内野聖陽が変わり者の春画研究家を熱演、北香那と異色の師弟コンビに 映画『春画先生』10.13公開
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内野聖陽が主演し、北香那がヒロインを演じる映画『春画先生』が、10月13日より全国公開されることが決まった。
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本作は、変わり者の芳賀一郎こと“春画先生”(内野)と、しっかり者の弟子・弓子(北)の姿を通して“好きなものにのめり込んでいく者たちの喜びと情熱”、そして究極の“推し活”を描く異色のコメディー。『さよならくちびる』『月光の囁き』などの塩田明彦監督が原作・脚本・監督を手掛ける。
春画とは、肉筆や木版画で描かれ、平安時代からはじまり江戸時代の木版画技術の発達で全盛期を迎えた人間の性的な交わりを描いた画。描いた絵師も鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川国貞など、著名など浮世絵師のほとんどは春画を手がけていた。江戸時代、春画は単に好色な男性のためのものではなく、身分を問わず多くの老若男女が愛好した。その根底には明治時代以降西洋のキリスト教文化が入る以前の日本人が持っていたとされる性をおおらかに肯定する精神が横溢している。
超一流から三流まで多くの絵師、彫師、刷師たちが、表の浮世絵で発揮できないその持てる全画力と全精力を注いでとことん真面目に人の性を笑い画として表現したものが春画だ。幕府から禁止された、禁制品だからこそ、とどまることを知らぬ芸術の域に達し、庶民から大名までを虜にした真の江戸のエンターテイメントだった。
これまで春画は映画でもタブーとされ、性器部分の描写は映倫審査でボカシ加工が必要だったが、本作は劇映画初のR15+で認証され、日本映画史上初、無修正で浮世絵春画がスクリーンに映し出される。長らく日本美術史のタブーとされつつも、世界に誇るべき江戸の文化の裏の華である春画の奥深い魅力を、春画先生が真面目におかしく教えてくれる作品だ。
物語は、将来への夢もないまま無為な日々を過ごしていたウエートレス・春野弓子の「私の人生にこの先、面白いことなど何ひとつ起こらないだろうと感じていたあの日…」というモノローグから始まる。“あの日”、いつものように老舗喫茶店で働いていた弓子は、人目をはばからず春画をじっと見つめるシブい中年男性と出会う。弓子に、春画とは何かを突然説き出し、詳しく知りたければ訪ねてこいと去っていく。常連の変わり者“春画先生”だという。
この男、芳賀一郎は高名な春画研究家で、妻に先立たれ世捨て人のように春画の研究に没頭していた。春画への興味とともに芳賀に一目ぼれしてしまった弓子は芳賀宅を訪ね、美と興奮のるつぼの春画講座を受け始める。いつしか芳賀に導かれながら弓子は、愛の冒険に飛び込んでいく。やがて芳賀が執筆する春画大全の編集者・辻村や芳賀の亡妻・伊都の姉・一葉の登場で波乱の予感が…。
主演の内野が演じる“春画先生”は、高名な研究者でありながらも社会性があるとはいいがたく、好きなことに没頭するオタク的なこじらせ中年男性。弓子という春画を語り合う弟子ができたことで、春画大全の執筆への意欲を取り戻していく。癖のある性格がどこかかわいらしく、ほっとけない魅力を生み出してはいるものの、特異な性癖の持ち主でもある。
内野は「性愛についての奥深さを感じさせるちょっと笑える、微笑ましい『おとぎ話』のような感覚を持ちました」と本作の世界観に感銘を受けつつ、「春画先生という役は、普通の人にはない距離感の人で、大きな喪失感をもってますけど、とても愛すべき研究者だと思いました」と語った。
塩田監督も「なんといっても絶品なのは内野聖陽演じる春画先生。心に詰まった春画への思い、さらには愛する女性たちへの想いがいまにもはち切れそうで、気がつくと全身から不思議な震えと波動を発しているような人物を、えもいわれぬユーモアと、完璧といってもいい役作りで体現してくれました」と語っている。
執筆へのエネルギーの元となる弓子(北)は、いちずでしっかり者の女性。芳賀への恋心に突っ走っていくその姿は、可憐ですがすがしいながらもタフそのもの。滑稽な世界感を大真面目に熱演する師弟コンビの、振り切った演技が最大の見どころだ。
北は「内野さんの役作りの丁寧さを目の当たりにして、衝撃が走ったのと同時に、弓子として内野さん演じる先生を見た時に、その奥深さにどこまでも夢中になってしまうような吸引力と魅力に圧倒されました」とコメントしている。
映画『春画先生』は、10月13日より全国公開。