鈴木亮平が背負う実写作品への責任とプレッシャー 「ファンのイメージをブラしてはいけない」
――日本が舞台で銃器を扱う作品となると、リアリティを持たせるのが難しかったのではと思います。ミリタリー銃のトレーニング的なものはどれくらいされましたか?
鈴木:武藤さんという方にガンアクションについていろいろと教えていただきながら、トレーニングを重ねました。なかでも暗闇のなかで台詞を言いながら銃を解体するシーンは大変でしたね。銃のバネを、最後に飛ばしたかったんです。トレーニングでは飛ぶ時と飛ばない時があったのですが、本番はちゃんと飛びました。こだわったシーンなので、ぜひ見て欲しいですね。
Netflix映画『シティーハンター』場面写真 (C)北条司/コアミックス 1985
――脚本の制作にも関わったと聞きました。具体的にはどういった意見を出しましたか?
鈴木:脚本制作が進んでいくと、いろいろな方向で面白くするためにアイデアが出るんです。ただ、それがファンとして見た時に「違う」と思うところがあって。例えば、リョウと彼の相棒である槇村秀幸(安藤政信)が関わる仕事が“政治家の性的スキャンダルをもみ消す”という内容だったんです。でも、これはシティーハンターなら絶対に受けない仕事なんですよ。シティーハンターが仕事を受けるのは、心が震えた時。そこにもう一度戻りましょうという話をしました。
――原作ファンが脚本会議に参加した感じ。
鈴木:そうなんです(笑)。みなさんを困らせたかもしれません。でも、自分がリョウを演じるだけで終わりではいけないと思っていて。『シティーハンター』のファンに届けるのであれば、そこはちゃんとしなければと思いましたし、脚本チームの方々も本当に真摯に原作と向き合ってくださいました。逆に僕も僕で、原作オタクを発揮し過ぎた時に「いや、それじゃあ知らない人はついてこられない」と言ってくださって。試行錯誤しながら制作したんです。いろいろと新しい要素をたくさん入れてはいますが、愛のある改変に絶対にしないといけないというところは、常に相談していましたね。
Netflix映画『シティーハンター』場面写真 (C)北条司/コアミックス 1985
――原作愛を感じました。
鈴木:一方で、原作のジョークを今の時代にそのままやると、現代の観客にとっては受け入れられない表現も多いのは事実で。リョウが嫌われてしまうことは絶対に避けたかった。それに、現代だったらSNSも存在していますし。あとは、令和の新宿が舞台ということで、「現在の新宿が抱える社会問題のようなテーマをどれくらい入れても良いものか」など議論しました。
――今回は令和の新宿を舞台に物語が描かれるので、現代に合わせて変更した部分がある。
鈴木:そうですね。難しかったのは、僕らが『シティーハンター』と聞いて思い浮かべるあのワチャワチャ感が、本作で描かれる槇村の悲劇の直後ではできないということ。どうやって僕たちが知っている『シティーハンター』感、ノリやバイブスを出すのかを考えた結果、コスプレ会場で冴羽リョウが下半身に巨大な馬の首を取り付けて暴れる“もっこり”シーンを追加したという感じですね。