コロナ禍の中の社会的孤立を描く『夜明けまでバス停で』、主演・板谷由夏インタビュー到着
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<インタビュー全文>
■板谷由夏
――高橋伴明監督とは、『光の雨』(2001)以来でしたが、どのような監督ですか?
日本の映画監督らしい映画監督です。20代でご一緒した時に、「将来もう一度絶対にご一緒したい」と思った、目標の監督でした。
――脚本を読んで映画全体に関してはどう思われましたか?
後半、画になってみないとわからないなという部分はあったのですが、初号試写を観て、納得しました。
――三知子はどういう人物だと捉えましたか?
三知子は自分のことは自分で責任を取るという、責任感が強い人だと思います。いい人だし、人にも優しい。でも自分は「助けて」と言えないという、現代の日本の女性たちの代表のような気がします。
――何を大事に演じましたか?
三知子に起きることを私が体験・体感することで素直に出てくる気持ちを大事にしようと思いました。
――脚本の梶原阿貴さんとはクランクイン前に何か話しましたか?
梶原さんは「同じ世代として三知子のこと、わかるよね」と話し、一緒に(本作のモチーフとなった)大林三佐子さんの命日にバス停にお花を持って行きました。
――本作はフィクションですが、渋谷ホームレス殺人事件で殺された大林三佐子さんについては、何か調べましたか? 三知子役を演じるにあたり、ヒントにはなりましたか?
どうしてそんなことになったのかだとか、どうして彼女が殺されてしまったのかだとか、背景については読み漁りました。三佐子さんはネガティブな想いでホームレスになってしまったのではなく、元々はポジティブな普通の女性だったというところは参考になりました。「じゃあ(三佐子さんが)どうしてこういうことになってしまったんだろう」ということを紐解いていくことは、「三知子がどうしてそうなっていったんだろう」ということを理解するためのヒントになりました。
――居酒屋で実際にバイトを体験してみたとお聞きしたんですが、ヒントになりましたか?
そこで働く女性たちに会いたかったですし、居酒屋の忙しさだとかを習得したかったので、バイトさせてもらったんですけれど、三知子が時給で働いて、住み込みだったと考えると、(ホームレスになってしまうことは)可能性としてあり得る話なんだなとリアリティを感じました。
――居酒屋のシーンで印象に残っていることはありますか?
三浦(貴大)さん演じるマネージャーが嫌な奴全開でやってくださったので、三浦さんに助けられました。
――完成した作品を見ていかがでしたか?
台本よりも映像になった方が伴明さんのメッセージ・言いたかったことがわかる気がしました。
――本作の見どころはどこだと思いますか?
見終わってどうだったというより、見終わって持ち帰って、あなたはどうしますか?と問題を提起している作品だと思うので、伴明さんが言いたいメッセージ、伝えたいことをそれぞれが考えてくれたらいいなと思います。
――読者にメッセージをお願いします。
コロナ禍で、「何かやらなきゃ」だとか「このままじゃいけない」と思っている人が多いと思うんです。そういう優しい気持ちを持っている方には見に来てもらえるのではないかと思っています。