市川團子・中村壱太郎・中村時蔵、スーパー歌舞伎『もののけ姫』を語る! 本番さながらの稽古の模様も
次に聞かれたのは「各自の衣裳やメイクなど、扮装に関して」の質問。
團子「スーパー歌舞伎の特徴のひとつでもあるのが、こうして白塗りをするということで。エボシは都の人なので白塗りはごく自然なことかと思いますけれども、本来ならアシタカもサンも、役としては肌色に近い色で務めるのが普通かもしれないのですが、スーパー歌舞伎の理念でもある『とにかく綺麗な錦絵のように美しい画面が続く』という考えに基づくとやはりそこはリアルを追求するのではなく、デフォルメの表現として白塗りでいこうということになりました。そこがまずは大きなポイントなのではないかと思います」
壱太郎「スチール写真では身体の表側しかなかなか見られないものですし、表側はカッコ良さが勝つと思うんです。獣と少女、というところでは獣の面がまずは勝つと思いますしね。でも、劇中でのサンの体勢って大体こういう感じなんですよ(と、重心を低くし戦う構えでワイルドにポーズ)。なので、どちらかというとカッコイイ、俊敏なイメージになっておりますが、こうして後ろを向くとホラ、尻尾がかわいいんです(笑)。ちょっとお稽古が辛かったりして、悲しくなったりする時は、自分でこの尻尾を撫でて癒してもらいながら稽古をしていました」
時蔵「歌舞伎の衣裳は色彩も柄も豪華なものですので、その特徴をふんだんに取り入れて、なおかつ『もののけ姫』のキャラクターの姿にも近い形になっていると思います。僕はこの、團子くんが今着ているアシタカの衣裳の色味がとても好きですね。舞台上でも映えていますし、一目、見ただけでアシタカだと分かりますし。エボシの衣裳も、非常に気に入っております。紫色を多用しておりまして、紫は日本古来から非常に高貴な色でございますので、そういう意味も含めて箇所箇所に紫が使用されているところもとても素敵だなと思っております」
「スーパー歌舞伎はちょうど40年にもあたるタイミングです。スーパー歌舞伎に対する思い出と意気込みを改めて聞かせてください」との問いには、それぞれこう語った。
團子「今回の演出から一つ思ったこととしては、随所に祖父が作ったスーパー歌舞伎からのオマージュがあるということでした。見得の形にしろ、スケール感にしろ、やはりこれまでのスーパー歌舞伎の系譜を継いでいるなという印象があります。ですから、これまでスーパー歌舞伎をご覧いただいていたお客様には『これ、あの作品のあの場面でやっていたことかも!』と気づいていただけるくらいに、しっかりとオマージュされていますのでまずはそこを見て楽しんでいただきたいなとも思っています。
こうして開幕が迫りいよいよ実感が湧いてくると、やはりこのスーパー歌舞伎で新しい作品を作るということは本当に大変なことだなと改めて感じています。新作ができるのは十数年ぶりですし、お客様の中には祖父が作り上げたもののイメージがある中で、そこから離れないようにもしたいですし。かつ、『もののけ姫』の魅力も確実に届ける作品でなければならない。正直に言うとその重みもありますけれど、お客様の期待に応えられる作品になっているのではないかと思ってもいます。これから約2ヶ月間、公演がありますのでどんどん毎日進化していけるように努めていきたいと思っています」
壱太郎「今、團子くんが言っていたように、スーパー歌舞伎には40年の歴史がある中で今回はそういったオマージュを含めつつも、やはり令和という時代に生まれる新しいスーパー歌舞伎だということも強く感じています。素晴らしい音楽と素晴らしい原作も含め、私たちを取り巻くものは素晴らしい要素ばかりで。初日が来たあとも、日々それぞれの役者がどんどんと自分たちの役を深めていき、各自の個性を活かしつつ、スーパー歌舞伎ならではの見得の角度はとか、どういう立ち居振る舞いでいるかといったところなどをさらに突き詰めていくことで、とてつもないものに成長すると思うんです。8月23日の千穐楽にはきっと、初日とまた違った新たなものが出来上がっているんじゃないかとも思います。それはさらなる個々の力にもかかってきますし、やがてそれが未来の歌舞伎にも繋がっていくような気がしております」
時蔵「私はスーパー歌舞伎で育ってはおりませんのですが、今までのスーパー歌舞伎というと猿翁のおじさまが旗を振り、そこに皆さんがついていくという形だったと思うんですね。だけど先程、團子くんも壱太郎くんもおっしゃっていましたが、稽古場で團子くんの周りにみんなが並んで話し合いながら、揃って進んでいくという姿が、まさにこれからのスーパー歌舞伎なのかなということは、今回の稽古を見ていてすごく思いました。ディスカッションができるということは、どの業界においてもとても大事だと思いますしね。非常にいい稽古場だということはとても感じられましたので、この経験を活かして、お客様にさらに楽しんでいただけるようなスーパー歌舞伎を、今後も続けていってくれたらなと僕は思っております」
【公演概要】
スーパー歌舞伎『もののけ姫』
◆オリジナル音楽:久石譲
◆脚本:丹羽圭子、戸部和久
◆演出:横内謙介
◆出演
アシタカ/シシ神:市川團子
サン:中村壱太郎
エボシ御前:中村時蔵
ジコ坊:市川猿弥
モロの君:市川笑三郎
甲六:市川青虎
猩々:市川寿猿
ヒイさま/トキ:市川笑也
ゴンザ:市川門之助
乙事主:市川中車
※宮崎駿の「崎」は「たつさき」が正式表記
◆日程・会場:7月3日~8月23日東京・新橋演舞場
【公式サイト】https://mononoke-kabuki.jp
【公式X】@shochiku_stage
【公式Instagram】@shochiku_stage