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佐藤二朗、『爆弾』“喋りすぎる男”から“全く喋らない怪物”に 自身原作&主演の最新作から見える胸中とは

映画

■スズキタゴサクから山田太郎へ。無口ゆえの“不穏”

 一方で、これまでとはまた違ったアプローチも込められている。佐藤は「これまでは、“繋がることを諦めなかった”主人公を描いてきました。今回の山田太郎は、“繋がることを諦めた”主人公」と紹介。「主人公がちょっと前を向けることで、お客さんに希望を持ってお帰りいただくお話もいいし、“こんなことがあっては、いかん!”という物語を提示することで、何か感じてもらえる作品もあるといいなと思っていて。目を背けたくなるような残酷さがないと、“こんなことがあっては、いかん!”にはたどり着けない。そういったものを表すのも、映画のひとつの役割かなと思っています」と持論を述べる。

 劇中には“繋がることを諦めなかった”男として、佐々木蔵之介演じる刑事・国枝が登場する。いわば、本作に込めた希望となるキャラクターだ。佐藤は、「国枝役は、何としても蔵之介さんに演じてほしかった」と力強くコメント。「20代の頃に、舞台で初めて共演させていただいて。蔵之介さんが主役のマクベスで、僕は脇役。その後もドラマ『ハンドク!!!』(TBS系)や、『モンスターペアレント』(カンテレ・フジテレビ系)では対峙する役柄で共演させていただきました。ものすごく好きな俳優」と言葉に熱を宿らせ、「何としても口説き落としたかったので、プロデューサーを介して蔵之介さんに長文でラブコールを送った」と振り返る。

映画『名無し』場面写真(C)佐藤二朗 永田諒 / ヒーローズ (C)2026 映画「名無し」製作委員会
 オファーを受けた佐々木は、佐藤について「20代の頃から、同じ演劇畑で戦ってきた同志だと思っている。思いたい。思わせてくれ」というコメントを発している。だからこそ即快諾だったそうで、佐藤は「蔵之介さんがそんなふうに思ってくれていたなんて、全然知らなかった」と驚きながら、「山田と国枝は、合わせ鏡のような存在です。国枝は野獣のように見えるけれど、人に対する愛や温かみをちゃんと持っている。蔵之介さんがそういった存在を演じる姿を、どうしても見たかった」と感激しきり。加えて、山田の最大の理解者となる花子役のMEGUMIについても「あるシーンの前に、MEGUMIさんが“邦画史上最も不細工で汚いラブシーンにしようよ”と言ったんです。本作を深く理解してる! と思いました」と惚れ惚れとしつつ、「照夫役の丸山隆平さんは、本作について“欠陥”や“欠落”という言葉を使って語ってくれた。ものすごく作品を理解してくれました。3人が深く、共鳴してくれたことに本当に感謝しています」とすばらしい理解者を得たことに、胸を熱くする。

映画『名無し』場面写真(C)佐藤二朗 永田諒 / ヒーローズ (C)2026 映画「名無し」製作委員会
 生み出した唯一無二のキャラクターを自ら演じる上では、どのような役作りに臨んだのか。漫画版では会話を繰り広げることもある主人公を、映画では「あまり言葉を喋らない男にした」と佐藤。

 「『爆弾』のスズキタゴサクは、延々と喋っている男でした。スズキタゴサクと差をつけたいという思いもあり、山田を喋らない男にするのはアリだなと。“これは言わなければいけない”と思うセリフは、長いこと人と話していないので、声帯が退化して、声が潰れているというイメージで話す。脚本では、そのセリフをおどろおどろしいフォントに変えて表現していました。無口になるとそれ自体が不穏になるので、映画で『名無し』を表現するうえでもうまくいったなと感じています」。

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■遠回りしてきたからこそ、今の自分がいるのかもしれない

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