
三船敏郎
三船敏郎 出演映画作品
-
レッド・サン 4Kデジタルリマスター版
制作年:2025年01月03日(金)公開
映画史に名を刻んだ三船敏郎、チャールズ・ブロンソン、アラン・ドロンが共演した西部劇『レッド・サン』を、4Kデジタルリマスター版で上映する。1870年のアメリカ西部を舞台に、特別列車に乗った日本の大使一行と、金貨を狙う強盗団が激突する。監督は初代『007』シリーズを手がけたテレンス・ヤング。共演はウルスラ・アンドレスら。
-
無法松の一生〈1958年・4Kデジタルリマスター版〉
制作年:2023年3月17日(金)公開
第19回ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞に輝いた『無法松の一生〈1958年〉』を、4Kデジタルリマスター版で上映する。故郷を追われた人力車夫が少年を助けたことをきっかけに、少年の家族と関わる様を描く。検閲で削除された箇所を、稲垣浩監督が再映画化した。主演は三船敏郎。共演は芥川比呂志、高峰秀子、笠原健司、松本薫、笠智衆ら。
-
蜘蛛巣城〈4Kデジタルリマスター版〉
制作年:2022年11月18日(金)公開
シェイクスピア4大悲劇のひとつ『マクベス』の舞台を日本の戦国時代に置き換え、能の様式を取り入れた映画『蜘蛛巣城』を4Kデジタルリマスター版として上映する。忠義に厚いふたりの武将と老婆の不気味な予言を描く。黒澤明監督は本作をモノクロ・スタンダードサイズで撮影し、後世に影響を与えた。出演は三船敏郎、山田五十鈴、志村喬ら。
-
隠し砦の三悪人〈4Kデジタルリマスター版〉
制作年:2021年9月17日(金)公開
黒澤明と三船敏郎がタッグを組んだ11作目で、黒澤監督初のシネスコープ作品が、“4Kデジタルリマスター版”の鮮明なる映像で劇場公開。戦国時代、敗軍の大将が、世継ぎと黄金を手に同盟国に脱出を試みる様をスリル満点の展開と共に描く。『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』に多大なる影響を与えた1作としても有名な1作。
-
羅生門〈デジタル完全版〉
制作年:2008年11月29日(土)公開
1950年に公開され、ベネチア映画祭金獅子賞を受賞した不朽の名作が最新技術によって復活。森の中で起こった強姦・殺害事件を巡って、複数の食い違う証言が飛び交う迷宮のような物語を巧みな語り口と、強い陰影を駆使した圧倒的な映像美で描く。日米の専門家チームが行った修復作業により、驚くべき映像・音響で映画史に残る傑作を堪能できる。
-
日本の首領〈ドン〉 完結篇
制作年:
片岡千恵蔵が、政財界の黒幕役で登場する。政財界の黒幕・大山は任侠団体の統一合体を提唱するが、佐倉も大石も乗ろうとしない。そこで……。片岡、佐分利、三船という三大スターの顔合わせが迫力満点。
-
柳生武芸帳 双竜秘劒
制作年:
同じスタッフ、キャストによる東宝版「柳生武芸帳」の続編。柳生武芸帳をめぐって、柳生一門と肥前の兵法者・山田浮月斎、そして永井家の隠し姫・清姫を頭領とする虚無僧の一団が、三ツ巴の争奪戦を展開する。稲垣浩が前作に引き続いて、スピーディーなタッチで一級の娯楽映画に仕上げた。
-
1941
制作年:
1941年12月13日、あのパール・ハーバー攻撃直後、カリフォルニアの海岸に大日本帝国の潜水艦が出現。三船敏郎扮する艦長の命令によるハリウッド攻撃で、ロサンゼルスの街は大混乱となる。ベルーシとエイクロイドのコンビがあばれまくり、スピルバーグ監督がパロディー・シーンを散りばめて描く奇想天外なドタバタ・コメディ。
-
ミッドウェイ
制作年:
太平洋戦争の命運を分けたといわれる歴史的戦いであるミッドウェイ海戦。この戦いを日米の豪華キャストで描いた作品。当時の実際の記録フィルムなども交えながら、迫力ある戦闘シーンが繰り広げられ、臨場感を盛り上げている。
-
ピクチャーブライド
制作年:
日系3世のK・M・ハッタ監督の家族のルーツをもとに、アジア系アメリカ人の女性スタッフが描く愛の物語。20世紀初頭、見合い写真だけで結婚を決め、ハワイに渡った日本人花嫁(ピクチャーブライド)の愛と苦難の日々を綴る。1918年、両親を亡くした16歳のリヨは、ハワイのサトウキビ畑で働くマツジと見合い写真のやりとりだけで結婚を決め、ハワイへと渡った。だが、彼女を待っていたマツジは父親ほども年齢が違っていた。その日から夫と過酷な労働が始まる。日本に帰りたい一心で畑仕事をこなすリヨだが、同じ畑で働くカナと親しく
-
続・サラリーマン忠臣蔵
制作年:
「サラリーマン忠臣蔵」の後編。丸菱銀行頭取・吉良剛之介へのうらみを胸に、大石良雄らは“大石商事“を設立。苦しい財政のなか、妻を実家へ帰してしまうなど、道は険しい。12月14日、吉良との決戦の株主総会がやってきた。
-
玄海つれづれ節
制作年:
吉永小百合が“耐える女“からイメージ・チェンジを図り、八代亜紀とのコンビで人情コメディに挑戦した作品。失踪した夫を追って九州へ向かう吉永と、借金取りの八代、これに吉永の幼友だちの風間杜夫が絡む。吉永はソープランド嬢に扮したりと意欲的だったが、いきのよさに欠けた。
-
グラン・プリ
制作年:
社会派アクションの職人監督、J・フランケンハイマーがモンテカルロをはじめ、ヨーロッパ各地で行われるカーレースとF-1グランプリに命を懸ける男たちの姿を活写した娯楽大作。世界のトップレーサーはもちろん、三船敏郎が出演したことも当時大きな話題に。マルチ分割スクリーンを多用し、リアルなレーシング・シーンの迫力とスリルが全編にみなぎっている。ソウル・バスが手掛けた本作のタイトルバックは、単なる映画の“イントロ“としての機能を超えたデザインアートとしても特筆もの。
-
春来る鬼
制作年:
遥か昔、相思相愛だったが身分の違いのために結ばれず、駆け落ちの果て流れ着いた島で、岬の長老たちに様々な試練を強いられた青年漁師とその恋人。原作を一読してその世界に魅了され、何度も企画を出し続けた“マイトガイ“小林旭の念願の一作。空想の世界を借りて日本古来の慣習や生命の尊厳を訴える。
-
太平洋の鷲
制作年:
本多猪四郎監督が特殊技術監督・円谷英二と組んで作った、戦後初の本格的戦争スペクタクル。のちにこのコンビは、特撮怪獣映画を数多く生み出していく。連合艦隊司令長官・山本五十六の悲劇を中心に、太平洋で空母赤城、加賀などを次々に撃沈され、敗戦の色が濃くなっていく日本軍を描く。
-
cfガール
制作年:
妥協を許さないその仕事ぶりからトラブルメーカーとしても有名なCFディレクター・爽太郎は、ある日一人の魅力的な少女と出会う。彼は気の合う仲間たちを集め、彼女をメインに据えたCMを作り始めるが、そこには様々な妨害が。スターへの道を歩み出す少女に夢を託す男たちの姿を描く。
-
完結・佐々木小次郎巌流島決闘
制作年:
「佐々木小次郎」3部作の完結編。恋人・奈美が琉球へ去り、小次郎はまた悲しい別れを経験するが、それもつかの間、宿敵・宮本武蔵との決戦に巌流島へと赴いていく。スマートな大谷=小次郎と豪快な野人、三船=武蔵のコントラストが魅力的。
-
将軍〈1980年〉
制作年:
もとは1975年出版のベストセラー小説が原作の12時間のTVミニ・シリーズで、これを再編集して日本では劇場公開された。高視聴率をマークし、“ショーグン現象“と呼ばれる日本ブームをアメリカに起こした作品。1598年、日本に漂着したイギリス人、ブラックソーンは、戦国大名、虎長のもとで日本の戦国時代の戦いの嵐に巻き込まれていく。
-
兜 KABUTO
制作年:
関ケ原の戦いで、雨でも使用可能な最新式の銃の必要を痛感した家康は、その買い付けのため、イスパニアに四男、頼宗と家臣の前田大五郎を派遣する。だがそのイスパニアでは、国王の座を狙って側近らが暗躍。また、彼らが乗った船の中にも裏切者がいた。本性を現した敵に、サムライたちは戦いを挑んでいくが……。ショー・コスギのアイデアによる、日本人をヒーローにしたアドベンチャー・ムービー。
-
栄光への5,000キロ
制作年:
パリ~ダカール・ラリーと並ぶ過酷な自動車レース、サファリ・ラリーに挑む日本人ドライバーの勇気と栄光を描く石原プロ製作の超大作。世界に通用する国際映画を作ろうとする製作者・石原裕次郎の熱い思いがこの作品となって結実した。
-
国定忠治
制作年:
新藤兼人のオリジナル脚本を谷口千吉が監督したオールスター大作時代劇。天保7年、子分を連れて故郷の国定村に帰ってきた忠治は、凶作と幕府の圧政のために妹が死んでしまったことを知り、代官屋敷へ殴り込む。その後、お尋ね者となった彼は赤城山に身を隠すが、3年後、ついに山を下りる決意をする。
-
海賊船〈1951年〉
制作年:
三船敏郎を中心に、ほとんど男性キャストで、海の荒くれ者たちの姿を描いた作品。映画出演7作目という、若き森繁に注目。南シナ海で、密輸船だけを狙う海賊船・千里丸。この船に、子供4人が密航してきた。大陸から日本に帰りたいという彼らの願いを、海賊たちは叶えようとするが……。宝塚の浅茅しのぶが、男装の少年に扮し、紅一点で目をひく。
-
犬笛
制作年:
大企業の謀略による殺人の現場を目撃してしまった娘が誘拐され、父親と愛犬の決死の追跡行が始まった。父と娘を結ぶのは、1本の犬笛と愛犬・鉄。父は鉄を連れて北海道から沖縄へ……。スリルとサスペンスの連続の三船プロ創立15周年記念映画。西村寿行のベストセラー作の映画化。
-
日本誕生
制作年:
東宝が1000本製作記念映画として、稲垣浩監督、円谷英二特技監督、三船敏郎以下オールスター・キャストによって、日本の古来の神話を映画化した超大作。イザナギ・イザナミの国造りにはじまる神々の物語の中から、オトタチバナヒメとの悲恋に彩られた、ヤマトタケルノミコトの波乱の一生を中心に、高天が原の神々の饗宴、ヤマタノオロチ退治などが描かれ、クライマックスに天変地異の大スペクタクルが展開する。有名なエピソードが次々に登場するが、構成が単調でエピソード間の相乗効果を生まず、散漫な印象が残るのは否めない。しかし、円谷英二の集大成ともいうべき特撮の数々は見ごたえ十分。
-
士魂魔道 大龍巻
制作年:
徳川家対豊臣家の攻防を軸に据えた時代劇に、タイトル通りの特撮による“大龍巻“を巻き起こす、パニック・スペクタクルの要素を加えた大作。大阪・夏の陣で、徳川勢の攻撃を受け豊臣方の大坂城は陥落した。徳川方に寝返った者もいたが、主人公たち3人や侍女らは市中へと紛れ逃げ延びた。その後、裏切り者や忍者たちと関わっていくが……。ラスト近くの龍巻シーンが圧巻。
-
暴れ豪右衛門
制作年:
これが101本目の監督作となった稲垣浩の痛快スペクタクル時代劇。戦国時代、加賀七党の首領として馬を駆り冷酷な戦いぶりを見せた豪右衛門の活躍を西部劇タッチで描く。三船敏郎が十八番の豪快な役どころで快演するが、演出は今一つ歯切れが悪い。
-
ストロベリーロード
制作年:
1960年代のベトナム戦争に揺れ動くアメリカ・カリフォルニア州を舞台に、広大ないちご畑にアメリカン・ドリームを託し、渡米した日本人の兄弟・久と明。二人は葛藤しながらも、それぞれ恋をし、様々な人たちと出会っていく……。第20回大宅荘一ノンフィクション賞を受賞した石川好原作の映画化。
-
サラリーマン忠臣蔵
制作年:
ネーミングは違うが、これも“社長“シリーズの変則版と考えられる。丸菱コンツェルンがアメリカ経済使節団を招待し、その接待をめぐってコンツェルン内部で赤穂産業社長・浅野貞巳と丸菱銀行頭取・吉良剛之介が対立。浅野が謹慎処分となり、自動車事故で急死。怒った彼の部下たちは吉良に造反して新会社を設立する。元祿忠臣蔵のシチュエーションをそのままサラリーマン社会にあてはめたコメディ。
-
荒木又右衛門 決闘鍵屋の辻
制作年:
黒澤明が脚本を書き、森一生が初めて東宝で撮った大チャンバラ時代劇。伊賀上野の鍵屋の辻で荒木又右衛門が義弟の助太刀をするまでを描く。従来の芝居や映画では又右衛門が大勢の仇をバッタバッタと斬り倒していたが、本作では実録通りに二人しか斬らないなど、新しい解釈の荒木又右衛門像を作っている。
-
日本海大海戦
制作年:
東宝が、この後、年1本のペースで製作していく戦記大作“8・15“ものの第1作。明治の日露戦争を、東郷平八郎大将をメインとして描いている。クライマックスはバルチック艦隊と連合艦隊の大海戦。これが事実上最後の映画となった円谷英二特技監督は、自らの特撮技術の、一つの集大成とも言うべき、実写さながらの迫力ある戦争シーンを作り上げている。ドラマとしては平板だが、戦争映画の特撮を語るうえでは、はずせない作品。
-
人生劇場〈1983年〉
制作年:
明治の気概に生きた父と子の、波乱に富んだ生涯を描いた、尾崎士郎不朽の名作の映画化。主人公・青成瓢吉と、彼を取り巻く人々の青春期にスポットをあて、原作の『青春編』『愛欲編』『残侠編』を一つにまとめた、3人の監督による共同演出の一編。
-
太平洋の翼
制作年:
敗戦色が濃くなり始めた頃。無敵を誇った零戦も米軍の新鋭機の前に歯が立たず、大本営は特攻隊による攻撃しかないと主張した。一方、千田航空参謀は新鋭機紫電改を完成させ、精鋭を集め制空権の奪還を計画した。3人の優秀な戦闘機乗員が紫電改を駆って米軍に向かっていくが……。戦争映画大作にして航空アクションの会心作。
-
男対男
制作年:
横浜の増江海運で働く梶は、作業中の事故の多発を不審に思い、かつての戦友、菊森のキャバレーに探りを入れるが手掛かりはつかめない。実は菊森は神戸のボスの命令によって渋々、増江海運の乗っ取りを画策していたのだが……。谷口監督が得意にした、男の友情と対決を交えて描くアクション・ドラマ。加山雄三のデビュー作。
-
宮本武蔵 決闘巌流島
制作年:
“宮本武蔵“シリーズの完結編。前2作ではいささか手ぬるかった稲垣浩の演出も、さすがに巌流島での宮本武蔵と佐々木小次郎の大一番は、大いに堪能させてくれる。鶴田浩二の佐々木小次郎はまさにハマリ役で、武蔵役の三船敏郎を食うようなスゴ味を発揮。
-
続宮本武蔵 一乗寺の決闘
制作年:
「宮本武蔵」の続編で、鶴田浩二の佐々木小次郎が初登場する。鎖鎌の宍戸梅軒との死闘を皮切りに、京八流吉岡一門と、洛北蓮台寺野、蓮華王院、三十三間堂、そして一乗寺下り松と、血で血を洗う文字通り“血闘“を繰り返す。
-
ゲンと不動明王
制作年:
三船敏郎が不動明王を怪演する児童映画。妹と離ればなれで暮らすいたずらっ子のゲンは、叱られて悲しくなるとお寺の不動明王と話をする。明王はいつも“弱虫!“とゲンを励ましてきた。時がたち、再び妹と一緒に暮らせることになってゲンは大喜び。けれども、新しい母親にはなじめなくて……。特撮は円谷英二が担当している。
-
新選組〈1969年〉
制作年:
おなじみ新選組の物語を三船敏郎の独立プロ・三船プロが製作し、彼自身が近藤勇を演じたオールスター・キャストの娯楽大作。新選組結成、芹沢鴨暗殺、池田屋斬り込み、鳥羽伏見の戦い、流山の別離、近藤勇の最期など盛りだくさんの見せ場がかけ足で紹介されていく。
-
愛情の決算
制作年:
今日出海の小説『この十年』の映画化。終戦後10年の日本人の家庭を、佐分利信の監督・主演で描いた。復員した楢崎は死んだ戦友の妻と結婚する。失業から特需ブームで再就職へ。やがて夫婦の愛情は冷えていく……。風俗史を交えた辛口ホームドラマ。
-
大盗賊〈1963年〉
制作年:
三船敏郎扮する堺の豪商が、無実の罪で火刑に処せられそうになるが、危機一髪、国外に脱出。途中、嵐で難破し明国近くの孤島に漂着し、そこで王妃を助けて悪宰相を倒す。東宝が特撮の新路線として企画した冒険大活劇の第1作。妖婆に扮する天本英世が怪演。
-
深い河
制作年:
「海と毒薬」に続き、またしても遠藤周作の世界に熊井啓が挑んだ1本。成瀬美津子は、満たされぬ心を埋める“何か“を求めてインド・ツアーに参加した。美津子は自由奔放な学生時代に、クリスチャンである大津と出会い、誘惑して信仰を捨てさせたことがあった。“神に勝った“ものの心の空虚さは埋められず、結局、美津子は大津を捨てる。今回の聖地ベナレス行きは、傷心のまま美津子の前から姿を消した大津を探すための旅でもあった。ベナレスの町で、大津との再会を果たした美津子は、雄大なガンジスの流れの中で自分の人生の意味を理解していく……。
-
日本の首領〈ドン〉 野望篇
制作年:
三船敏郎が暴力団会長に扮して登場する。昭和46年、勢力を回復した中島組は、関東進出の第一歩として桜商事を作る。東京の暴力団松風会の会長・大石は右翼の大物・大山を顧問に迎えて、暴力団連合“関東同盟“を結成し、これに対抗する。
-
潮騒〈1954年〉
制作年:
三島由紀夫の古典的青春小説を、谷口千吉監督が久保明、青山京子主演で映画化した青春映画。伊勢湾の小島を舞台に、りりしい漁師の若者と、美しいアワビ採りの娘との運命的な結びつきが描かれる。当時流行していた性典ものや思春期ものとは、一線を画す格調ある青春もので、三島由紀夫の理想主義的な青春像を、谷口千吉監督がツボを押さえた演出で映像化した。主役の若い男女に扮する久保明と青山京子は、ともに初々しい演技で好感が持て、完倉泰一の現地ロケーションによるカメラも効果を上げた。三船敏郎が若い二人を見守る船長役で特別出演。なお、この原作は、1964年・1971年・1975年・1985年と5度映画化されている。
-
醜聞〈スキャンダル〉
制作年:
「野良犬」を完成させて脂ののりきった時期の黒澤監督作品。いたずらに醜聞を追うジャーナリズムを糾弾する一方で、病気の娘を持つ一人の弁護士の人間像を力強く描き出す。志村喬が弁護士役を熱演、醜聞に巻き込まれる歌手を演じる山口淑子は息をのむ美しさ。
-
野良犬〈1949年〉
制作年:
暑い夏の日の午後だった。若い村上刑事は射撃訓練の帰り道、満員のバスの中でコルトを盗まれ、犯人を追ったが路地裏で見失った。そのコルトには7発の実弾が装てんされていたため、もしやこの銃を使って事件が起こるのでは、と村上は悩む。村上はスリ係の老刑事と、捜査線上に浮んだお銀という女を訪ね、なんとか貸しピストル屋を聞き出し、そこからさらに本多という男を捜し当てる。村上はベテラン刑事・佐藤と満員の後楽園球場に乗り込み、本多をおびき出す。逮捕された本多は、仲間の遊佐が拳銃を持っていると白状する。こうして村上と佐藤は遊佐を追いつめていくが、ついに村上のコルトによる強盗事件が起きてしまう……。黒澤はこの頃、初めて知った脚本家の菊島隆三と意気投合し、ジョルジュ・シムノンばりの犯罪映画を作ろうとして企画したのが本作品である。鋭い切れ味を出した演出が素晴らしい。
-
どん底〈1957年〉
制作年:
ゴーリキーの同名の戯曲を、監督の黒澤明と小国英雄が翻案。陽の当たらない、江戸の場末の棟割長屋に暮らす鋳掛屋、夜鷹、飴売り、遊び人、役者くずれ、泥棒、お遍路など、様々な人々と嫌われ者の大家夫婦が織り成す辛口の人生模様。黒澤としては珍しく短期間・低予算で仕上げた作品である。それまでの長い製作期間と膨大な製作費に業を煮やした東宝は、この作品を黒澤自身に製作させた。黒澤はオープン・セット一杯と室内セット一杯だけを作り、入念なリハーサルをして複数のカメラで一気に撮り上げたといわれている。
-
生きものの記録
制作年:
町工場の経営者、中島喜一は原水爆の実験に脅威を感じ、この地球上で安全な場所は南米しかないと考える。そして、家族にも相談しないで南米への移住を計画。工場で生計を立てている息子たちは父の計画に猛反対し、父を裁判にかける。財産を自由に処分できない準禁治産者に認定してもらうためだ。ブラジルへ行けなくなった中島は、急に不安が募って発狂し、工場を放火してしまう……。黒澤明が原水爆反対の立場を表明した映画だが、興行的には失敗した。三船敏郎がフケのメイクで熱演。黒澤との名コンビで知られる音楽の早坂文雄は、主人公の心の不安を映し出す主要な楽曲を残したあと、作品の完成を見ることなく逝去した。
-
連合艦隊司令長官・山本五十六
制作年:
日本海軍史上最高の名提督とうたわれる山本五十六の人間像が、真珠湾奇襲、ミッドウェイ海空戦などの5大作戦を通じて描写された。三船敏郎が山本五十六に扮し貫禄をみせる。この作品の興行的な成功により東宝は翌年から戦記大作路線を正式にスタートした。
-
或る剣豪の生涯
制作年:
鼻が人一倍大きい駒木兵八郎、彼は自らの容貌を気にして、ひそかに想いを寄せる千代姫にもその心を打ち明けることができない。そして彼女の恋人・十郎太に恋の手ほどきまでしてやる始末。言うまでもなくこれは「シラノ・ド・ベルジュラック」の翻案。
-
激動の昭和史 軍閥
制作年:
東宝の“激動の昭和史”ものの第2作。二・二六事件を契機に、軍部の政治進出に拍車がかかり、着々と総力戦体制が作りあげられていく。やがて東条内閣が成立し、戦線は太平洋へと拡大……。記録フィルムを随所に挿入し、ドラマとの融合を図る。
-
お吟さま〈1978年〉
制作年:
大陸制覇の野望を抱き、朝鮮に手を伸ばそうとする豊臣秀吉にあくまでも抵抗する千利休と、その娘でキリシタン大名の高山右近を愛したお吟の悲劇を描いた歴史大作。英雄・秀吉のイメージを大きく変化させた、卑しく狂暴な独裁者としての秀吉を、三船敏郎が力演している。
-
海燕ジョーの奇跡
制作年:
弟分を殺された沖繩の若い混血ヤクザが、復讐のために連合会の大ボスを射殺、実父がいるかもしれないフィリピンで父親探しと逃亡の日々を送る。時任=藤谷の息の合った主演コンビと、田中邦衛、原田芳雄ら男優助演陣の活躍が光る青春アクション。
-
婚約指環(エンゲージ・リング)
制作年:
病弱で療養中の夫に代わって銀座で貴金属店を営む妻が、夫を担当するたくましい医者に惹かれていく。この作品の製作された1950年に一時渡米(俳優としては戦後初)し、話題となった田中絹代の帰国第1作。彼女がよろめく相手の医者役には、デビューまもない三船敏郎が抜擢された。
-
待ち伏せ
制作年:
冬、寒風吹きすさぶ峠の茶屋に、得体の知れない5人の男女が現れる。それぞれの素性が明らかにされるにつれて、老中・水野越前の外様大名つぶしの陰謀が浮かび上がってくる。サスペンスたっぷりのアクション巨編。戦後映画界を代表する大スターが揃って出演。
-
日本海大海戦 海ゆかば
制作年:
明治38年、日本海軍がロシアのバルチック艦隊を破った海戦を題材にした戦争映画。本編はこれを戦争活劇ではなく、海軍の旗艦・三笠に乗艦した水兵と下士官とが繰り広げる人情ものに仕上げている。機関兵曹に扮したガッツ石松が、軍人らしい風貌で好演。
-
赤ひげ
制作年:
江戸時代に幕府が設置した医療機関・小石川養生所を舞台に繰り広げられる庶民の人生模様、所長・赤ひげと青年医師の心の交流を描いた、黒澤ヒューマニズムの代表作。山本周五郎の『赤ひげ診療譚』を原作として監督の黒澤明以下、井手、小国、菊島というおなじみのチームの脚本による大作。撮影は黒澤組常連の中井朝一と後年の黒澤作品を担当する斎藤孝雄。助監督には、森谷司郎、松江陽一、出目昌伸、大森健次郎といった顔ぶれが並ぶ。また、佐藤勝による音楽も忘れがたく、この作品に気高さを添えている。長崎で和蘭陀医学を学んだ青年・保本は医師見習いとして小石川養生所に住み込むことになった。しかし保本は所長赤ひげに反発を覚え、養生所の禁を犯し破門されることすら望んでいた。座敷牢の狂女は先天制体質が原因だとする赤ひげの診断を、誤りだと指摘した保本は、禁を破って狂女の観察を繰り返した結果、赤ひげの診断の正しさを知る。日々貧乏人と接し黙々と医術を施すその姿を見て、保本は次第に赤ひげに共感を覚えるようになる。
-
柳生武芸帳〈1957年〉
制作年:
正保4年、徳川幕府を左右する謎を秘めた柳生武芸帳は、竜造寺家の遺児・夕姫の手にあった。肥前の術者・山田浮月斎は、多三郎、千四郎兄弟を使ってこれを奪いとろうと企てる。名匠・稲垣浩がベストセラーをオーソドックスに映画化した時代劇。
-
大坂城物語
制作年:
関ケ原の戦いで一家を失った無法者・鬼の茂兵衛が、大阪冬の陣で豊臣家のためにひと働きしたあと、田舎へ帰っていく……。村上元三の原作を稲垣浩監督と三船敏郎のコンビで映画化したアクション時代劇。三船敏郎が鬼の茂兵衛を演じるが、ワンパターンの感は否めない。
-
暗黒街〈1956年〉
制作年:
古屋組の親分・古谷恒次郎の寵愛でたちまち組の幹部にのし上がってきた庄司。だが組内部にはそれを快く思わぬ者たちが……。東宝専属時代の鶴田浩二がキレ者のヤクザを演じた内部抗争もの。製作の本木荘二郎と監督の山本嘉次郎は、東宝争議時代に、映画芸術協会設立メンバーとして活動した。
-
悪い奴ほどよく眠る
制作年:
当時ひんぱんに起きていた政治汚職をテーマにした黒澤明の力作で、黒澤プロの第1回作品。父親を汚職事件の犠牲で失った孤児・西幸一が、父親を死に追いやった元凶である政治家たちに様々な方法で復讐していくが、悪の根源はもっと深いところにあった。現代悪の汚職にメスを入れるというきわめて社会性の強いテーマながら、黒澤明は娯楽映画としても十分楽しめるように、スリルとサスペンスに富んだ作品に仕上げた。その反面、汚職の核心の部分が薄められてしまった点は否めない。西幸一に扮した三船敏郎はやや一本調子だが、老政治家に扮した森雅之のキャリアの重みを感じさせる巧演は見事。
-
金田一耕助の冒険
制作年:
今やマスコミの売れっ子となり、等々力警部とのコンビでCMにも出たりしている金田一耕助が、唯一真犯人を突きとめることができなかった事件に再び挑む、という“金田一耕助”シリーズの番外編。テレビで同役をやった古谷一行が金田一耕助を演じる。
-
幕末
制作年:
時代劇の大スター・中村錦之助が自らプロダクションを設立し、伊藤大輔と組んだ大作。司馬遼太郎の人気小説『竜馬が行く』をベースにして史実に忠実に作り上げた。明治維新を前にして揺れ動く世相を背景に、やがて暗殺される竜馬を、錦之助が重厚に演じている。
-
馬喰一代〈1951年〉
制作年:
中山正男の原作を木村恵吾監督・三船敏郎主演で映画化した佳編。大正末から昭和にかけての北海道・北見の大高原を舞台に“北海の虎”の異名をとる乱暴者の馬喰が、女房に死なれ、一人息子を男手一つで育て上げる。三船敏郎が粗野な中にも息子への愛情をたぎらせた馬喰を好演。
-
宮本武蔵〈1954年〉
制作年:
戦前から何度も映画化された吉川英治の剣豪小説を稲垣浩監督と三船敏郎の名コンビで映画化した大作。関ヶ原の戦いに参加して敗れた武蔵が、沢庵和尚の教えで修行の旅に出るまでが描かれる。
-
戦国無頼
制作年:
時は戦国。織田信長によって滅ぼされた浅井長政の家臣・佐々疾風之助、立花十郎太、鏡弥平次は、落ちのびて後、それぞれ流転の人生を歩む。時は流れ、十郎太は織田方に、疾風はその敵方に分かれ、弥平次を加えた3人は、再び戦場で出会うが……。山口淑子が十郎太と疾風之助の間で揺れる野武士の娘、おりょうを可憐に演じている。
-
忠臣蔵 花の巻 雪の巻〈1962年〉
制作年:
東宝創立30周年記念映画で、殿中刃傷の背景を歪曲して描き新味を出した八住利雄のシナリオと、手持ちカメラでブレも構わず写実的効果を出した稲垣浩の演出が光る“忠臣蔵”。松本幸四郎(8代目)以下、東宝の映画・演劇の手持ちスターを総動員。
-
男ありて
制作年:
家族のことをいっさい顧みず、仕事一筋に生きるプロ野球監督・島村。家族に相談もなしにルーキー選手を家に同居させるほどの彼が、ある日1ヵ月の出場停止を命じられ……。ホーム・ドラマには定評のあった丸山誠治が、新たに仕事と家庭というテーマに踏み込んだ作品。撮影は、成瀬巳喜男とのコンビで知られる玉井正夫。志村喬がお好み焼きを焼くシーンと、ラストの妻の墓に語りかけるシーンは、秀逸。
-
男はつらいよ 知床慕情
制作年:
舞台は北海道・知床。知床の武骨な獣医はやもめ暮らしだったが、東京から結婚生活に破れた娘が帰って来た。父娘と知り合った寅は、この町のスナックのママと獣医の橋渡しを画策する一方で、娘の方にホの字となる。野外バーベキュー・パーティの席で、ママが店をたたんでこの町を去る決心を告げ、それに反対する獣医がその理由を問われて“俺が惚れてるからだ”と言い放つシーンは、さすが三船と思わせる。久々の出色の一本。
-
蜘蛛巣城
制作年:
シェイクスピアの原作『マクベス』を日本の戦国時代にあてて翻案した作品。謀叛を起こした敵を破り主家の危機を救った鷲津武時は、帰城途中に出会った老婆の予言通り大将に任ぜられた。武時は妻・浅茅にそそのかされて城主を殺害し、自ら城主となったが、妻は再び親友・義明を殺すことを迫る。武時は今また義明を討ち、良心の呵責ゆえ半狂乱に。一方、身ごもっていた浅茅は死産し重体に陥る。義明の子・義照は城主の一子を奉じて軍勢を率い、蜘蛛巣城へ押し寄せてくる。城内の将兵は不安におののき、浅茅も発狂。武時は首を矢で射抜かれて死ぬ。黒澤は演出に能楽の様式を持ち込み、見事に成功させている。三船=マクベスが無数の矢にさらされるシーンが圧巻。
-
千利休 本覺坊遺文
制作年:
千利休はなぜ死ななければならなかったのか? 歴史の秘める謎にスポットをあてた井上靖の原作を、社会派の熊井啓が映画化。オール男優キャストにより、武士のような求道的生き方をした男、利休の精神面にスポットをあて、同時期に公開された勅使河原宏版の「利休」とは違った重厚な作りになっている。利休が死んで27年後、人里離れた隠宅に住む利休の愛弟子・本覚坊は、ある日、織田有楽斎のもとを訪れる。有楽斎は、今も、利休が秀吉に切腹させられた理由を知りたがっていた。本覚坊は有楽斎に問われるまま、死に至るまでの利休の行動を語り始めるのだが……。かつて同じ熊井啓の「お吟さま」で秀吉に扮した三船敏郎が、今度は自分の道と密約に殉じた男・利休を力強く演じている。ビデオタイトルは「本覺坊遺文 千利休」。
-
ジャコ萬と鉄
制作年:
北海道のニシン漁場に片目の無法者ジャコ万が流れてきて、無法の限りをつくすが、網元は弱味を握られていて手が出せない。そこへ正義感の強い網元の息子、鉄が帰ってきて、ジャコ万と対決する。「銀嶺の果て」「暁の脱走」と並ぶ谷口千吉監督の代表作。当時、新人だった三船敏郎が鉄を好演。
-
静かなる決闘
制作年:
当時、特効薬がなく不治の病といわれた性病“梅毒”をテーマに据えた問題作。野戦病院で手術中に梅毒をうつされた医者の藤崎は、帰国後も恋人の美佐緒を避け、一生を病と戦いながら独身のまま生きていこうとする。生命を救った相手に不治の病をうつされるという皮肉に絶望しつつも、藤崎は医者として静かに人生と闘っていく……。「赤ひげ」など、その後の黒澤映画にこの作品のヒューマニズムは受け継がれる。
-
椿三十郎〈1962年〉
制作年:
名作「用心棒」の続編ともいえる作品で、前作では桑畑を名乗った三十郎が、今度は椿を見ながら“椿三十郎、最ももうすぐ四十郎だが”というとぼけたセリフで笑わせる。「用心棒」がたった一人で宿場の悪人どもを全滅させるのに対し、ここでは上役の汚職を暴き出そうと立ち上がる9人の若侍たちの支えとなり、その凄腕で御家騒動の黒幕と対決する。加山雄三をはじめとした若侍の血気にはやる暴走をうまくコントロールし、敵の仲代達矢と知恵比べをする三十郎は「用心棒」のワイルドさに比べておとなしい気もするが、有名なラストの一太刀で勝負をつける決闘シーンはまさに圧巻。
-
隠し砦の三悪人
制作年:
戦国時代、秋月家は隣国の山名家に敗れ、秋月家の大将真壁六郎太は世継ぎの雪姫を擁して隠し砦にこもった。近くの泉には薪に見せかけた軍資金の黄金200貫が隠されている。同盟国の早川領へ脱出しようとする六郎太は近くの沢で二人の百姓に出会い、彼らを脱出に利用することを考える。こうして雪姫と六郎太一行の脱出行が始まった……。難関につぐ難関をあの手この手で突破する、スリルとサスペンスとユーモア満点の痛快にして豪快な娯楽巨編。黒澤は他の3人の脚本家に次々と難関をつきつけ、いかにして突破するかを考えさせ、脚本を作り上げたといわれる。狂言回しのごとき二人の百姓が「スター・ウォーズ」における“C3P-O、R2-D2”の2体のロボットに受け継がれていることは有名な話。黒澤初のシネマスコープ作品。
-
座頭市と用心棒
制作年:
座頭市=勝新太郎と用心棒=三船敏郎が世紀の対決をする岡本喜八監督による一編。ストーリーそっちのけで二人の対決が注目されたが、結果は予想通り(?)引き分けに終わり観客をガッカリさせることに。ともあれこの記念すべき20作目は、シリーズ最大のヒットとなった。
-
ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐
制作年:
太平洋戦争におけるハワイ真珠湾奇襲からミッドウェイ海戦の日本軍敗退までを、パノラマ的に描いた特撮戦争大作。円谷英二の特撮は、のちにアメリカ映画「ミッドウェイ」にフィルムを流用されたほどのものだ。海中に沈んだ空母の中で三船と田崎の両軍人が語り合うラストは、僧侶でもある松林監督らしい出色の出来だ。
-
太平洋の地獄
制作年:
三船敏郎がアメリカで出演した映画で、国際スターの地位を確立した作品。太平洋戦争末期、太平洋の孤島を舞台に、そこで偶然に出会い、お互い生存のために共同生活をせざるをえなくなる日本兵と米国兵の確執を描く。思想信条も異なる二人の男たちの内に秘めた“静かな戦争”をブアマンがシャープな映像感覚で捉えた異色の戦争映画。
-
風林火山
制作年:
武田軍の名参謀・山本勘助の波乱の半生を描いた井上靖の同名小説を、時代劇の巨匠・稲垣浩が映画化した超大作。三船敏郎、中村錦之助、石原裕次郎とトップスターが勢ぞろいして大ヒットを記録した。三船プロの製作ということも話題を呼んだ。武田と上杉の川中島の戦いが一大クライマックスに。
-
大菩薩峠〈1966年〉
制作年:
過去何度か映画化された中里介山の仏教思想の強い小説を、アクション派・岡本喜八監督が合理的な解釈で映画化した意欲作。仲代達矢扮する机龍之助が、巡礼の亡霊に狂わされて新選組を延々斬りまくるラスト・シークエンスは迫力十分で、アメリカでも公開され評判になった。
-
侍
制作年:
群司次郎正の原作『侍ニッポン』を橋本忍が脚色、岡本喜八の監督で映画化した“幕末”もの。万延元年、時の大老・井伊直弼の開国強行策に反対する水戸浪士が、暗殺を企てる。井伊大老が妾に生ませた子・新納鶴千代は、一獲千金、立身出世の打算から水戸浪士の一味に加わり、実父とは知らぬまま桜田門で井伊直弼の首を落とす。雪の降りしきる桜田門での井伊直弼の暗殺のシーンは、ラグビーまがいの集団殺陣を、岡本喜八監督十八番のスピーディーなカッティングによるアクション処理でこなし、見ごたえ十分である。三船敏郎が、豪快な中にも繊細な神経を潜ませた新納鶴千代を過不足なく演じ、伊藤雄之助のニヒルですごみのきいた浪士の頭目役も絶品。なおこの作品は、三船プロと東宝による第1回提携作品である。
-
天国と地獄〈1963年〉
制作年:
高台に豪邸を構えている製靴会社の権藤の子供と間違えられて、お抱え運転手の子供が誘拐される。権藤は悩みに悩んだ末、全財産を投げ出して三千万円の身代金を払い子供を救い出す。警察の捜査が始まり、一人の非凡な知能犯である青年が浮かんでくる。その動機とは……。全編息づまるサスペンスで、特に鉄橋を利用した現金受け渡しのシーンは有名で、これを模倣した誘拐事件が実際に発生した。また白黒作品であるにもかかわらず、映画の最もポイントとなるシーンで一個所着色を施すなど黒澤明の映画魂が感じられる傑作。
-
暗黒街の顔役〈1959年〉
制作年:
1956年の山本嘉次郎監督による「暗黒街」に続く“暗黒街”ものの第2作。といってもストーリー的には何の関係もない。監督は以下3作にわたって岡本喜八が担当。この3作と「独立愚連隊」とで岡本は男性アクション監督の第一人者という評価が固まった。金融会社社長が射殺され、犯人は自動車で逃走した。その事件が迷宮入りになろうとする頃、暴力団・横光組の組員・竜太は、親分の横光に弟の峰夫がジャズ喫茶で歌うのをやめさせるように命じられた。実は金融会社社長殺しは横光の仕業であり、その時の車の運転をしていたのが峰夫だったからだ。しかし、峰夫は足を洗おうとしていた……。
-
制覇〈1982年〉
制作年:
日本最大のヤクザ組織の3代目狙撃事件に端を発し、激化した抗争のドラマを、揺れ動くヤクザの家族を中心に描ききった中島貞夫の超大作。三船・菅原・若山といったヤクザ映画の常連俳優たちを、岡田茉莉子が貫禄の演技でビシリと締めている。
-
用心棒
制作年:
「悪い奴ほどよく眠る」に次いで作られた黒澤プロ作品第2作。“のびのびと楽しんで撮った”と黒澤明本人が言う通りの痛快娯楽時代劇となった。二人の親分が縄張り争いをしているために、ゴースト・タウンのようになってしまった宿場町。そこへ得体の知れない浪人者・桑畑三十郎がふらりとやって来て、用心棒として高く買ってくれる方につくという。やがて巧みな策略で双方を戦わせ、いざという時には自らの刀を抜いて、町の大掃除に成功すると、彼はいずこへとも知らず去っていく。殺陣シーンのすさまじさとともに、ユーモラスなタッチも忘れがたい。登場人物の中では、ピストルを持ちマフラーを首に巻いた、キザでニヒルな殺し屋を演じた仲代達矢の存在感が光る。主演の三船敏郎は、第22回ヴェネチア映画祭で見事男優賞に輝いた。およそ時代劇とは思えないような快活な佐藤勝の音楽も出色。1964年にはイタリアのセルジオ・レオーネ監督が本作を翻案して「荒野の用心棒」を作り、これも大ヒットとなった。また、ハリウッドでも1996年に、ブルース・ウィリス主演「ラストマン・スタンディング」の名でリメイクされた。
-
酔いどれ天使
制作年:
昭和23年。戦後の混乱はまだ収まらず、特に東宝は労働争議で大きく揺れ、4月から半年以上にわたって製作中止の状態にまで至った。そんな困難な状況のなかから生まれたのがこの「酔いどれ天使」であり、黒澤明の個性的なテーマや技法が確立された作品として記憶される。メタンガスの吹き出す、沼地周辺の貧乏人たちを診察して暮らしている飲んべえの医者と、彼から結核の宣告を受ける闇市のヤクザとの交流を描く。空いばりばかりしている人間のクズとしてヤクザを批判する視点と、彼をそこまで陥れたのは戦争だったのだという視点とが交差するなかで、新人・三船敏郎はこけた頬に眼光をギラギラさせて出色の演技を見せ、この1本でスターダムにのし上がった。以後の黒澤=三船コンビの大活躍は周知の通り。また、この作品は黒澤と音楽監督・早坂文雄との記念すべき出会いとなった。悲しい画面に「カッコウ・ワルツ」を流すという“映像と音楽との対位法”的な使い方は「野良犬」につながっていくことになる。
-
聖女伝説
制作年:
喧嘩で顔を傷つけられ、その屈辱によって秘めたる獣性と野望を甦らせた男が、アウトロー社会でめきめき頭角を現していく姿を描く、ハードボイルド・ロマン。主役の郷ひろみと、年上の女・岩下志麻、年下の女・小野みゆきとの激しいセックス描写も話題に。
-
赤毛
制作年:
岡本喜八の脚本・監督、三船主演による幕末もの。慶応4年、徳川から明治へと体制が大きく変わる革命期。百姓あがりの赤報隊士・権三は赤毛をなびかせて故郷に錦を飾る。彼は代官屋敷から年貢米を百姓に返したり、借金を棒引きにして女郎たちを解放したり、得意の絶頂にいるが、利用価値なしと判断した白毛の官軍によって抹殺される……。民衆に密着していたがために革命の先頭に立ち、それゆえに銃火を浴びる。赤報隊の一隊士に革命の論理を結晶させた異色作。三船敏郎が十八番の粗野だが誠実な主人公を力演し国際スターの貫禄を見せ、松竹の岩下志麻が東宝映画に初出演して花を添えた。
-
血と砂〈1965年〉
制作年:
三船敏郎と岡本喜八監督コンビによる時代劇「侍」に続く戦記もの。昭和20年の北支戦線を舞台に、三船演じる曹長と13人の少年軍楽隊員と慰安婦の交流、そして少年たちの壮絶な戦いが描かれる。伊藤桂一原作の『悲しき戦記』が物語の骨子となっている。
-
太平洋奇跡の作戦 キスカ
制作年:
アメリカ軍が反撃に転じたため、太平洋における日本軍は敗退を余儀なくされた。アッツ島の日本軍は玉砕し、キスカ島にも危機が迫った。海軍はキスカに救出艦隊を派遣する。日本映画には珍しく陽性の戦争映画。サスペンスの盛り上げ方、特撮も迫力があり楽しめる。
-
竹取物語
制作年:
古来から伝わる“かぐや姫”の物語を、誕生から月の世界へ戻っていくまで、ロマンスと特撮をたっぷりと織り交ぜて描いたSFメルヘン。沢口靖子の可憐な十二単衣姿と、スピルバーグ映画ばりの宇宙船のSFXが話題に。
-
無法松の一生〈1958年〉
制作年:
阪妻主演による戦前の名作の再映画化。第1回作品が当時の検閲によってカットされたのを不満とした稲垣浩が、同じ伊丹脚本をカラー、ワイド・スクリーンで新たに監督した。無法松の三船、吉岡夫人の高峰が好演、名作の誉れ高い前作と比べても甲乙つけがたい作品だ。第19回ヴェネチア映画祭金獅子賞受賞。
-
七人の侍
制作年:
日本の時代劇に西部劇の面白さを取り入れ、黒澤流のヒューマニズムを盛り込んだ黒澤映画の最高峰。その後、「荒野の七人」「宇宙の七人」など、この映画をお手本にした作品が続出した。志村喬演ずる勘兵衛が泥棒を斬るシーンでスローモーションが使われているが、これにヒントを得たサム・ペキンパーがアクション場面でこの手法を引用したことは有名な逸話。戦国時代、野武士が野盗化していた頃。貧しい農村の百姓たちが、野盗から村を守るため、侍を雇うことにする。食うことにも窮する侍7人が集まり、百姓たちにも竹槍による即成の軍事訓練を始めさせる。そしてついに野武士の群れが全力を上げて村に攻撃をしかけてきた……。早坂文雄作曲の『侍のテーマ』が実に印象的に使われており、次に展開するドラマへの期待感を盛り上げる。無口なサムライの久蔵を演じた宮口精二は、それまで剣道を1度もやったことがなかったが、この映画の中では日本一の剣豪に見えるから不思議だ。映画のマジックといえるだろう。
-
石中先生行状記〈1950年〉
制作年:
石坂洋次郎文学の映画化。「隠退蔵物資の巻」「仲たがいの巻」「千草ぐるまの巻」の3話からなる。東北のある城下町に住む有名な小説家・石中先生が、村の老若男女の御意見番としてユーモラスに問題を解決していく。第3話に登場する三船敏郎の農夫は笑える。
-
銀嶺の果て
制作年:
監督の谷口千吉と三船敏郎のデビュー作。3人組の強盗が、警察の手を逃れて北アルプスの山小屋に隠れ、そこに住む老人と娘との間に交流が生まれていく。冬のアルプスでロケーションを行い、スリルとアクションあふれる娯楽作になっている。脚本は、谷口と黒澤明が20日間で書き上げた。
-
レッド・サン
制作年:
1870年の西部を舞台に、日米修好の任務を帯びた日本国大使の侍と、二人のガンマンが宝刀をめぐって繰り広げる異色のウエスタン。世界の3大スターの初顔合わせで大ヒットした。日本刀対ピストルという奇想天外な対決が、最大の見どころ。
-
暗黒街の対決
制作年:
鬼才・岡本喜八が大ヒット作「独立愚連隊」に続いて、再びメガホンを取った“暗黒街”もの。緻密で大胆なカット割り、テンポの早い展開、黒づくめのギャングにコーラスを歌わせるというブラック・ユーモアなど、鬼才ぶりをいかんなく発揮している。またギャング映画のパロディーにとどまらず、善玉のヤクザが着流し姿で悪玉が背広姿といった、のちに任侠映画が作り上げるパターンや西部劇へのオマージュも楽しめる。舞台は暴力団抗争の激しい荒神市。暴力団大岡組と小塚組が、砂利採取の利権をめぐって争っていた。そこへ東京から藤丘刑事が来た。彼は汚職警官としてこの町に左遷させられたのだ。
-
柳生一族の陰謀
制作年:
徳川二代将軍秀忠の死後、次期将軍の座をめぐり、幕府内部、柳生一族、浪人、朝廷など様々な人間の策謀が交錯するという大型時代劇。本編が時代劇初演出となる深作欣二監督は、跡目争いを骨子に据え、ある大きな流れの渦に飲みこまれていく人々の姿を、「仁義なき戦い」と同様、群集抗争劇として捉えている。三代将軍に家光を擁立しようとする柳生但馬守を演じた萬屋錦之介は、大時代がかって重々しいながらも、腹黒く権力に執着する男を怪演。息子・十兵衛を演じた千葉真一の奔放さと好対照をなす。千葉にとっては一世の当たり役といえるだろう。ラスト、権力争いに勝ったと思った但馬守の前に、十兵衛が家光の首を投げ捨て、これを拾った但馬守が“夢じゃ、夢でござる”と叫ぶ、凄絶なシーンは衝撃的。
-
戦国群盗伝
制作年:
戦前、P・C・Lで滝沢英輔が監督した作品の再映画化。山中貞雄の脚本を、本作では新しく黒澤明が潤色した。北条氏政が関東管領になった永禄、元亀の頃を背景に、天城山を根城に暴れまわる野武士の一団を西部劇タッチで描いた大作だが、杉江敏男監督では荷が重すぎた。
-
白痴〈1951年〉
制作年:
黒澤明が長年の夢であったドストエフスキーの名作を、舞台をロシアから北海道へ移し変えて映画化した野心作。善の権化である美しい亀田青年、彼を愛する二人の女・綾子と那須妙子、そして妙子を野獣のように愛する赤間伝吉の4人の間には、時には美しく時には神々しいまでの愛と激しい憎悪が燃えあがる。この作品は当初4時間25分の長さで前後編に分けて上映されることになっていたが、試写を見た松竹首脳陣が難色を示し大幅にカットされることに。それに激怒した黒澤監督が“切りたければフィルムを縦に切れ!”と怒鳴ったという逸話が残っている。結局ふた通りのバージョンが作られ、長尺版の3時間30分のものは東劇で3日間だけ公開、現在見ることができる2時間46分のものは、一般公開時のもの。
-
西鶴一代女
制作年:
敗戦後低迷を続けていた溝口健二が西鶴の『好色一代女』をもとに、全身全霊を打ち込んで完成させた彼の最高傑作。奈良の荒れ寺へ客にあぶれた街娼たちが集まり、グチを言いあっている。その中に厚化粧でも年は隠せないお春という女がいた。その夜、巡礼帰りの百姓たちの前に引きだされ、“こんな化け猫をおまえたちは買いたいのか”とさらし者になった彼女は、我知らず寺の羅漢堂に入っていく。居並ぶ五百羅漢を眺めやるうちに、羅漢像の一つ一つが過去の男たちに見えてくるのだった。こうして時代は一気にさかのぼり、彼女が御所づとめに出ていた13歳の時からの流転の生涯が綴られていく。様々な男たちと出会い、別れていくたびに不幸になっていくお春を通して、封建制度下に自我を通そうとした女の悲劇を優しく、そして苛烈に描ききっている。溝口一流の長回しが随所で効果を上げており、また巨大なセットの空間の広がりに圧倒される。田中絹代も一世一代といえる名演を見せた。
-
黒部の太陽
制作年:
黒部川上流に第4発電所を建設するべく、関西電力は社運をかけてダム建設に取り組むことになった。現場責任者の北川の熱意に負けて、父親に代わってトンネル掘りの指揮をとることになった設計技師の岩岡だったが、増える一方の犠牲者と度重なる事故に頭を抱える毎日。それでも北川共々、難所を突破すべく、技術と努力の限りを尽くすのだった……。石原裕次郎が設計技師に扮した骨太な人間ドラマ。黒四ダムの完成に尽力した人々の姿を、社会派の熊井啓が見事に描ききった。現場責任者を演じた三船敏郎の存在感も素晴らしい秀作だが、石原の遺志により現在までビデオ化に至っていない。
-
人間の証明
制作年:
「犬神家の一族」に続く角川春樹事務所製作第2作。日本のオールスター・キャストに加え、アメリカロケ、一流のアメリカ俳優の起用、そしてなによりTVスポットの大量放映という当時としては破格の宣伝方法によって大ヒットを飛ばした。角川映画はこうして映画界に確固たる地位を築き、以後話題作、ヒット作を作り続けていくことになる。また脚本を一般公募で募集したことでも話題となったが、選ばれた脚本がプロの手になるものだったのは皮肉。事件の手掛かりになる西条八十の詩も流行した。アメリカからやって来た黒人青年の不審な死をきっかけに、高度成長する戦後日本の、母子の悲劇が浮かび上がる。
-
羅生門
制作年:
世界にクロサワの名を知らしめた歴史的傑作。平安時代、盗賊・多襄丸が旅の侍夫婦を襲い、妻を強姦し、侍を殺す。やがて盗賊は捕われ裁判となるが、多襄丸・女・巫女の口を借りた侍の霊――すべての陳述が食い違う。原作は芥川龍之介の短編『薮の中』だが、映画では第4の証言者である木こりを創出して、よりドラマティックになっている。しかし、この映画は真実をめぐる人間のエゴの醜さといった観念的な主題よりも、躍動感がみなぎる生き生きとした映像によって永く語り継がれるであろう。事件の現場である山中の木もれ日の輝き、すさまじい豪雨の中に立つ羅生門の見事な造形、一つ一つが忘れられない印象を残す。特に4番目の証言に基づくシークエンスでの多襄丸と侍の立ち回りシーンのカメラワークは何度見ても驚嘆する。日本映画界の至宝といえる名カメラマン・宮川一夫を得て、黒澤演出も持てる力をフルに発揮。早坂文雄のボレロ調の音楽、松山崇らの美術、そして出演者たち、すべてが秀逸。もちろん、世界的にも評価は非情に高く、第12回ヴェネチア映画祭金獅子賞と、第24回米アカデミー賞で最優秀外国語映画賞にあたる特別賞を始め、多くの賞を受賞した。
最新ニュース
おすすめフォト
おすすめ動画 >
-
X
-
Instagram