、面食らいました」と複雑な心境を吐露。

 「でも検閲で抑えつけられているからこそ、中国の観客のホラーへの熱量はかなり高い。海外のコンベンションなどにも時々招かれて、そこで熱量の高いファンと接したりするんですけど、中国のファンも“自分はこう思う”とか“このシーンは何を言わんとしているのか?”とか、かなり意識の高い質問や感想を投げかけてくるんですよ。『あー怖かった』で終わりじゃない。そこは僕も含めて、見習わないといけないところですよね。観る方も作る方も、このままじゃ日本やばいなと」。


英語タイトルは『HOWLING VILAGE』(C)2020「犬鳴村」製作委員会

 “Jホラー”というジャンルを世界に轟かせた『呪怨』を誕生させ、そのハリウッドリメイクでは全米1位を獲得するなど、日本のホラー映画界の先駆者の一人として活躍してきた清水監督。『犬鳴村』は、撮影前からAFM(アメリカン・フィルム・マーケット)にて海外セールスが始まり、現在、全世界の国や地域で100ヵ所近い交渉が進行中。再び世界に熱狂をもたらそうとしている。都市伝説という現代の民話と、清水監督こだわりの“血筋”というクラシックなテーマ。その融合は一体どのような作品を生み出したのか。答えは劇場で目撃してほしい。(取材・文:ジャンクハンター吉田 写真:畑史進)

 映画『犬鳴村』は2月7日より全国公開。

映画『犬鳴村』予告
(C)2020「犬鳴村」製作委員会

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