本木雅弘主演×黒沢清監督『黒牢城』、豪華キャストが“新しい時代劇映画の古典”に挑んだ舞台裏に迫る!【撮影現場レポート】
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映画『黒牢城』メイキング写真 (C)米澤穂信/KADOKAWA (C)2026映画「黒牢城」製作委員会
自念殺害事件が描かれる序盤に登場するのが有岡城内に設置された櫓。スタジオには有岡城のセットのそばに、実際に櫓が建てられていた。本作で美術を担当したのは、2017年公開の『関ヶ原』や2021年公開の『燃えよ剣』など、多数の時代劇作品を手がけてきた原田哲男。時代劇映画のエキスパートが、日本家屋の構造とセット撮影の利点を活かした奥行きや抜けの良さを作り出している。黒沢は日本家屋について「いろんな部屋が複雑に組み合わさっていながら、開けると全部遠くまで見通せて、すごく面白い」と説明。このシーンにおいては「庭の向こうに櫓が建っているという設定ですが、本当に櫓のようなものを作ったのは美術部のアイデア」と明かす。
さらに「CG合成やスクリーンプロセス(セットにスクリーンもしくはLEDディスプレイを設置して、それを背景として撮影する手法)で遠くの景色を作るのが今時のやり方なんだろうとは思う」と分析しつつも、極力CGに頼らない方法を選び「今回は遠くに建っている櫓を、実際の距離でそれが建っているように見せることを目指しました」とコメント。「美術部が頑張ってくれています」と笑顔を見せる。
村重と十右衛門のシーンに続いて撮影されたのは、事件の解明に乗り出した村重が、家臣の乾助三郎(宮舘涼太)を従えて、犯人がどこから自念に矢を放ったのかを調べる場面。助三郎が事件現場に自念に見立てた藁の束を置くと廊下で弓を構える村重。しかし位置が低く、弓が床に当たって狙えない。その後、村重は庭の反対側の廊下で弓を構えるが、灯ろうが邪魔で狙える場所がない。さらに助三郎は紐をつけた矢を使って検証するもののそれもうまくいかない。自念殺害のトリックを暴こうと真剣に現場検証を重ねる村重と助三郎の姿は、時代や場所は違えど探偵ホームズと助手ワトソンを彷彿とさせる。
現場検証を進める村重と助三郎の真剣さから緊張感が漂う一方、なかなか真実にたどり着けないもどかしさも感じられる。黒沢映画ならではの“そこはかとないユーモア”を感じさせる複雑なシーンを、本木と宮舘が抜群のコンビネーションで演じてみせる。
本番の合間、セリフに出てくる固有名詞のイントネーションを確認し、ふすまを開ける所作指導も真剣に受ける宮舘。一方の本木は黒沢と入念に動きの確認を行なっている。そんな中でも時折、笑顔で言葉を交わす本木と宮舘。二人の明るい表情から撮影の充実ぶりが窺えた。

