『ウィッシュ』最恐ヴィラン・マグニフィコ王の“推せる”ポイント 悲しい過去からかわいい休日の趣味まで
ディズニー100周年を記念して製作され、日本でも大ヒットを記録した映画『ウィッシュ』。どんな願いも叶う魔法の王国の真実を知ってしまったヒロイン“アーシャ”が、ディズニー最恐のヴィランと言われる国王・マグニフィコに立ち向かうストーリーだ。公開されるや否や、日本人の心をとらえたのはこのマグニフィコ王だった。SNSでは“マグぴ”というあだ名まで付き、もはやアーシャや本作のマスコット的存在であるスターの人気さえ上回る勢い。なぜ、最恐のヴィランのはずだったマグニフィコ王がこんなに愛されているのか。今回は、マグぴの“推せる”ポイントについて語っていきたい。(※以下、ネタバレを含みます。ご了承の上、お読みください)
【動画】闇落ちするマグニフィコの姿が! 『ウィッシュ』予告
映画『ウィッシュ』キーアート(C)2024 Disney
■マグニフィコの“願い管理”は王として当然…?
願いが叶う魔法の王国ロサスに暮らす少女アーシャの願いは、100才になる祖父の願いが叶うこと。だが、すべての“願い”は魔法を操るマグニフィコ王に支配されているという衝撃の真実を彼女は知ってしまう…。
映画『ウィッシュ』場面写真(C)2024 Disney
あらすじを見ると、確かにマグニフィコは国民から“願い”を集め支配する酷い王だと感じる。しかし待ってほしい。彼はソロナンバー「無礼者たちへ」の中で、「去年は14の願いを叶えた」と明かしている。そう、結構な数を叶えているのだ。だからこそ、「願いが叶うらしい」と噂が広がりロサスには世界中から人々が集まってきている。その結果、マグニフィコはたった一代で王国を築き、画面からも見て取れるようにさまざまな人種の人々が平和に暮らす豊かな国に育て上げている。
確かに、マグニフィコ王が「叶えない」と決めている願いも少なくない。例えば、アーシャの祖父の願いは「音楽で若者の心を動かしたい」。この願いに対しマグニフィコは「心を動かした結果反乱分子となったら?」と考え、叶えることを拒否する。酷いような気もするが、これは政治家として立派なリスクヘッジだとも思う。どんな願いでも見境なく叶えていたら、平和は保てない。
とはいえ、「願いを叶えてあげるよ!」という点に注目させて国民を管理するやり方は、いわゆる“愚民政策”と叩かれても仕方ない。遅かれ早かれ、アーシャのように彼に反旗を翻す存在が出てきていただろう。
■マグニフィコの悲しい過去とスゴイ今
なぜ、マグニフィコがこんな強引な手を使って国を守ることに必死になっているのか、それにもしっかりと理由がある。
マグニフィコは子どもの頃、両親を強盗に殺されるという辛い経験をしている。「領地も奪われた」と語っているので、おそらく両親はどこかの領主だと思われる。その経験からマグニフィコは「二度と誰一人として願いを目の前で叩き潰されず済むように」自らの手で新しい国を作ったのだ。そして猛勉強の末、魔法も使えるようになった。あまりに純粋かつ努力家で泣ける。今作では彼の過去は軽くしか語られていないが、ぜひいつか若きマグぴがロサスを作り上げるまでの物語も見たい、という願いを叶えてほしい。
特に序盤で「あ、この王、推さざるを得ない」と確信したのは、アーシャが亡くなった父のことをマグニフィコに問うシーン。数年前に亡くなった一国民についてマグニフィコは、職業やどんな人物であったかなどをしっかりと覚えていたのだ。おそらく、マグニフィコは国民1人1人のことを認知しているのではないだろうか。小国ではあれど、毎日のように他国から移民を受け入れているロサスで国民の顔と名前を覚えているなんて、好きにならずにはいられない。きっと国を立ち上げた頃は、彼も純粋な思いだけで人々の願いを叶えていたのではないだろうか。