安藤サクラ、エレガントな背中見せワンピでカンヌ映画祭フォトコールへ 映画『怪物』公式会見レポート
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是枝裕和監督による映画『怪物』が、現地時間5月17日にカンヌ国際映画祭のコンペティション部門にて公式上映され、翌18日に是枝監督をはじめ、脚本家の坂元裕二、主演の安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太がフォトコールと公式会見に出席した。
【写真】アクセサリーやシャネルのハイヒールもゴージャス! フォトコールに登場した安藤サクラ
昨日の雨模様からうって変わり、晴天に恵まれたカンヌ。真っ青な青空をバックにノーカラーのセットアップに身を包んだ是枝裕和監督、チャコールグレーのスーツにカジュアルな白のスニーカーを合わせた脚本の坂元裕二、背中が大きく開いたエレガントなワンピースが美しい安藤サクラ、ネイビーのスーツと水色のシャツで爽やかな装いの永山瑛太、チェック柄のジャケットとパンツが可愛らしい黒川想矢、ネイビーのスーツに白シャツとネクタイで爽やかな大人っぽさを演出する柊木陽太がフォトコールの場に登場した。
会見で是枝監督は「この作品に僕が参加したのは2018年の12月です。プロデューサーの川村(元気)さん、山田(兼司)さん、脚本家の坂元さんが映画の開発をスタートさせていて、プロットが出来た段階で僕にお声がけをいただきました。その段階で完成形の三部構成というものが出来上がっていて非常に見事な脚本だなと思いました。実際にそこには存在しない怪物というものを人は見てしまう、そういうプロセスを、観客を巻き込みながら進めていくようなストーリーテリングが本当に面白くて、読んですぐに参加させていただく決断をしました」と作品が生まれた経緯を紹介した。
坂元とのコラボに関しては、「これまでに三度ほど、公式の場で対談をさせていただいていて、その都度私の方から、自分の映画で、自分で脚本を書かないなら、坂元さんにお願いしたい、というラブコールはずっと送っていたのです。同時代に生きながら、ネグレクトの問題であったり、犯罪の加害者家族の物語だったり、疑似家族のモチーフだったり、時代とともに彼が注視しているトピックというものと、僕が自分の中で引っかかっていて題材として映画にしていたものというのは、時期は多少ずれるのですけど、凄くリンクしていました」と解説。
さらに「実は、川村さんから電話をいただいた時点で、私は読む前にこの仕事は受けようと思っていました。それほど、自分には書けない物語、描けない人間を丁寧に丁寧に紡いでいかれる脚本家だと思っていたので。自分が描いてきた映画の細部のディテールをどういう風にきちんと、彼のストーリーテリングの中で活かしていくか、ということ。そのことだけを考えて現場では存在していました。非常に楽しいコラボレーションでした」と続けた。
安藤は「監督から『万引き家族』から時間が経たないうちにお声がけいただけると思ってなかった。ただ、もう一度監督の元に戻るには自分には早いのではという不安も抱えていた。でも変わらず監督の現場はそこにいるスタッフ・キャストを尊重し、みんなが同じ目線で意見を交わし合って、作品に関わっていくことを心から楽しみながら志を持って、ストレスなくいられる現場を作ってくださいました」とコメント。
公式上映を観た感想を聞かれた黒川は、「昨日映画をもう一度観て思ったことがあるんですが、何も考えてなかったなと思っていて、ちょっとショックだったけど、改めて(作品を)観てそういうことがあるんだなと(いうことが感じられて)面白かったです。現場では皆が本当に優しくて、撮影している時はとても…なんだか一つの家族みたいな感じで、とても楽しかったです」と回答。
柊木は「作品を見てすごく自分の役に集中して演じることができていたなと思いました。自然な感じで撮影に取り組むことができたのは監督のおかげかなと思います。撮影は凄く楽しかったです。みなさんと一緒に頑張れたのがよかったです。ありがとうございます」と振り返った。
永山は「ストーリーのなかで台本上は時間軸が飛んでいくので、シナリオとは別で、自分のシナリオをノートに書いて、一貫性を盛って演じただけで、現場でどういう見え方になるのかというのは是枝監督にもちろんおまかせして、僕自身は保利という役をシンプルに受け止めて、子どもたちだったり、学校、先生に対する憤りを感じた安藤サクラさん演じる母親のお芝居をひとつひとつ、頭で思考していくことよりも、肌で感じていくことを大事にして現場に挑みました」と脚本に対するアプローチを語った。
脚本家の坂元は「自分になくて是枝監督にあるのは、社会に対する強い責任感と他者への優しさ。この3日間一緒にカンヌにいるだけでも常に感じるんです。私にはそれが少し足りない。それをこの映画に少し足しました。それが今回ご一緒した利点、長所かなと思います」と作品に込めた想いを明かした。
映画『怪物』は6月2日より全国公開。
是枝裕和監督、脚本家の坂元裕二、安藤サクラ、永山瑛太らのコメント全文は以下の通り。