西川美和監督最新作『わたしの知らない子どもたち』10.16公開決定 新人・小八重葵美×二階堂ふみW主演 竹野内豊ら出演も
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■原摩利彦(音楽)
『わたしの知らない子どもたち』の音楽を書き始めて、2年以上が経ちます。これほど長くひとつの映画音楽を書き続けたことはありません。西川美和監督より映画の構想を伺ってすぐに、あるモチーフを思いつきました。まだ脚本も届いていない頃に書いたそのモチーフが、この映画のメインテーマになりました。監督の強い思いに心を動かされたのだと思います。
その後、主人公・琴子の心の奥底にあるものはどういうものだろうかと考えながら、作曲を進めていきましたが、非常に難しく、険しく長い道のりでした。最終的には、琴子のあの目に導かれて、今まで書いたことのない音楽ができたと思っています。
この映画で描かれている子どもたちと同じような経験をする子どもたちがこの先いないように。今そういう状況にいる世界中の子どもたちが守られ、やりたいことに挑戦できる自由が与えられますように。この映画が多くの人たちのもとへ届くことを願っています。
■西川美和(原案・脚本・監督)
2020年のコロナ禍から企画し始めましたが、その頃は、これほど戦争が近い時代になるとは予想していませんでした。この映画で描かれる物語は、日本の観客にとってすでに遠すぎる世界ではないかとも思っていたのに、いつの間にかこわいほど身近な物語になってしまったのは、複雑な気分です。
日本の戦後と、そこに生きた子ども。それを実写映画で描くのは、とても重たいことです。戦争の惨禍を知らない私がそんな題材をあつかうことに絶えずためらいもありました。いっぽうで、どうせやるならなるべく新しいトーンで、かならず今を生きる人に届く語り口にしよう、これから大人になる人たちにも観てもらえるものにしようと、ものを調べ、長い時間をかけて脚本を書いてきました。
なんとも大掛かりなこの映画にK2ピクチャーズがお金を出すと言ったときは、私の方がびっくりしましたが、その後、すばらしい目の輝きを放つ小八重葵美ちゃんと出会え、「この映画を必ずたくさんの人に観てもらいましょう」と言ってくれた二階堂ふみさんと出会え、そして私が心から尊敬するスタッフが集まって、渾身の力をふりしぼってくれました。竹野内豊さんは静かな愛情で葵美ちゃんを応援してくれ、音楽的な才能にあふれた櫻井海音さんも長い準備を経て最良の結果を画に焼きつけてくれました。
極めつけは原摩利彦さんが——あの『国宝』を経て抜け殻かと思いきや、今作でも新たな試みとともに心を鷲掴みにされるような音楽を作ってくれて、信じられないことに、あとちょっとで本当に完成しそうです。自分の作品だということを時々忘れてしまうほど、きらめきに満ちた作品になっています。みなさん、10月の公開をぜひお待ちください。
■小出大樹(プロデューサー)
西川監督から、この映画を提案いただいたとき、正直、ビビりました。戦後を舞台にした今作においては、巨大生物は上陸しませんし、タイムスリップを伴う恋愛もありません。子どもたちを中心とした市井のひとびとが丁寧に描かれていますが、漫画の原作をもたないオリジナルストーリーです。どんな作品になるのか、話を聞いただけでは即座には想像しきれませんでしたし、作り切るのが本当に大変だろうと感じました。
しかしながら、脚本を読ませていただくと、再び、ビビることになりました。西川監督が書かれた物語に惹き込まれたからです。そもそも、西川美和監督の作品が、僕は好きです。これまでの多くの作品で男性のキャラクターを主役に据え、ときに情けなく不器用で、同時に愛おしい姿を描いてきた西川監督が、今作では女の子をメインキャラクターにすえ、彼女が男の子だと偽り戦後の日本を生きていく、そして、彼女は少女から少しづつ女性になっていく姿が、大人たちとの出会いの中で描かれていました。
西川監督の描きたい物語を映画という形にして、多くのひとに届けたいと思いました。西川組をこれまで支えてきたスタッフやキャストの方々をはじめ、主演の小八重葵美さんと、二階堂ふみさんといった素敵な俳優の方々との出会い、巨大生物の映画を制作されてきた白組さんを筆頭とするVFXチームとの出会い、原摩利彦さんやイタリアの音楽チームとの出会い、という、今作で描かれる物語さながらの、多くの方々との運命的な出会いに恵まれて、今作は制作されており、完成までもう少しです。劇場に足を運んでいただき、この作品を楽しんでいただければと思います。

